8月23日水曜日に、「北海道石」を見に北大総合博物館へ行った。
「北海道石」は2023年1月に承認された新鉱物だ。展示期間は9月3日まで。
前日の天気予報から、この日は36度を超えると予想されていた。結果的に札幌市の外気温は36.3度を記録した。
大通近辺で用事を足した後、調べてみると北大総合博物館までは徒歩で25分ほどだ。地下鉄を利用せずに歩くことにした。
猛暑の中でも、札幌には日差しを避けて歩ける地下歩行空間が中心街の南北に伸びている。
大通から「札幌駅地下歩行空間」を利用して札幌駅まで行き、更に札幌駅からは「札幌駅北口地下歩道」を利用して、更に北へ。

近未来的な「札幌駅北口地下歩道」。
北8条西3丁目まで、外気温に触れずに涼しい地下を利用して、北大総合博物館へ近づくことが出来る。
そこから地上へ出て数分歩けば、北大の正門だ。
北大構内に入ると樹木が多いので、日傘を差しながら木陰を選んで歩いて行った。

広大な敷地内には大木を含む樹木が多く、歴史的建造物も多い。緑の色彩に彩られた景色は心が落ち着く。

古河講堂。
川も流れていて、キャンパスであリながら、公園のようだ。

かつてのサクシュコトニ川。枯れ川となり、現在は実験農場の灌漑用水として利用されている。
様々な景色に目を奪われながらやがて目的の北大総合博物館に到着した。


この博物館の建物自体が大変古くからある歴史的建造物だ。おまけに見学無料でありがたい。
多くの標本や貴重な保管品が多いので、入口に入るなり、樟脳の香りが漂う。
1階は北海道大学の歴史や、北大出身の学者等の紹介(雪の研究で有名な中谷宇吉郎など)が多く、文字による掲示、展示が多いので、丁寧に見学すると1階だけでも数時間を要する。

ノーベル賞を受賞した鈴木章名誉教授。
もっぱら私は生物に関することに目を奪われがち。
新しい巨大な展示物があった。口を開けた部分の高さは2メートルほど。

最大級のワニ類、デイノスクス。

北大の小林快次(よしつぐ)教授は恐竜の研究の第一人者だ。古代生物の展示室も狭い空間にダイナミックな展示がしてあり、楽しく見応えがある。

2階に展示されている、デイノスクスの骨格標本。

マンモスの原寸模型。このケナガマンモスの体毛は、見つかったマンモスの毛に、よく似た馬の毛400頭分が使用されているとか。大きくて迫力がある。天井ギリギリ。
味わい深い階段で、2階へ上がると、


ナマケグマの剥製がお出迎え。


牛(ホルスタイン)の骨格標本。


小型から大型まで、動物の骨格標本が豊富。
本日の目的、北海道石を探しながら、歩き回る。
元々石になど興味のなかった私なのだが、様似町のアポイ岳ジオパークで知ったカンラン岩で、ほんのちょっと石について知り、面白いと感じた。それもあって、北海道の名前を冠した「北海道石」は、道民として実物を見ておこうと思ったのだ。
新聞紙上では「紫外線を当てると黄緑色に光る」と北海道石の美しい写真が掲載されていたのも行く気になった理由の一つだった。

それは3階に展示してあった。
ワクワクしながら現物の展示ケースの前に立った。
初めて見た感想。「えっ?これなの?」というほどに地味な石だった。
実は北海道石を見に行かないかと息子を誘っていたのだが、「興味ない」と断られていた。断られていて良かったーと思った瞬間(失礼)。
にわかに鉱物に興味を持った無学な者の感想です。

これら3つが北海道石。
この博物館には、過去に2度ほど訪れたことがあるが、見どころが多い素晴らしい博物館なので、毎回新たな発見がある。
建物自体も見どころの一つだ。
三階の階段より下を臨む。


上を見上げれば、美しいアインシュタイン・ドーム。
1階に戻り、カフェ横に掲示された大泉洋さん主演映画「探偵はBARにいる」のポスターとサイン。北大構内でロケがあった作品だ。

そして、最後にお土産屋さんを覗いた。
子供たちが小さい頃に来た時は、こんなに土産物は無かったと記憶しているが、今ではお土産も充実している。
ミニミニウニと真ん中の白いのがカシパン。

右上の白いのは、カシパンによく似たオニヒメブンブク。

ヒグマの毛まで…。

左側の瓶詰めの中身はイカの標本。

様々な鉱物が販売されている。カラフルだ。お買い得な50%オフになっているものも。

隕石も売ってる。宇宙空間からやって来たと思うと、ロマンの塊だなー。欲しくなっちゃう。

関連図書も面白そうなのがズラリ。

本棚の中段真ん中にある本は「北大総合博物館のすごい標本」という本。その名の通り、凄い標本が紹介されている。
その一つ、「土層剥ぎ取り標本」。
一番上は現代から一番下の層は縄文中期まで。上から下まで約5,000年の時を経た土層をいっきに眺めることが出来る。
ところどころ、縄文人が火を使った跡が地層に残っている事を、右横の赤い焚き火のマークで示してある。ホントに凄い。

土層の下部。

土層の上部。てっぺんに現代人の靴が!
北海道石を見に行ったのに、お土産売り場が一番盛り上がってしまった本日の博物館見学。
私の好みでチョイスした、博物館のほんの一部“サワリ”を紹介したが、札幌に来た際には、是非見学していただきたい場所だ。
出口に募金箱。入場無料ゆえ、募金箱に申しわけ程度のお金を入れた。楽しい仕掛けがしてある。

お金を入れると、恐竜のシルエットが映し出され、恐竜の咆哮が聞こえ、音楽が流れる。

最後にクラーク博士が登場し、一言。
Boys be ambitious!
北海道大学の前身、札幌農学校の時代には、Girlsは居なかったんだろう。現代ならさしずめ、
Boys and girls be ambitious!
となるのでしょうね。