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ポジティブな私 ポジ人

襟裳岬まで⑩ ついに襟裳岬

アポイ山荘を出て1時間程で襟裳岬「風の館」に到着した。

風の館は襟裳岬と風をテーマにした施設となっている(入場料大人300円 小人200円)。
施設の入り口からは長いカーブ状の廊下になっている。一度来たことがある息子が、ここが「カルマン回廊」と呼ばれ、風が作る“カルマン渦”を意識したデザインだと説明してくれた。

(風の館のリーフレットより)

襟裳岬は風速10メートル以上の風が吹く日が年間260日以上もある日本屈指の強風地帯ということだ。
風の館にはその“風”を体験できるコーナーがある。
15畳位のスペースの前方真ん中に風を起こす円形の装置があり、その装置の最先端が風速25メートル。遠ざかるに従い、風速15メートル、10メートルの3段階。
それぞれの風速の箇所には転倒防止のためアーチ型のバーが、つかまりやすい高さで設置してある。

午前10時半からの風体験コーナーが始動したが、観光客は少なくコーナーには誰もいない。
恐る恐る風速10メートルからチャレンジしてみた。まだ大丈夫。立っていられる。風に逆らい前進。風速15メートルも慣れればバーに捕まらずにいられる。さらに前方へ進み最大風速25メートル。これは相当な風だ。
外側から見ていた息子が、強風に吹かれる私を見て「今の年齢から10歳は老けていたわ」と言った。私の75歳の姿だったか…。

館内には、様々な展示物があったが、その中でも百人浜に打ち上げられた数々の大型海洋生物の漂着した骨格の展示ケースには見入ってしまった。
こんなに打ち上げられるなら、カシパンもいっぱい流れ着いているのではないか…息子も同じ思いで、百人浜でビーチコーミングしてみたいものだと話した。

その後、施設の二階へ上がり、待望のアザラシの観察。晴れていたのでよく見えた。

アザラシ観察に夢中。

4箇所ほど望遠鏡が設置されている。ほぼ私達家族しか居なかったため、あらゆる望遠鏡を覗きまくり。
覗き穴の一番大きな望遠鏡から、息子の指導でゼニガタアザラシの姿を写真に収めた。


おわかりいただけただろうか?
全部岩に見えちゃいそうだが、ゴロゴロと10頭ほど転がっている。この日は施設によると、確か30数頭が確認されていたはずだ。

これがゼニガタアザラシ。名前の由来は、その名の通り体の模様が穴の空いた銭の形だから。

自宅で背筋の筋トレをしていた時に、息子に「アザラシみたいだ」と言われた事がある。だから親近感がわく。
こんなのが何頭も波に打たれながら、岩場での~んびりしている。見てるうちに、ゼニガタアザラシになりたくなった。
海には食べ物が豊富だし、働かなくて良いし、危険もそんなに無いのじゃないだろうか。シャチにさえ気を付けていれば…。そう思っていたが、甘い考えだった。

ゼニガタアザラシは、過去には乱獲などにより絶滅危惧種に指定された時期もあった。保護活動等により頭数が増えレッドリストから外されたのだが、今度は、アザラシによる漁業被害が多くなり、一定数間引きされているらしい。天敵はシャチじゃなく人間様だった。

ゼニガタアザラシは一年中観察できるそうだが、夏場にはもっとたくさん訪れるそうだ。その頃には、お客さんもアザラシ並みに訪れ、望遠鏡の順番待ちが発生するんだろうなあ。


風の館のマスコット、ゼニガタアザラシのウィンディーくん。

風の館の外観。灯台の光を遮らないよう半地下状の建物となっている。要塞みたいだ。


襟裳岬の先端から続く岩礁。奥の小さな岩より手前の大きい岩場、その根本付近がゼニガタアザラシが多数日向ぼっこしていた場所。


北海道の形が逆さまに表示されているのが面白い。中央上部の出っ張りが正にここ。襟裳岬だ。

岬の先端へ向かっていると、自撮り棒の先にスマホを取り付けた青年が、岬の先端へ走っていくのを遠目に見かけた。スマホの画面に向かって大声で話しているようなので、息子とユーチューバーの生配信をやっているのだろうかと話していたが、近づいてみると、どうやらテレビ電話で友人と話しているようだった。
この絶景を、ここから遠く離れた誰かに生中継で見せる。そんな素敵なこともできる時代なんだなあと思った。

優しい風が吹いていた。
襟裳の春は何も無い春だったか。
シーズンオフで土産物屋もシャッターを下ろしていた。花もない。緑もない。けれども雄大な大自然がある。岬と風と波。太陽と海。そしてゼニガタアザラシ。それだけあれば何もいらない襟裳の春。

続く













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