見出し画像

ポジティブな私 ポジ人

何気に寄ったエドウィン・ダン記念館

ほぼ何も予定の無い毎日だが、ほぼ毎日フリマの発送がある。ささやかな私の仕事。

土曜日に友人から預かっている本が売れた。シリーズの12冊セット。重さが6キロある。購入者の方に、うっかり「発送は明日の予定」と連絡してしまった。日曜日なのに。
近所の郵便局は閉まっている。購入者に連絡して月曜日に出す、という手もあったけど、サッサと発送を終えて安心したい。
結局、日曜日でも開いている、真駒内に位置する南郵便局へ行く事にした。

夕方からは雨の予報だが、良い天気だし久々に自転車で出かける事にした。荷台に荷物を積んで出発。

南郵便局まではダラダラとゆるい上り坂だ。最短コースで向かったが、そのコースには日陰がほぼなかった。お昼だったので、お日様は真上から射し、ダラダラ坂は地味にきつかった。
汗だくで郵便局に着き発送を終えて、家に引き返そうとした所、道路を挟んだ隣に、爽やかなミント色の屋根の「エドウィン・ダン記念館」が目に入った。

自転車のロックを外そうとした手を止めて、引き寄せられる様に「エドウィン・ダン記念館」へ向かった。

「エドウィン・ダン記念館」は外観はよく見ていたが、一度も中に入った事は無かった。
エドウィン・ダンがどんな事をしたのかもほぼ知らずにいた。

中に入るとヒンヤリと涼しかった。

この建物は、明治13年(1880年)にエドウィン・ダンによって北海道開拓使の「牧牛場の事務所」として建てられたそうだ。ずいぶん古い建物だが、老朽化のため本格的な改修工事をして、平成15年5月にリニューアルオープンしている。
その素敵な色合いからして、好感の持てるコンパクトな建物だ。

品の良い受付のご婦人が出てきて、館内の順路などを丁寧に説明してくれた。
来館者の署名をして、小さな館内をゆっくり見た。来館者は私一人きりだった。

エドウィン・ダンは北海道の酪農の普及に尽力したオハイオ州出身のアメリカ人だ。
美味しい牛乳を毎日飲めるのも、エドウィン・ダンのおかげなのだな〜。

館内は説明に大きな絵を多数展示しており、見やすく分かりやすい。

順路の最初は資料室から。
大きなローテーブルには様々なぶ厚い資料が乗っていたが、それはスルー。
開け放たれた扉には、エドウィン・ダンの「ダンかるた」が10数枚ほど飾られていた。素朴な絵でほっこりするのだが、そのかるたを写真に収めなかった事が、悔やまれる。

そばのテーブルの上に読み札の方もあり、「え」の読み札の内容が確か「エゾオオカミをストリキニーネで駆除したエドウィン・ダン」みたいな事が書かれていた。
扉にある絵札には「え」から始まるものがなかったが、廊下に出ると、それに因む大きな絵があった。

エゾオオカミに襲われる馬の図。


牧場はエゾオオカミにとって、格好のエサ場になっていたらしく、当時牧畜の被害が大きな問題だったようだ。結局ストリキニーネで駆除し、周辺のエゾオオカミはすっかり排除されたらしい。

余談だが、エゾオオカミの剥製2体が、北大植物園内の博物館に展示されている。絶滅してしまったエゾオオカミの姿は、ここでしか見られない。

興味深い絵があった。
私が最近読んだ「北海道残酷史」にあったバッタの襲来が描かれていたのだ。
馬で進む二人の頭上には降るほどのバッタ!
エドウィン・ダンと、後ろはアイヌの従者の方だろうか。

「28haのとうもろこし畑等がすっかり食い尽くされた」と書いてある。


子供の頃にちゃんと勉強しなかったので、今頃あちこちで北海道の史実が繋がり、理解している。まあ、それも楽しい。

順路に従って、テラスへ。
スリッパのまま出て良いと言われたのでそのまま出た。
木立の間を吹く風が涼しい。
先ほどの受付のご婦人が、先日訪れた3人組の女性たちが、ここでランチを広げていたと教えてくれた。それはさぞかしお弁当も美味しかったことでしょう。


