元々生き物を見るのが好きなのに、アニサキスにすっかり頭を支配されていた。
写真が一枚も無いけれど、とっても良い施設なのでご紹介。
小さな施設ながら充実している。
入館料が無料というのが素晴らしい。
サケや生き物の関連図書が、多数本棚に用意されているのもうれしい。置いてあるグッズも素敵。
水槽にはその名の通り、サケ類の魚が豊富に展示され、稚魚、幼魚等、鮭の成長過程も分かるようになっている。
地下を降りていくと、水槽が並んでいる様に見えるのだが、実は外にある観察池の内部が、そのままガラスを通して見られる仕組みになっている。
幻の魚と呼ばれるイトウも、大きくて迫力のある姿をじっくり観察することが出来る。
様々な魚を観ながら地下を進んでいくと、上りの階段があり、地上の観察池へと通じる。
地上に上がって直ぐの観察池の側には「鹿に注意」の張り紙があって、ギョッとした。さけ科学館だけに(笑)。
ここにも鹿がやってくるのか。池の水でも飲みに来るのだろうか。それだったら、熊だって来るかもしれ。なんたって、鮭がぎょうさん観察池に居るのだもの。
ちょっと不安になって、辺りをキョロキョロ見回した。幸いなことに、大型の動物は一頭も居なかった。ふー、安堵。
そういえば、息子が回したガチャポンの隣には、鮭の餌のガチャポンがあった。当たり外れのない、餌が出てくるだけのガチャポン。一回200円。
私達が「アニサキス」を狙って躍起になっていた時、餌のガチャを回していった男性がいた。
池の鯉ならぬ、観察池の鮭に餌をやりに行ったのだ。
私も餌やりをやってみれば良かったなあ。次回来た時にでもやろう。しかし、そろそろ雪が積もる時期だ。あの観察池は、蓋でもするのだろうか。
何れにしても鮭の餌やりは、来年の雪解け以降になりそうだ。
観察池から、すぐ隣の別棟へ向かう。
こちらには札幌市内に生息する淡水魚が展示されている。魚だけでなく、その他にも両生類、甲殻類など、むしろコチラの方がバラエティーに富んだ水生生物がたくさん見られる。珍しい生き物がいて面白いし、また、見ごたえもあるのだ。
息子とあーだこーだと喋りながら、観察するのは楽しかった。
別棟を観終えて外へ出ると、今朝サラリと降った雪が少し溶けて、空気がしっとりしていた。
さけ科学館は、交通量の比較的多い道路から離れてポツンとある。その佇まいがまたいい。
さけ科学館を北側に見て、駐車場に立つと、西側と東側にそれぞれ異なる針葉樹が並んでいる。その場に佇んで両サイドを見比べる。
植樹されたのか、その並び方は規則正しい。東側が恐らくマツ。西側は恐らくモミの木なのじゃないかなー。枝が下向きで、葉が不規則に垂れ下がったさまが、少しオドロオドロシくて好きだ。残念ながら木には詳しくないので、間違っているかも知れないけど。
それらの針葉樹の緑色が、何とも言えず味わい深い緑なので、うっとりした。
溶けた雪がしみて、黒くなったアスファルトが、よりいっそう木々の緑色を引き立てていた。
なんて素敵な緑の木立。それに真駒内公園の澄んだ空気が心地よく、ああ幸せだなあと感じた。
あんまりぼんやり佇んでいるものだから、息子に「どうしたの?」と聞かれたほどだ。
駐車場の息子の車へ向かう途中、大きめの野鳥が、緑の木立の間を横切ったのが見えた。
立ち止まって目を凝らすと、ミヤマカケスが見えた。
枝から降りて、地面をくちばしでつついている。もしかしたら冬に備えて貯食行動をとっているのかも知れない。
調べたら、ドングリを地面に埋めるらしい。カケスが食べ忘れたドングリは、芽を出して森を形作るのだろう。自然界はよく出来ている。
カケスの羽の色が美しいので、しばらく立ち止まって眺めていた。
そんな私に息子は無言で付き合ってくれた。
私に流れる時間と、息子に流れる時間は違う。息子の時間は私よりずっとずっと貴重な時間だと、この文章を書きながら改めて思った。