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風雲急を告げるトランプ城の危機に安倍総理は何を感じるか  (抄) Plus

2017-12-18 | いろいろ

ジャーナリスト田中良紹氏のヤフーニュースのコラムより

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風雲急を告げるトランプ城の危機に安倍総理は何を感じるか

 12月に入ってからのトランプ大統領は眠れぬ夜が続いているのではないか。打つ手がことごとく裏目に出て、大統領就任以来最大のピンチを迎えているように見える。

 軍事オプションをちらつかせても北朝鮮は全米を射程に入れたICBMの発射実験を成功させ、エルサレムをイスラエルの首都に認めたことで世界中から反発され、「ロシア疑惑」はいよいよ捜査が政権中枢に迫り、アラバマ州上院補選で応援した候補が敗北、その流れで本人のセクハラ疑惑が再び批判を浴び始めた。

 1年前の11月、安倍総理はトランプ氏が大統領に当選すると真っ先に駆け付け、自分も偏向メディアと闘っている同士だと訴え、頻繁に電話会談を行うなど各国首脳と比べて特別の関係であることを誇示してきた。しかしここにきて風雲急を告げるトランプ城の形勢に安倍総理は何を感じているだろうか。

 先月末にNHKは「スクープ日米首脳会談の内幕―対北朝鮮戦略―」と題するドキュメンタリー番組を放送した。世界で最もトランプ大統領と会談を行っているのは安倍総理で、二人の北朝鮮戦略を巡る極秘の電話会談をNHKはスクープ取材したというのである。

 フーテンは長年ドキュメンタリー番組を作ってきたが、そもそも極秘会談をメディアがドキュメント出来るはずはない。NHKの人間がその場にいて映像と音声を記録すればそれはドキュメントだが、メディアが同席すれば極秘会談でなくなる。

 メディアに出来るのは会談の後で誰かに内容を取材することである。しかし極秘会談であれば取材された人間が本当のことをしゃべる保証はない。会談の音声記録をすべて聞かない限り本当のことは分からない。会談の一部を教えられただけなら、権力側に切り取られ意図的に「リーク」された情報でしかないと受け止めるべきである。

 それを「スクープ」とか「極秘会談の内幕」とか、あたかも真相を取材したかのように放送するのは放送倫理上問題がある。少なくも公共放送がやるべきことではない。そうした批判のうえで番組内容を紹介すると、番組には安倍総理がトランプ大統領と「蜜月関係」にあることを印象づけたい狙いがあった。

 まず番組はトランプ大統領が北朝鮮政策で安倍総理の考えを参考にし、強硬策は安倍総理との会談から生まれたような描き方をした。しかし米国には今でも北朝鮮と水面下のルートがあり、安倍総理より何十倍もの情報を握っているはずだ。逆に日本は北朝鮮の近くにありながら世界一北朝鮮情報を持ってない。

 第一次安倍政権の時、安倍総理は「制裁強化」を叫び日本と北朝鮮との人的往来を厳しくした。そのために日本の公安調査庁は北朝鮮の情報源を失ったと元公安調査庁幹部が『この国の不都合な真実』(徳間書店)で告発している。

 しかしNHKの番組はトランプ大統領が安倍総理を頼っているように描くのである。「ここにシンゾーがいないのが寂しい」とトランプ大統領役の声優が電話会談での感傷的なセリフをしゃべり、それがフロリダの別荘から見える夕陽の映像と重なって流れる。

 ドキュメンタリーと銘打つ以上大統領本人の声が流れなければ信用する気にはなれないが、NHKは恥ずかしげもなくドラマもどきの内容を放送した。この番組によって安倍総理とトランプ大統領は運命を共にする政治家だという印象が国内にばらまかれたと思う。

