阪神間で暮らす-2

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頻発する米銃乱射事件

2018-04-12 | いろいろ

賀茂川耕助氏の「耕助のブログ」より

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頻発する米銃乱射事件

 昨年10月、ラスベガスで59人が死亡、527人が負傷したという銃乱射事件が起きた米国では、今年2月にもフロリダ州の高校で19歳の元生徒が銃を乱射し、17人が死亡するという事件が起きた。

 犯罪の多い中南米の国々では殺人事件が頻繁に起きているが、日本が同盟国として追随する米国では先進国にもかかわらず、銃による悲惨な事件が頻発している。フロリダ州の高校で犯人として逮捕された少年はたびたび動物を殺していることを友人らに豪語し、インスタグラムに写真も載せていたというから精神的に病んでいたのは明らかであろう。

 銃による大量殺人事件が起きるたびに米国では銃規制が論議される。米国ほど簡単に銃器を入手できる国はなく、スーパーやインターネットでも購入できる。事実、米国人はどの国の市民より多くの銃を保有しており、1人当たりの数としては世界一だ。このため銃乱射事件の原因は銃器の数にあるといわれる。銃規制を本当に行えばどうなるか興味はあるが、銃ロビー団体の全米ライフル協会はトランプ大統領の支持団体であるため、もちろん実現されることはないだろう。

 トランプ大統領は米国人には自衛の権利があり、銃を持つ権利があるという。17人が犠牲になった銃乱射事件の後も被害者の遺族と面会した際に「教師が銃を持って武装していれば、事件はもっと早く終わっていた」と発言している。教師の銃武装は全米ライフル協会が以前から主張してきたことだ。18歳が攻撃用ライフルを簡単に買うことができないよう規則を変えることすらできないのは、大統領だけでなく、多くの議員が全米ライフル協会から政治献金を受けているからである。

 これほど多くの銃乱射事件が後を絶たないのは銃器の数だけの問題ではない。「米国人には自衛の権利があり、銃を持つ権利がある」というその言葉は米国の防衛予算を反映している。ストックホルム国際平和研究所のリポートによれば、2016年の世界全体における軍事費総額は1兆6866億ドルで、米国だけで3分の1の6112億ドルを計上している。米国でこれほど多くの銃乱射事件が起きるのも、世界中で米軍が「自衛」という名の下で行っている暴力行為と関係がある。

 かつて米国でデニス・クシニッチ下院議員が武力を使わず紛争解決するための原則を米国社会に作りたいとして、「平和省」の設立を求める法案を起草した。同氏は大統領選挙にも立候補したが、「平和省」について語るたびに嘲笑の的となった。クシニッチ氏は2012年に政界を引退したが、彼が求めたのは国家間の紛争において、まず非軍事的な手段をとることを前提とする基盤だった。しかしこの構想は、米国では非現実的であり、同氏は変人として扱われたのだった。

 米国社会の銃乱射と世界中で戦争をする米軍、その裏には軍事的に強いものが偉いという考えが深く根付いているのだろう。銃規制はもちろん必要だろうが、それ以前に武力で相手の優位に立つことが強い国だという考えを米国が捨てない限り、米国ではこれからも子どもや若者たちがその犠牲となっていくのである。
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