シリコンバレーで綴る弁理士日記

創英特許事務所の米国オフィスに駐在する弁理士が日常の出来事や発見を書き綴ります。

(120) 「情熱大陸」を見て

2006年12月31日 | 仕事
日本のテレビ番組や映画のビデオを借りられるレンタルショップに立ち寄りました。よく利用している日本食スーパー「ニジヤ」の隣にあります。

店内ではいつも録画されたテレビ番組が流れているのですが、突然、聞き覚えのある「情熱大陸」のテーマ曲が流れてきました。画面を見上げると、特集は「荒井裕樹弁護士」。えぇ、有名な升永弁護士のもとで職務発明訴訟等を扱っている若手の敏腕弁護士です。

荒井弁護士とは面識はありませんが、業界で騒がれる前から彼に注目していました。

数年前、私が特許出願で少々関わっていた某企業が大型特許訴訟の当事者になり、その訴訟を代理した弁護士事務所のホームページを見ると、荒井弁護士が携わっていたことが判明。

自分よりも3,4歳若いけれども有名な大型訴訟を次々に任せられている経歴が、物凄く印象に残りました。しかも、当時ホームページで顔写真を出しているのが所長の升永弁護士を除くと荒井弁護士だけでしたので、余計にインパクトがありました(^^;

その後、幾つかの職務発明訴訟が世間を騒がせましたが、次々に荒井弁護士が関与していく事実に私は驚いていました。

ニュース報道を含めて世間では升永弁護士が注目されていましたが、もしかしたら実質的には荒井弁護士が中心に業務をしているのではなかろうかと推測し(実際のところは知りません)、近い将来に間違いなく荒井弁護士が脚光を浴びると予想していました。

その荒井弁護士の特集ということで、レンタルビデオ屋の店員さんに「これ見ていってもいいですか?」とお願いし、狭い店内で情熱大陸を立ち見することに

たぐい稀な才能もさることながら、「依頼者の利益保護のために妥協を許さない姿勢」が素晴らしいですね。マスコミで騒がれるのは「損害賠償200億円!」等という派手な一面だけですが、そこに至るまでにはコツコツとした作業があったのでしょう。

弁護士と弁理士では同じ特許分野でも役割が異なりますが、依頼者の目的を達成するために最善を尽くすという点では共通します。そういう意味では、この番組はとても参考になりました。

ただ、弁理士や弁護士の誰もが荒井弁護士の領域に達せるわけではありません。

ですが、なにも荒井弁護士の真似をしなくても、「自分に適した道」「興味のある道」でのエキスパートを目指せば、彼のように30歳で年収1億円というのは無理ですが、このご時世でもまだまだ弁理士業も楽しめるでしょうし、少なくとも食べてはいけます(笑)。

弁理士が選択できる道は、細かく見れば結構あります。

①まず職場で分けると、「特許事務所」「企業知財部」「大学」等があります。

②そして特許事務所のなかでも、「経営」に専念する道、「実務」に専念する道があります。

③後者の実務のなかでも、「特許明細書作成」「中間処理」「無効審判」「ライセンス」「訴訟」「鑑定」「内外業務」「外内業務」「調査」等があります。

④さらに、特許明細書作成においても、訴訟やライセンスを考慮した明細書を追及しても良いでしょうし、将来の外国出願を考慮した明細書を追及しても良いでしょうし、特定の技術分野の知識を豊富にしても良いでしょうし、または、誰にも負けない明細書作成スピードを追求する手もあります。

何にでも対応できる万能弁理士もいるかもしれませんが、そんな方はごくごく稀。

自分の興味ある道を究め、その結果として依頼者から感謝の言葉を頂けたら、その仕事のスケールが荒井弁護士のものよりも小さくても、しっかりと依頼者のお役に立てて業界にも貢献していると思えばよいのです

ちなみに、番組は荒井弁護士の特集でしたが、その上司である升永弁護士の「私は荒井弁護士に何も教えていない」「知財に限らず、どの分野の訴訟でも荒井弁護士にお願いしたい」というセリフからは、升永弁護士の懐の深さとご自身の仕事に対する自信が垣間見えました。

ひょんなところで幸運にも「情熱大陸」を見ることができ、向上心を持って年を越せそうです。荒井弁護士、ありがとうございます。年内はもうブログを書かないつもりでしたが、ついつい。

December 30, 2006

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