或るScientistの徒然なるつぶやき

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研究者は研究費をつかったら市民講座を開くことが義務付けられる?

2010-04-21 07:55:06 | 科学
朝日新聞「研究費1千万円→市民講座を年1回 研究者に義務化?案」という記事があった。

総合科学技術会議が出した案らしいが、あまりにもずれている案だとおもう。
もちろん、学術関係の広報活動が不足しているということには同意するが、これを実施したとしても、何も変わらないし、むしろ、研究成果の減少を招くだろう。

解決すべき問題はそんなところにあるのではない。

たとえば、大学や研究所が研究内容を分かりやすく発表するプレスリリース。
アメリカでは広報担当者が取材をして、それを元にプレスリリースが作成される。ところが、日本では広報担当者の数が足りない&文章を書ける人材がいないため研究者がプレスリリースを作成する。独立行政法人の研究所では、広報担当者が添削してくれたりもするが、大学ではそれも皆無に近い。
つまり、日本では広報活動をするためのシステムが構築されておらず、それを、研究者個人の能力に頼っているのが現状である。
市民と科学者の交流という観点から考えると、科学をしっかりと理解した広報担当者を拡充すべきだろう。つまり、博士号(あるいは修士?)をもった人材を広報担当者として雇用するのである。これは、いわゆるポスドク問題の解決のための博士の雇用の創出にもつながるのでちょうど良いではないか。

総合科学技術会議が出した案は何の雇用も生み出していない。すでに雇用している人間の仕事量を増やそうというだけの話である。もうちょっとまじめに考えてほしいものである。



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