今日の俳句「寒雀」

塊りて固き羽音や寒雀
大沼をはせ通る風冬芽かな
あけぼのの枯野に舞いし白き禽
暁闇に飛び急ぎゆく寒烏
有明の山風受けし枯尾花

今日の俳句「冬凪」

冬凪や餌を残せし老いし犬
薔薇の木のあえかな冬芽節々に
冬凪の小沼に立つや細波

今日の俳句「霜柱」

くろぐろと小犬の鼻や牡丹鍋
利根川の尖りし風や寒椿
利根川の闇の深みや霜柱

今日の俳句「風冴ゆる」

真向いに赤城鍋割風冴ゆる
ゲレンデに立つや駒子の湯の煙
司馬遷の史記置いてある炬燵かな

今日の俳句「ふところ手」

遠山の柿色に明け霜だたみ
息白し初老の妻に借り多し
高みより鴉大声ふところ手

今日の俳句「山眠る」

眼間に紫紺の赤城息白し
高みよりこちら見ている寒烏
あえかなる萌やしの芽生え山眠る

今日の俳句「焚火」

蝋梅や浅間の入日見ておりぬ
遠山は黒き塊り焚火かな
さくさくと土踏む犬や頬凍つる

今日の俳句「日脚伸ぶ」

夕日差し影を残して鷹去りし
競技者の顔となりけり雪眼鏡
続きたる家業守りし日脚伸ぶ

今日の俳句「探梅」

探梅や小川の声と風の声
ほちやほちやと炊かれし野菜冬の雨
風止みし赤城榛名の斑雪

今日の俳句「湯冷め」

きりきりと吹く風尖り寒やいと
赤城より硬き風吹き湯冷めかな
降る雪に舞い急ぎたるとんびかな