今日の俳句「雪」

雪浅間夕映えなりておぼろなり
霜降りて和紙のようなる野菜かな
からからと峠襲うや木の葉雨

俳句雑誌「水煙」１月号掲載作品

[作品７句欄]
秋深し硝子戸越しの山の色
田代湖を見下ろす大地秋キャベツ
渡り鳥利根の流れの永遠なるや
噴煙のみだれなかなか白露かな
朝寒や汽笛の遠音ひびきおり
しやりしやりと白き水落つ秋の滝
栗飯やさやかに聞こゆ里の風

今日の俳句「焚火」

東雲や焚火しておる農婦おり
上州のどろ付き蕪の甘さかな
夕映えや赤城颪の定かなり

今日の俳句「朴落葉」

水底の浮み沈むや朴落葉
木枯しや利根の流れも定めなし
冬の朝赤城は藍に染まりをり

今日の俳句「木枯し」

白樺の肌艶治なり冬夕日
寒暁や山気満ちたる浅間嶺
木枯しや峠の牧の広漠と

今日の俳句「落葉」

吹きあがり逃げ足はやき落葉かな
敷き詰めし落葉逃げたる峠かな
からころと峠襲ふや木の葉雨
襲ひ来る峠を攻める木の葉かな

今日の俳句「木枯し」

木枯しやけふの赤城は目交ひに
寒菊や毎年同じ畦に在り

今日の俳句「木の葉時雨」

初霜や目交の山指呼の間に
寒暁や月燦爛と西天に
産土の木の葉時雨や夕間暮れ

今日の俳句「葱」

初霜や下仁田葱の在り所
小春日や悪しき噴煙突然に
在所にて求めし葱や友想う
冬の日やオカリナの音に癒されし

今日の俳句「木守柿」

赤城より烈風ありて木守柿
あけぼのの竜虎のような冬の雲
古民家の破れ戸ありて冬田かな
小春日や紅き雲巻く浅間山
寒菊や定かにおはす赤城山