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(07/06/01)

エミリー・ローズ

2006年03月03日 | 丁稚 定吉の映画日記
わてが丁稚の定吉だす。
3月11日公開のエミリー・ローズの試写会に行って来ました。
宣伝ではよくあるホラー映画にしか見えないのですが、実際はなかなかどうして見応えのある法廷劇でした。
悪魔祓いに失敗して若い女性を死なせてしまった神父が過失致死罪で起訴され、敏腕女性弁護士が弁護しますが、彼女の依頼人は神父に証言して欲しくないカトリック教会。しかし彼女も悪魔に撒きこまれ、真実を追い求める立場になります。
被害者のエミリー・ローズの視点から再現した場面がホラーの主たる場面で、全体の割合からすると3分の1程度でしょうか。
だからこそ恐い。
ホラー映画にありがちな徹頭徹尾観客を恐がらせようとして観客が恐がり慣れてしまうようなところが一切なく、まったく恐くない平穏な法廷の場面とのコントラストで恐さがピンポイントで攻めてくるような感じです。しかも演出がツボを押さえてますしね。
法廷劇という観点から見ると判事の存在が大きいです。この判事の裁判の進め方が最終的にああいう結末を産んだわけで、この判事の選出には神とか悪魔とかの力が働いていたんでしょうかね?そういった部分も含めてDVDが出たら繰り返し見て検証してみたいような感じでした。
冒頭からの重低音を中心とした音響が実にいい雰囲気を醸しだし、悪魔祓いというショッキングな設定、恐怖と平穏のバランス、悪魔の仕業を確信させる演技・演出、悪魔・依頼者・上司との戦い、そして生きて死ぬ意義、ここ最近見たホラー映画との格の違いをまざまざと見せつけてくれる作品でした。
コメント (4)
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ビューティフルボーイ

2006年03月01日 | 丁稚 定吉の映画日記
タイ映画のビューティフルボーイを観てきました。
もう10年近く前になりますが、オカマのキックボクサーがワイドショーで取り上げられたことがありました。わてもこのニュース自体の記憶があるのですが、彼(彼女)をより近く感じたのは、わての好きな女子プロレスとの接点が出来てからです。
オカマのキックボクサー・パリンヤーvs最強の女子プロレスラー・井上京子という夢の一戦が行なわれたのは98年。結果は予想通りパリンヤーの圧勝でした。
ただそこで見たパリンヤーの姿からは、それまで見たような力強さ、しなやかさ、美しさ、そして晴れやかさが消え去っていました。男の地力で勝ったような感じ。
その後、性転換して来日したニュースを知っておおよそなにがあったかは見当がついてはいましたが、です。
映画の内容自体はパリンヤーの半生をインタビューの通り時系列にそって素直に描かれています。もっとも事実関係に多少の誇張はあるでしょう。実際には日本武道館でごく普通に行なわれた試合が東京ドームでの熱狂的なイベントになっていましたし。
ただ構成がシンプルなだけにいろんなものが伝わってきます。文字の知識でしか知らなかったタイのキックボクシング・ムエタイがどんな存在であるか、そしてムエタイの強さと美しさは演じている現役のムエタイ選手たちが教えてくれます。主演のアッサニー・スワン自身がムエタイ協会から北地方最高ボクサー(どんな栄誉かはよく分かりませんが)だそうです。
最強の格闘技という男の極致とオカマという対極の存在がなぜ結びつくか、決して面白おかしさゆえではないことが本作を見れば疑問は氷解します。
やれジェンダーやら性差やらといった堅苦しい無理な理屈に基づいた映画ではなく、心のおもむくままに動いて悩み惑いして開けた道をストレートに伝えているだけに作り物とは違った説得力を感じました。

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ナルニア国物語

2006年02月26日 | 丁稚 定吉の映画日記
わてが丁稚の定吉だす。
ナルニア国物語の先行上映を見てきました。公開は3月4日。
一大シリーズが始まるということで大いに期待していたのですが、ちょっと期待が大きすぎたのかも。
もともと原作は日本では岩波少年文庫から出版されていて小学校中学年向けの漢字かな混じりの本です。実はわても遠い昔の日に読んだ記憶が。ファンタジー小説とはいえ、指輪物語などと比べても対象年齢が低いため、原作を上っ面からなぞっただけでは大人には物足りないものになるのは火を見るより明らかです。そこで子供向けファンタジーだからこそ描けるなにかを期待したわけですが…。
ファンタジー小説には旅・冒険・戦いといった要素がありますが、旅といっても予告編以上の景色が見られるわけでもなく、冒険といってもハラハラドキドキの要素には著しく欠け、戦いに至っては命を懸ける重みがあまり感じられません。ご都合主義的に主人公だからなんの苦労もなく勝ってしまったような印象で。
子供の妄想の上に成り立つファンタジー世界の実像が見えてしまったような気がしました。
コメント (9)
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死者の書