テラスから見えるミント色の屋根が可愛らしい。
良い場所だ。私もランチを持参して、また来館したくなった。


テラスから戻って、次の展示室へ入る前に掲げてある絵を見る。

エドウィン・ダンの奥様は日本人のツルさん。エドウィン・ダンの指導で乗馬も巧みだったと書いてある。
ツル夫人とアイヌの従者の絵。

エドウィン・ダンが病に倒れた際、心配で馬で140キロを15時間かけて彼のそばへ行ったらしい。その時にアイヌの方がお供したとある。
当時、様々な形でアイヌの方々が関わって活躍していたのだなと感じられる。
それにしても、移動手段が馬の時代だったんだねえ。今では、想像すら出来ない。


次の絵は左側にクラーク博士、真ん中にエドウィン・ダン。彼が手に持っているのは、お砂糖の元になる甜菜だ。

「これが北海道における甜菜耕作の初めである」と書かれている。

甘い砂糖も、エドウィン・ダンのおかげかー。クラーク博士もね。


真駒内種畜場の風景。ホルスタイン種が放牧されている。

下の絵は明治天皇が視察に来た際の様子。天皇の御前であることから、燕尾服、シルクハット、白手袋の正装での農作業。「こんな格好で農作業したのは世界で自分だけだろう」とエドウィン・ダンが語ったと書いてある。


左の人々の最前列に明治天皇と思しき人が描かれている。

絵の中の姿にそんな事情があった事を知って、何か可笑しかった。エドウィン・ダンも、きっと仲間内で大笑いしながら語ったんだろうな。豪快そうな人みたいだから。想像しただけで、もらい笑いしそう。




誰かに似てる。

エドウィン・ダンと夫人のツルさん。奥様は美しい人だ。
「この結婚を一瞬といえども後悔したことはない」とエドウィン・ダンに言わしめた奥様は、きっと素敵な方だったんですねえ。



ゆかりの品々











晩年のエドウィン・ダンの肖像。


足元に犬が寝そべっているその人が、エドウィン・ダン。犬のリラックス具合から、好人物であったことがうかがえる。


何か古き良きアメリカ人という感じが滲み出ている。北海道の牧畜や農業に、大きな功績を残してくださった方だった。今ある北海道酪農の礎を築いた方。ありがたいことです。

受付のご婦人へ「ありがとうございました」と声をかけて、涼しい記念館から日差しの強い外へ出た。

真駒内からはダラダラ坂の下りが続く。
ほぼペダルを漕ぐ事なく、自転車で帰路に着いた。


コメント一覧

ポジ人
@809080908090 そうなんですよ~。札幌に長く暮らしているのに。
おっしゃるとおり、とても良い場所ですね。訪れる人が少ないというのも、残念ですけど、それも私達にとっては魅力の1つですね。

温かいお茶、凍えた体に沁みたでしょうね。受付のご婦人、とても素敵な方ですよね。
809080908090
意外です!エドウィン・ダン記念館は初めてだったんですね😳
ご婦人自慢の手作りカルタですね❗
館内はクーラーが利いている訳でも無いのに真夏でもヒンヤリですよね。
身体に優しい涼しさだと思いました。

ボクが最初に行った時は寒くて、豊富な資料に目を奪われ長居しているとご婦人が熱いお茶を出してくれました。

子馬を全部喰われた!とか、バッタの襲来…オオカミ絶滅の一因ともなったであろう毒殺、当時の凄絶な様子にボクも驚愕しました。
多くの開拓者が餓死などで命を落としたのだから、現在の倫理観で是非を語る事は出来ないのでしょうね。

テラスや公園もあり素敵な場所なのに勿体ない話ですが、来館者が少ないのが良いのかも知れません。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「旅行」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事