見出し画像

ポジティブな私 ポジ人

襟裳岬まで⑤ 旧マンロー邸 親子岩

二風谷アイヌ文化博物館を後にして、そう遠くないところに旧マンロー邸がある。

子供だった頃の萱野茂さんが祖母と一緒に遊びに行ったことがあるというニール・ゴードン・マンロー博士の家だ。

平取町のホームページによると
「英国人考古学・人類学者のニール・ゴードン・マンロー博士は、アイヌの生活風俗研究のために二風谷に移住し、研究のかたわら医者としての奉仕活動に生涯を捧げた人です。昭和17年の永眠後、住宅兼病院であったここは記念館として保存され、現在は北海道大学へ寄贈され、北方文化の研究に活用されています。」とのこと。

整然と並んだ並木道を車で抜けると、開けた場所にマンロー邸があった。その佇まいは古さを感じさせない美しさだった。
現在は、北海道大学文学部の二風谷研究室になっており、残念ながら内部の見学はできなかった。





素敵な形の建物だ。

周囲は小鳥のさえずりと、時折遠くに聞こえるキツツキのドラミングの音。まるで映画のワンシーンに紛れ込んだような感覚になる。今にも桜色のロングドレスを着た貴婦人が、日傘をさして現れそうな雰囲気だ。
そこに居るだけで心が落ち着くのは不思議な感覚だった。周辺の景色も安らぎがあり、足元の苔等も美しく、思わず写真に収めた。



その時の苔の美しさが反映されていない写真となってしまい残念。



フキノトウは可愛らしく写っていて良かった。

マンロー邸からの去り際、並木道を通り抜ける時、この並木の下をどれだけのアイヌの人々が往来したのだろうと思った。ある人は病み、ある人は収穫物を届けに、挨拶に来たり遊びにやって来たりして、マンロー博士と交流したのだろう。人種を超えて信頼関係を築き上げたその時代の優しい空気が未だに流れているような心地の良い空間だった。

そろそろお昼の時間となったので、北海道の代表的なコンビニ、お笑い芸人のタカアンドトシのCMで有名な「セイコーマート」で軽めの昼食を調達した。私と夫は塩焼きそば、息子はおにぎり2個を車中で完食。

この先はサラブレッド種の馬産地、日高・新冠(ニイカップ)・新ひだか・浦河を駆け抜ける。馬好きな人や競馬ファンにはたまらないコースかも知れない。

新ひだか町までは来たことがある。数年前に家族で「二十間道路桜並木」を見に来たのだ。そこで桜を堪能したあと、和菓子のすあまで出来ている「尻餅」と言う名の“悩ましい形”をしたお菓子を買って帰った記憶がある。
新ひだか町のその先は、私にとっては未知の領域だ。

日高町を走り出した所まではしっかり覚えている。なだらかな丘陵地帯を走りながら、枯れ草色の牧草地で馬が乾燥した牧草をはんでいた。中には子馬もいて、無邪気に飛び跳ねる姿を眺めたりした。
後続車もなく、息子の車はスイスイと進んで行く。段々単調な景色に食後ということもあって、いつしか助手席で眠りに落ちてしまったようだ。
息子は様似町の親子岩を目指していた。

どのくらい寝ていたのか気付いたら、海岸。
目の前には巨大な岩が3つ並んだ親子岩。私達親子も岩と同じ数の丁度3人。親子岩家族。



海岸は寒かった。風もあり、気温は5、6度位だろうか。
この砂浜は「親子岩ふれあいビーチ」。シーズンには、海水浴客で賑わうのだろうが、人はまばらな春の海。
何枚か記念写真などを取ったあと、息子が「ビーチコーミング出来るよ」と言った。
寝起きでボンヤリしていたのだが、“ビーチコーミング”と聞いて目が覚めた。

海洋生物のカシパン探し!リベンジ開始だ。
昨年息子と行った石狩浜でのビーチコーミングは収穫無しの惨敗だった。
今日こそはと意気込んで波打ち際をカシパン探して、行ったり来たり。見つかるのは何れも荒波に揉まれ、破片となったものばかり。

ついでにバフンウニのかけらも色とりどりなのが面白くて、拾った。食べる海藻の色によって殻の色が変わるらしい。



確かに打ち上げられた海藻を見てみると、赤やら緑やら紫やら…カラフルだ。

寒いけれどやめられないビーチコーミング。しかし、探せども完全体のカシパンは見つからず。どのくらいの時間が経ったのか。革手袋をはめた左手は、カシパンとウニの欠片や貝で山盛りとなっていた。
息子の方を見ると波打ち際からかなり離れた乾いた砂の方にいた。手招きするので行ってみた。すると…何と!完全なる姿のハスノハカシパンを2個も持っている。歓喜!さすが息子!「すごいね~」と言ってる間にもう1体見つけて合計3個に。


あー、カワイイ。カシパンちゃん。いつまでも見ていられる。
このまま壊さないように持ち帰らなければ。息子は車のアームレストの小物入れにカシパンたちを収納した。

体は冷え切っていたが、カシパンを見つけたことで嬉しさいっぱいで興奮していた。

ビーチコーミングの後、「親子岩ふれ愛ビーチ」からえりも方面を眺め、息子が「車で途中まで登れるという岬に行きたい」と指さした。それがエンルム岬だった。

続く


名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「旅行」カテゴリーもっと見る