2006年02月25日 | 丁稚 定吉の映画日記
わてが丁稚の定吉だす。
東京に下京した折、岩波ホールで「死者の書」を観て来ました。
いわゆる人形アニメーションという手法を使った作品で、その人形の作者でこの映画の監督が川本喜八郎。わての思春期の過敏な心に美の意識を植え込んだNHK人形劇三国志の人形の作者です。
シニア料金を払う女性で岩波ホールはあふれかえっていました。その全てが同じくらいの年齢、同じくらいの大きさ、同じような色、同じような臭い、レプリカントか?と思うような老眼鏡をかけたヨーダの集団。人形師の作る人形に共通の特徴があるとするならば、やはり人間とは神の作りし人形なのだろうか?という思いを強くしました。
川本喜八郎の人形の共通の特徴は切れあがった眼差しの鋭さと、その目の表情の豊かさ、そして透き通るまでの肌の美しさ。人間に例えて言えば柳楽優弥みたいなものです。
人形アニメ特有の「ちょっとずつ動かして動いているように見えるようにしたんだろうな」というご苦労様感よりも、物理的には動かないはずの表情の変化に驚かされました。
そこに音楽がマッチして、こう優雅っぽいというかベータ波出まくりというか、とろろんとした時空を超越した官能の極致というものを思い知らされたような気がします。
死者に魅入られた女が、その死者を思い曼荼羅を作る、こんな浮世離れした純愛は生身の肉体を持たぬ人形にしか演じられないでしょう。汚れた役者の肉体などではとてもとても…。
念仏を唱えるにしても「なむあみだほとけ」。「なむあみだぶつ」のような「ぶ」とか「つ」といった本能的にあからさまな汚さをイメージさせる有声音を使わない、そんなレベルまで作りこんであります。
大和由紀の「あさきゆめみし」というマンガがありましたが、あの時代感や美意識をお持ちの方は万難を拝して観るべき作品です。
現実とは遊離した官能のひとときというべき時間を過ごせました。
コメント (5)
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アサルト13/要塞警察

2006年02月19日 | 丁稚 定吉の映画日記
わてが丁稚の定吉だす。
2月18日公開「アサルト13/要塞警察」を観てきました。
同じ静岡県で同じくらいの大都市の浜松では確実に上映されない中規模公開の映画が静岡では確実に公開されるのがいいところ。
大晦日に閉鎖されるボロ警察署に、麻薬売買で捕まった大物悪党が護送中のアクシデントのため運ばれてきます。そして深夜、この警察署に襲撃が。迎え撃つのは8ヶ月前に作戦の失敗で腑抜けになった刑事と引退を決意した老警官、そしてチャラチャラした美人秘書。
単純な大規模の犯罪集団vs無力の警官のドンパチと思いきや、実はそうではなくて…。
この作品はリメイクですがオリジナルとはかなり違います。敵の正体がハッキリしている分、不気味さがない反面でクリアで分かりやすい構成になっています。
さらにストーリーの予想がドデンドデンドデンといいリズムでひっくり返りながら無理なく繋がっていくところが上手いんですよ。
最初の頃に一瞬、実は襲撃してきたのはそうではないと見せかけた悪党の仲間なんじゃないか、と勘ぐったその瞬間に画面の視点が敵側に変わって「そうじゃないよ」ってところを見せたりとか。これに限らず、無用な勘繰りや不安をきちんきちんと封じて見せたい部分に集中させる演出が上手いんです。外の敵と内の敵、ただでさえ思惑が入り組んで混乱しかねないところを本当に上手く見せていました。
刃物でグチャグチャの滅多刺しとか、額に開いた銃創とかグロな場面もありますが、この映画は基本的にある程度の懐の広さのある、そしてちょっと金髪美女が好きなような感じの大人の男が目いっぱい楽しめる映画でした。
コメント (2)
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歓びを歌にのせて

