もう、５０年も前の話

知人の女性の弟A君は、当時高校生でした。学校に　すごく怖い先生がいて、横暴だし今で言うパワハラだし、みんな　すごく不満に思っていたそうです。

生徒たちの我慢も　限界にきていて、ある日、「ちゃんと、みんなで先生に抗議しよう」

と、学級で話し合いが行われました。優秀で活発で　リーダー的存在だったA君が、口火を切ることになりました。

そして、その日、A君は打ち合わせ通り　授業が始まる前に先生の前に出て、普段のみんなの不満をひとしきり話たところで　後ろを振り返り、

「そうだよね　みんな」　と、言ったら…

教室中が　しーん　と静まり返り、誰も　何も言わず　固まっていたそうです。

「どうしたんだよ、みんな　あんなに怒っていたじゃないか　　そうだよね　みんな」

A君は、うろたえるより、むしろ　驚いて　みんなに問い掛けました。でも、誰も何も　言いませんでした。

「もういい、すわれ」先生が静かに　そう言って、この抗議活動は終わりました。

「その後、弟は変わってしまった。誰も　人間を信じなくなって、グレてしまったけれど、私達　家族は何もしてやれなかった」お姉さんが言っていました。「せめて　一人でも、何が言ってくれたら、弟を応援してくれたら…　弟は　あんなに苦しんだリしなかったのに…」

最近の兵庫県庁の騒動を見ていると、A君のことを思い出します