阪神間で暮らす-2

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排他的なダボス会議

2018-04-04 | いろいろ

賀茂川耕助氏の「耕助のブログ」より

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排他的なダボス会議

 世界経済フォーラム、別名ダボス会議と呼ばれる会合がある。世界の民と官のリーダーたちが毎年スイスの豪華リゾートに集まり、国際紛争、貧困、環境問題など、世界的な懸念事項における主要課題と可能な解決策について話し合う場であるという。

 今年1月に開かれたダボス会議は、日本からは安倍首相が国会対応を理由に参加しなかったためか、詳細な報道が日本ではあまりなかったようだが、米国のトランプ大統領、ドイツのメルケル首相、フランスのマクロン大統領、英国のメイ首相と各国の首脳が参加したことから、日本からも何としてでも出るべきだったという声もあったという。

 世界経済フォーラムの会員企業は世界の大企業千社で、ダボス会議にはこの他、政治家や学者、メディアの代表者などが参加する。会員企業の多くは巨大多国籍企業で、基本的な年会費として5万スイスフラン(約570万円)、会議にCEOが参加するには別に2万5千スイスフラン(約280万円)が必要となる。さらにインダストリー・パートナーは25万スイスフラン(約2900万円)、ストラテジック・パートナーになると50万スイスフラン(約5700万円)をそれぞれ納め、パートナーとなるとダボス会議を主導すべく重要な役割を担えるという。

 会議に参加すればホテル宿泊代や交通費、さらには飲食代もかかるだろうが、大企業のCEOにとって、世界のリーダーたちと一堂に会して「世界経済」を形作るチャンスを考えればどうということのない金額かもしれない。

 しかし「世界経済フォーラム」という名称でありながら、このような会費を払えるのはごく一部の国の少数の人であり、世界の数十億の人はこのダボス会議とは全く無関係だ。真に国際紛争、貧困、環境問題などを話し合う場であるなら、ここまで排他的である必要があるのだろうか。

 それだけではない。こうした大企業のある先進工業国でも労働者は数百万人という単位で失業、または長期にわたる賃金の停滞に見舞われている。結局ダボス会議が推進していることはグローバリゼーションであり、生活のあらゆるものを商品にすることだ。経営者や銀行家、政治家や官僚たちは資本主義社会において資本家たちの利益を最大化するためにスイスに集まり、それを話し合ってきた。そして見事に、その世界ができ上がった。世界の貧困者を支援する国際NGOオックスファムは、ダボス会議の開催に合わせて、2017年の時点で世界の富全体の82%は、世界の総人口のわずか1%の富裕層の手に入っていると発表したのである。

 世界経済フォーラムが取り組むべきことは、資本主義によってもたらされる富の集中、貧富の格差をなくすこと、そして労働者の地位の向上であろう。それは核兵器の脅威や気候変動などの環境問題を解決するよりはるかに容易なことだと思われるが、ダボス会議でそれらが真剣に議論されることは決してないだろう。
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