2006年02月17日 | 丁稚 定吉の映画日記
わてが丁稚の定吉だす。




「歓びを歌にのせて」を観て来ました。
東京では昨年末に単館公開されて今もロングランされている作品です。
バイオリニスト転じて天才指揮者が病気でリタイアして生まれ故郷に戻る、その町にはアマチュアの聖歌隊があり求められるままに指導します。彼の子供の頃からの願いは人の心を開くような音楽を作ること。いい声を出すために体と心を開くように指導しますが、心を開いてぶっちゃけることがさまざまなドラマを生んでいきます。
画像の右上が主人公の指揮者ダニエル、左は夫にDVを受けながら道を切り開いたガブリエル、彼女の歌う映画と同タイトルのソロが中盤の涙モノです。とはいえヒロインじゃないんですけどね。
コーラスのような音楽映画ではなくて、むしろ人間関係のドラマが主題です。
個人個人を見て行くと決してハッピーとは言えない例が多いのがリアルでちょっと嫌ですが。
特にエンディングをハッピーエンドと思うか、アンハッピーエンドと思うかは受け取りかた次第ですね。
カメラワークがあざといまでに上手いのも印象的。何回もダニエルがヒロインのレナを抱こうとして要所要所で男を不安にさせる要素をさりげなく映してたりとか。あと単純に胸元とか。
構成にしても冒頭に出てくるウサギの2人が結局アレだったり、そのほかにもまぁ本当によく演出しているよと思わせます。
ラストの唱和がなかなかの鳥肌モノで、これは下手な映画館よりはDVDで満足の行く音響環境の中で観た方がいいと思います。
DVDが出たら即買いの1本ですよ。
コメント (2)
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ジャーヘッド

2006年02月13日 | 丁稚 定吉の映画日記
わてが丁稚の定吉だす。

2月11日公開「ジャーヘッド」観て来ました。
ジャーヘッドとは米軍海兵隊員のこと。彼らを主人公に第1次湾岸戦争を舞台にした戦争映画です。
新兵が教官に罵倒されるという、どこかで見飽きたお約束の場面から始まりますが、なかなかの迫力でツカミはOK。
ただ戦争映画とは言っても戦場では誰も死なないという、今までの戦争映画の常識を覆すと言っても過言ではない内容で、そもそも死ぬかどうかとハラハラする場面すらありません。
これはこの作品が特殊だというより、ハイテク戦争だのゲームの戦争と言われたこの第1次湾岸戦争自体の特殊性でしょう。描かれるのは血しぶきの飛び散る戦場の悲惨さではなく、海兵隊員のおバカで退屈な待機の日々、そして命がけで突撃しても自分とは関係ないところでついてしまう勝負のむなしさ。しかし地上戦から空爆へと戦争の戦術は変わっても、おバカにならなければやってらんないような地上をのた打ち回る兵士の捧げる命や奪われた生活の重さは変わらないという矛盾。
観終わった後になんとも後味の悪い空虚感が漂います。凱旋パレードで醒めている一同の表情がなんともやりきれません。
第2次世界大戦から大脱走・戦場にかける橋が、ベトナム戦争からフルメタルジャケットやハンバーガーヒルが出てくるまで15年近い時間がかかっています。
この作品は決して名作や力作ではありませんが、これから現れるであろう15年の時間を置いて熟成させた湾岸戦争モノの名作のアウトラインを示した作品だと言えると思います。

他の方のお勧めのレビューは
http://anotherorphan.com/2006/02/post_182.html
http://d.hatena.ne.jp/baythemoon/20060212

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サイレン

2006年02月09日 | 丁稚 定吉の映画日記
わてが丁稚の定吉だす。

ところでサイレンという映画が今週末から公開されるわけですが、チラシを見る限りこれが結構面白そう。
監督がトリックの堤幸彦、設定がサイレンが鳴ったら外に出てはいけない、とシチュエーションホラーっぽい雰囲気。サイレンの音を科学的に分析してリアルに再現したなんてのがいいじゃないですか。サイレンの音には人間を本能的に不安にさせるなにかが含まれてます。
もう期待させる要素満載…な一方で設定にかすかにヴィレッジの臭いもするし、なによりもともとゲームから派生した映画で、映画公開と新作発売をあわせてあるとか?
正直なところゲームから派生した映画ってあんまりいいものがあった記憶がありません。
映画の宣伝ではあまりゲームには触れられていないのですが、ゲームとしてはどんな出来なんでしょうか?
コメント (4)
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