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(07/06/01)

ビューティフルボーイ

2006年03月01日 | 丁稚 定吉の映画日記
タイ映画のビューティフルボーイを観てきました。
もう10年近く前になりますが、オカマのキックボクサーがワイドショーで取り上げられたことがありました。わてもこのニュース自体の記憶があるのですが、彼(彼女)をより近く感じたのは、わての好きな女子プロレスとの接点が出来てからです。
オカマのキックボクサー・パリンヤーvs最強の女子プロレスラー・井上京子という夢の一戦が行なわれたのは98年。結果は予想通りパリンヤーの圧勝でした。
ただそこで見たパリンヤーの姿からは、それまで見たような力強さ、しなやかさ、美しさ、そして晴れやかさが消え去っていました。男の地力で勝ったような感じ。
その後、性転換して来日したニュースを知っておおよそなにがあったかは見当がついてはいましたが、です。
映画の内容自体はパリンヤーの半生をインタビューの通り時系列にそって素直に描かれています。もっとも事実関係に多少の誇張はあるでしょう。実際には日本武道館でごく普通に行なわれた試合が東京ドームでの熱狂的なイベントになっていましたし。
ただ構成がシンプルなだけにいろんなものが伝わってきます。文字の知識でしか知らなかったタイのキックボクシング・ムエタイがどんな存在であるか、そしてムエタイの強さと美しさは演じている現役のムエタイ選手たちが教えてくれます。主演のアッサニー・スワン自身がムエタイ協会から北地方最高ボクサー(どんな栄誉かはよく分かりませんが)だそうです。
最強の格闘技という男の極致とオカマという対極の存在がなぜ結びつくか、決して面白おかしさゆえではないことが本作を見れば疑問は氷解します。
やれジェンダーやら性差やらといった堅苦しい無理な理屈に基づいた映画ではなく、心のおもむくままに動いて悩み惑いして開けた道をストレートに伝えているだけに作り物とは違った説得力を感じました。

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