今日の俳句「霜晨」

寒犬や月影求め歩みおり
紅雲を頂く浅間枯木かな
雪浅間紅に染まりつ暮にけり
月影や畦を歩みし冬の犬
寒椿久遠の光受けしかな
霜晨や月影いまだ晃晃と
けざやかに他を圧しおる寒薔薇
冬落暉いよいよ浅間気色だつ
上州のけじめを付けし空っ風
けざやかに浅間の雪のおびただし

今日の俳句「歳晩」

雪雲や奮い立ちおる湯気もあり
歳晩の荷動き急や朝月夜
月冴えて指先痛き雪の畦
月光を浴びて歩むや霜柱

今日の俳句「湯豆腐」

強風に湯気も荒ぶや枯木立
湯豆腐や利根の流れも荒ぶれり
冬の朝老いたる犬は歩まずや
いたいけの冬菜は和紙の如くかな
短日や遠山結ぶ紅の帯

今日の俳句「虎落笛」

虎落笛小犬怒らす悪童等
浅間峰夕日は雪を紅に染め
呼びしとも毛布包まる老いし犬
冬の日の在るべき姿浅間かな

今日の俳句「冬菜」

いたいけの冬菜に霜のありしかな
寒暁の月は榛名におわします
雪浅間紅に染まりてあなにやし
強風やかかあ天下の冬の雲
寒暁の黒雲でんと赤城峰

今日の俳句『北風』

北風に籠も走るや火も荒ぶ
月冴えて蹠も痛む霜夜かな
冬落暉遠山結ぶ紅の帯
干し芋の寒さ好みてあめ色に
寒風に湯気も荒ぶや露天風呂

今日の俳句「北颪」

老犬の雪にまろびて悲しけり
炬燵犬我の呼びかけ無視しおる
北颪赤城の裾野あらわなり
噴煙のあらぬ流れや北颪

今日の俳句「冬枯れ」

冬枯れやまろびて倒る老いし犬
手袋の指も痛むや朝月夜
露天にて落葉浴びたる髪膚かな
霜枯れや数多の柿の空にあり
冬紅葉我の写真にあまないて

今日の俳句「炬燵」

友の蕎麦あずかる至福炬燵かな
天霧らう明の上州霜柱
天下る一条の日矢寒薔薇
虎落笛露天も広くありにけり

今日の俳句「冬桜」

風に乗り香る風情や冬桜
吹き上げて枯葉散り来る露天かな
虎落笛露天も広くなりにけり