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アマゾンは5年後、何をどこまで支配 【その1】

2018-01-16 06:12:23 | 日記
アマゾンは5年後、何をどこまで支配 【その1】
2016年、アマゾンはウィメンズ・アパレルのプライベートブランド(PB)「ラーク&ロー(LARK & RO)」を立ち上げ、欧米のアマゾンプライム会員限定で販売を開始した。 米モルガン・スタンレーによると、2016年のアマゾンのアパレル商品の売上高は、なんとウォルマート・ストアーズに次ぐ全米第2位なのだそうだ。
さらに2017年には、米国のアマゾンプライム会員限定で「プライム・ワードローブ(Amazon Prime Wardrobe)」というサービスも始めた。これは、ユーザーが自宅で商品を試着できるというもの。気に入らなければ、7日以内なら送料無料で返品できる。
だが、上記2つの新事業のリスクは小さくないはずだ。アマゾンのPBは、これまでアマゾン経由で商品を販売していたブランドとの競合が避けられない。へたをするとアマゾンから撤退するブランドも出てくるのではないか。プライム・ワードローブは返品コストを全額アマゾンが負担しなければならない。
その答えは、本書『アマゾンが描く2022年の世界』で分析、解説されるアマゾンの描くビジョンや長期戦略を理解することで見えてくる。
 著者の田中道昭氏は立教大学ビジネススクール(大学院ビジネスデザイン研究科)教授。企業戦略&マーケティング戦略、及びミッション・マネジメント&リーダーシップを専門とし、シカゴ大学経営大学院でMBAを取得している。また、株式会社マージングポイント代表取締役社長として、多業種を対象とするコンサルティングの実務にも携わる。
 本書には、アマゾンCEO兼共同創業者のジェフ・ベゾスが、同社を起業する際に紙ナプキンに書いたというビジネスモデルを表す図が掲載されている。この手書きの図には、中心に「Growth(成長)」と書かれた円がある。そしてその周囲に「Selection(品揃え)」「Customer Experience(顧客の経験価値)」「Traffic(トラフィック)」「Sellers(売り手の数)」という4つの単語があり、この順番に「→」でつながれ循環している。
多くの商品を取り扱い「品揃え」を増やすことで顧客の選択肢が増えると「顧客の経験価値」が増し、満足度を上げることができる。すると「トラフィック」が増える。資料:ダイヤモンド

アマゾンは5年後、何をどこまで支配 【その2】

2018-01-16 06:10:23 | 日記
アマゾンは5年後、何をどこまで支配 【その2】

 すなわちアマゾンのサイトに人が集まってくる。多くの人が集まるサイトには、「そこで売りたい」という業者が寄ってくる。それによって「品揃え」がさらに増える。こうした好循環が「成長」に結びつく。
「顧客の経験価値の向上」は、Amazon.comでの買い物に付随する、顧客のあらゆる経験が対象となる。例えば「サイトが見やすかった」「良い商品が安かった」「他の顧客のレビューから貴重な情報を得られた」といった経験だ。「配送が迅速で、しかも無料だった」というのももちろん含まれる。
 アマゾンは、これまでに「顧客の経験価値」を高めるさまざまなイノベーションを実現している。
経験価値、すなわち顧客がどういう経験に価値を見いだすかを判断するには、顧客について詳細に知る必要があるだろう。田中氏は本書で、アマゾンがその手段として「ビッグデータ×AI」という先端技術をフル活用していることを指摘している。 
2017年にアマゾンは「アマゾンアレクサ」というAI(人工知能)音声認識システムによるサービスの提供を始めた。
 たとえばアレクサはスマートスピーカー「アマゾンエコー」に搭載されている。アマゾンエコーは、ただ話しかけるだけでアマゾンでの買い物ができるだけでなく、好みの音楽を選択して流してくれたり、知りたいであろうニュースやスポーツの結果、天気予報などの情報を音声で伝えてくれる。先に紹介した紙ナプキンの図を思い出してほしい。その中の「Sellers」、すなわち「売り手の数」を「(サードパーティーの)デバイス提供者の数」と読み替えると、アマゾンがアレクサでやろうとしていることが見えてくる。アマゾンは、2017年にアレクサを搭載した「Echo Look」を発表している。このカメラ付きデバイスは、ユーザーが撮影した写真をもとに、どのファッションが似合っているかをアドバイスしてくれる。
おそらくほとんどのメーカーやサービス提供者は、個別の顧客の意向をビッグデータやAIで予測する技術を磨き上げてきたアマゾンに追いつけない。ということは、世の中のほとんどの情報がアマゾンを経由してマーケティングや情報提供、サービスに生かされるようになる可能性だってある。
 そうなる前に、本書でアマゾンの長期的な戦略をよく理解し、自社がすべき対策を講じ始めたほうがいいかもしれない。資料:ダイヤモンド