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別Webより Plus

 従って12月に入ってからのトランプ大統領の急速な危機に安倍総理が何を感じているかがフーテンは気になる。

 先月に行われたアジア歴訪までのトランプ大統領は安倍総理ともどもご満悦だった。それが帰国後に一転する。

 北朝鮮強硬策を貫く大統領は北朝鮮を「テロ支援国」に再指定し、安倍総理もすぐにそれを支持したが、北朝鮮は対抗するように新型ICBM「火星15号」の発射実験を行い、ミサイルが全米どこにでも到達可能であることを示した。

 この事態にティラーソン国務長官は国際社会が「海上封鎖」を行う必要があるとの声明を発した。キューバ危機を思わせる対応だが「海上封鎖」は戦争の引き金になる確率が高い。一気に緊張が増大する中で世界は12月1日を迎えた。

 その日、米国では「ロシア疑惑」が急展開を見せた。トランプ大統領の側近だったフリン前大統領補佐官がFBIに対する虚偽の供述を認め、司法取引に応ずる姿勢を示したのだ。

 フリン氏が誰の指示に従ったのかに注目が集まる。大統領本人か娘婿のクシュナー氏か。疑惑は政権中枢に向けられた。

 政権への打撃をそらすためか、それともユダヤ・ロビーの力を必要としたのか、トランプ大統領は6日にエルサレムをイスラエルの首都と認め、米国大使館をテルアビブから移転すると発表した。この声明に世界中から激しい反発の声が上がる。

 アラブ世界だけではない。欧州からもアジアからも批判が高まり、米国は世界から孤立することになった。これまで中東和平の仲介役を果たしてきた米国はこの日をもってその役目を放棄した。戦後の世界を主導した米国の威信は失われ、反米テロの連鎖が懸念される事態となった。

 すると11日朝、ニューヨークの中心部タイムズスクエア近くで自爆テロが起こる。素人の作った爆弾だったため大事に至らなかったが、容疑者は爆破直前に「トランプよ、お前にはアメリカを守れない」とSNSに書き込んだ。テロがアマチュア・レベルに浸透していることは大惨事にならずとも危機の深刻さを物語っている。

 現在の米国政治が最優先課題とするのはレーガン以来と言われる大規模な「税制改革」である。「オバマ・ケア廃止」に失敗したトランプ政権にとって何としても成立させなければ鼎の軽重を問われる。問題は共和党議員3人が反対に回れば法案が否決されるという接近した議席数にある。

 そうした中で12日に共和党の牙城アラバマ州で上院補欠選挙が行われた。共和党候補となったのはトランプ氏の側近で極右のバノン前戦略官が推したロイ・ムーア氏である。共和党主流派とトランプ大統領は別の候補を支持したが予備選でムーア氏に敗れた。そのムーア氏には40年前のセクハラ疑惑が持ち上がっていた。

 トランプ大統領は選挙直前にムーア氏の応援に駆け付ける。すべては税制改革法案成立のためである。ところが選挙結果は25年ぶりに民主党候補が当選するというまさかの番狂わせになった。上院の議席差はわずか2議席。税制改革法案の成立に黄信号が灯った。

 これは来年の中間選挙にも直結する。民主党が多数党奪還を目指して政局を仕掛ける一方、トランプ大統領と共和党主流派、そして敗戦をもたらしたバノン前戦略官ら極右勢力との間の不協和音は止まらない。しかもムーア氏の敗戦でセクハラ疑惑が注目される結果になった。

 大統領選挙中にトランプ氏のセクハラ疑惑を訴えた女性3人が今度は議会に調査を要請した。

 大統領は疑惑を否定しているが、しかし女性票の行方に影響することにでもなれば無視はできない。12月のトランプ大統領はまさに雪隠詰めの状態である。

 最も親密な関係にあるはずの安倍総理は沈黙したままだが、ティラーソン国務長官は北朝鮮強硬策を転換させ対話路線に切り替えることを口にし始めた。トランプ路線が後退を迫られたら安倍総理はどうするか。運命を共にするつもりかをフーテンは聞いてみたい。
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