阪神間で暮らす-2

テレビを持たず、ラジオを聞きながら新聞を読んでます

ニュースは「偏り」前提、それを踏まえて判断するのが重要

2018-01-01 | いろいろ

より

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ニュースは「偏り」前提、それを踏まえて判断するのが重要――荻上チキ×プチ鹿島 対談

 あるニュースを新聞が書いても書かなくても、ネットで「偏向報道」だと言われる昨今。そのなかで『すべての新聞は「偏って」いる』を著した荻上チキ氏は、今年の新聞報道をどう分析するのだろうか


ニュースは「偏り」を前提にして読む!

『すべての新聞は「偏って」いる』を上梓した荻上氏。一方、「時事芸人」として知られるプチ鹿島氏も新聞をキャラ付けして楽しむ『芸人式新聞の読み方』を提唱している。アプローチは違えども、ともに、「ニュースにはバイアスがあるのが前提」と指摘する――

荻上:新聞の見方をどう提示するかもひとつの芸で、僕は数字を出すスタイル。鹿島さんは各新聞の立ち位置を明確にするために、擬人化をしていますよね。朝日はインテリおじさんで毎日は書生肌のおじさんで、産経は和服の小言おじさんというように。

鹿島:M-1の審査員じゃないですけど、新聞も「どっちが好き、どっちが嫌い」ってなっちゃうじゃないですか。

荻上:和牛がよかったのに!とか。

鹿島:新聞を好き嫌いで語るとガチンコの言葉の投げつけになってしまう。それを回避するためのキャラ設定をしようと。新聞は「自分が正義だ!」と主張し合っているおじさんで、どっちが正しいという話ではない。例えば、朝日おじさんは産経おじさんにどんだけ絡まれてもツーンとしてる。

荻上:朝日おじさんは、政治家のほうをよく見てますよね(笑)。

鹿島:似てると思われている読売おじさんと産経おじさんだって、違っているわけです。

荻上:産経おじさんは最後まで己を貫く。ブレないけれど、読売おじさんは「まぁまぁ、このあたりで」と、大衆を誘導する。

鹿島:今年の5月、安倍さんが憲法改正について聞かれ「読売新聞を熟読して」と言ったとき、産経おじさんはやはり、悔しかっただろうなと思いますよ。

荻上:なんでオレじゃないんだ! こんなに応援してるのにって。

鹿島:僕は最近、野球に喩えるんですけど、「安倍政権」という野球場には一塁側に読売と産経がいると思うんですよ。僕自身は本来的にはジャーナリズムは三塁側にいるものだと思います。でも、現実的に一塁側に陣取っているわけで、だったら、どんなヤジを飛ばしているかを見て楽しもうと。


どの偏りにコミットするかという話になっている・荻上チキ

荻上:まずどう偏っているのかを考え、それぞれの偏りを踏まえて自分で判断をするのが重要なんですが、どの偏りにコミットするかという話になってしまってますよね。ツイッターの自己紹介欄にある「普通の日本人です」的な。

鹿島:「普通の日本人」って、一番ざわざわしますね(笑)。

荻上:「中道です」とか。

鹿島:自分の考えている中道こそ危ないですよね。

荻上:僕はよく、すっごい“右から目線”で「左が!」って言われたりするんです。どの立場だと言われても別にいいんですけど、そんなに右から言われても、その距離感はすごいよとは思います。

鹿島:ホント、レッテル貼りで終わってしまうのはもったいない。

荻上:誰を仮想敵にするかで、メディアの立場が変わります。「第4の力」のメディアは政権をチェックするものですが、最近は仮想敵として政権をチェックするメディアを批判するという分岐が起きている。それがあまりに露骨で、応援団的メディアが出て、それを批判するネットメディアが出たり、なんか有象無象になってますね。

鹿島:僕は野次馬だから、相手陣営へ覗きにいくんですけど。

荻上:どちらかがやらかしたときだけ、その発言を責める。互いの底辺を攻撃して、自分の優位性を誇るみたいな。そんなゲームばかりだと言論の質は上がりません。

鹿島:遠く離れて雪合戦してるようなものですよね。相手の陣地に入って見てみることも、たまには必要だと思います。

荻上:そういう意味でも、新聞の読み比べは必要なんですよね。ネットメディアも広がってはいるけれど、最も読まれていて議題設定効果のある新聞はやはり役に立つ。

鹿島:僕、新聞を読むときはまず、産経、東京の右端と左端から読むんです。同じ日本だけどこれだけ違うんだと思うんですが、そこから読売とか毎日に戻るんです。

荻上:僕は逆ですね。朝日、読売から読む。産経と東京から読むと、訳がわからなくなるので(笑)。

鹿島:最近なんだか、毎日を読むのがすごく心地がいいんです。

荻上:僕の本の帯、「読売の本音、朝日の法則、産経の戦略」で、毎日が入れられなくて……。

鹿島:そこはね。毎日の宿命というか、毎日のいいところでもあるんですよ(笑)。

【プチ鹿島氏】
スポーツからカルチャー、政治までをウオッチする時事芸人。著書に『芸人式新聞の読み方』(幻冬舎)、『教養としてのプロレス』(双葉文庫)

【荻上チキ氏】
評論家、ニュースサイト「シノドス」編集長。ラジオパーソナリティとしても活躍。『すべての新聞は「偏って」いる』(扶桑社刊)が発売中
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