或るScientistの徒然なるつぶやき

つれづれなるままに、日ぐらしPCに向かひて、心に移り行くよしなしごとを、blogに書きつくれば......

3月19日(水)のつぶやき

2014-03-20 00:53:24 | weblog

記事中の名工大の名誉教授の発言が意味不明。「結果を見て安心したが、ガイドライン以下であっても、ペースメーカーの利用者には配慮が必要...」いやいや。そのうち地磁気にでも文句を言うつもりか。>リニアの磁界懸念を受け測定 産経ニュース sankei.jp.msn.com/west/west_econ…


心配していた方向に議論が進んでいる。チェックの強化なんてさらに捏造が増えるだけ。必要なのは若手研究者の独立性。>誰も問題気づかず…論文チェック態勢不備問う声 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) yomiuri.co.jp/science/news/2…


保身のために下っ端(小保方氏)を切り捨てることにしたのか。酷いな。任期制の研究者へのプレッシャーは上の人には理解不能だろうね。>小保方さんの姿なく、幹部「未熟な研究者が…」 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) yomiuri.co.jp/science/news/2…



STAP細胞に関する報道で気になること

2014-03-16 23:31:35 | シャカイ

STAP細胞に関する報道で気になることがある。TV等の報道で、研究機関自体の責任を問う意見があったがそれは違うと思う。

研究機関は研究をするためのインフラであり、研究を行っているのは個別の研究者である。学術論文は執筆段階では、小説や論説などの原稿と同様に著作物である。実は、研究者は論文投稿時に出版の手続き上、著作権を譲渡する旨を記した書類を作成し、出版社にその権利を譲渡している。したがって、研究論文の不正の責任を持つのは研究者であって研究機関ではない。
現在話題となっている理化学研究所の小保方氏のSTAP細胞の論文の問題は、論文執筆上の問題であり、以前に問題となっていた助成金の使い方や納入業者との癒着などの問題とは本質的に異なる。その点を、報道機関は全く気が付いていないように見える。

私が、現在、最も危惧しているのが、論文の投稿段階で研究機関内で何か内容の審査するようなプロセスを入れろという要求が出ることだ。一見よさそうに見えるが、これには重大な問題点がある。

例えば原子力を研究している機関の研究者が原子力の問題点を指摘する論文を書いたとしよう。現在は、投稿するのは研究者本人であり原稿を書きおけたら研究者は好きな時に好きな論文誌に原稿を投稿することができるが、もしここに論文の問題点を減らすという考えから、原稿を事前チェックする委員会を作って承認するプロセスを加えたとしよう。
たしかに、多人数の目をとおることで論文の問題点は減る可能性はあるので一見よさそうな方法にみえる。もちろんこのようなことをすると、必要な人件費が大幅に上昇することになるそこには目をつぶるとしても、そのほかに大きな問題が生じる。
もし、論文投稿の内容を審査する委員が原子力の問題点を指摘する論文を快く思わず、その投稿を承認しないという結論を出したとしよう。これによって起きることは、研究者が発見した問題点は一般社会に明らかにされることはなく、そのまま隠ぺいされることになるだろう。これは、社会にとっては明らかにマイナスである。
また、そのような原稿の事前チェックには細かい問題もある。研究者は、それぞれ異なったテーマを研究していて、通常は同じテーマの研究はしていないため、詳細なチェックは事実上難しい。また、もし同じテーマを研究している研究者が同じテーマを研究している研究者の原稿を見るようなことになると実験内容そのものが盗用される可能性も出てくる。(ここでは、起きうるケースの問題点を指摘するために、当然、委員は「善人」ではないと仮定している。)
最初にあげた、出版の差し止めは現代の社会制度との整合性という意味でも問題点がある。論文は著作物であり、論文投稿時に出版の手続き上、研究者は著作権を譲渡しているものである。憲法12条には「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」とする項がある。したがって、憲法において保障される言論の自由に研究およびその発表の自由は当然含まれていると考えられる。