今日の俳句「風露草」

朝焼けの横雲長き浅間かな
白樺をゆらぎて走る山霧かな
夕映えをたまわる浅間風露草
夕づきて梅雨雲巻きし赤城かな
夕焼をやおら浴びたる浅間かな

今日の俳句「夜の秋」

夏草の田に蔓延びし狼藉に
畦道を蹌踉うシーズ夜の秋
老鶯やもみじの風の中におり
噴煙を浴び夕顔やよべの雨

今日の俳句「唐菖蒲」

まひまひや埒も無きもの流れおり
臈たけし紅の和菓子や白絣
凛々しさやチワワの耳と唐菖蒲
奥利根の流れの流転花火かな
さもなくば我家の薔薇を見に来いよ

今日の俳句「夕焼」

合歓咲くや坂東太郎満々と
白樺を霧の往来百合咲けり
遠き日の路地に立ちたり空蝉よ
夕焼の浅間わけても浪々と

今日の俳句「黄菅」

奥草津チャツボミ苔の夭々と
苔の岩温泉（ゆ）に育ちおる緑かな
山靄や老鶯の声遠近に
山霧の流るる音色黄菅咲く
野反湖の黄菅ぽっかり靄分けて
湖畔への道も靄なり黄菅咲く
野反湖を覆い隠せし山霧よ

今日の俳句「端居」

端居して手酌の酒を酌みてをり
居住まいを正してをりぬ瑠璃簾
威を恵たるチワワの貌や青簾
藁しべを追いおりチワワ片かげり
井の中の山女見えなくなりにけり

今日の俳句「土用芽」

土用芽や新入社員巣立ちおり
幾つもの山霧起ちて赤城かな
冷や酒を含みておりぬわが時間
青蛙先導せりやドッグラン
熾きるのを確かめおり山女かな
水菓子の出荷の増える雲の峰
夕虹や吾が産土はわが浄土
蜘蛛の囲や赤城の襞に雲の波
かすみ草おりから風を伴いて
折節に届きし野菜千日紅

今日の俳句「七夕」

他と違う蓮の写真を撮りたしや
七夕や下駄の騒めく中心街
聞きなれぬ野鳥の声や風薫る
上州の嶺々の高さや立葵
チワワ抱く梅雨の晴間の芝伸びし

今日の俳句「古代蓮」

蟇蛙二尺跳ねたりブルドッグ
頭より鮎食つてをり浅間晴
上流へ吹く風たちて簗場かな
ささ濁り茎立つ下に古代蓮

今日の俳句「山翡翠」

山翡翠や雪渓削る水四度
産土はかかあ天下や雷猛
緑なす連山の襞梅雨晴間
糸とんぼ蜘蛛の囲出づにわたずみ
幽玄の世に漂いし海月かな