今日の俳句「牡丹の芽」

春雨と湯煙まとう木の葉かな
あけぼのの空は紅さす揚雲雀
雨水の滲みこむ幸や牡丹の芽
えさ皿に糞（まり）するチワワ春の昼

今日の俳句「揚雲雀」

竹の葉の雫落ちるや春の鳥
汗かきて目覚めの水や冴え返る
井戸掘りのねじり鉢巻揚雲雀

今日の俳句「下萌」

大挙して空ゆく鳶や春浅し
残雪や道無き森の胸騒ぎ
下萌やのつと現る浅間山

今日の俳句「木の芽」

春や春ピンポン玉の音かろし
雨上がり其処のみあかり牡丹の芽
春暁の鳶数百や川早し
大沼を包む木の芽の鬨の声

今日の俳句「日永」

クロッカスメタセコイヤの蔭に添う
残雪の赤城の風や揚雲雀
鳶とぶは薄紙のよう暮かねる
花瓶よりチワワ顔出す日永かな

今日の俳句「蕗の薹」

ごうごうの激つ瀬近し蕗の薹
春風や裾にまつわるチワワかな
数百の鳶に黙せり春の霜

今日の俳句「榛咲く」

榛咲くや畦に埋もれし猫車
白梅を見しより早き寝起きかな
のどけしや小犬を抱く妻隣
冴返る山風いよよはためけり

今日の俳句「春の昼」

かくまでも薄雲刷（は）きし春の昼
永き日や小犬は影を持ち歩き
春めくや足湯のありし美術館
早春の土の隆起やもぐらもち

今日の俳句「春の色」

金平糖コップの中に春の色
くび傾ぐ黒きチワワや鼓草
早蕨の萎み初めを干しにけり
下萌えや赤城榛名はけぶりをり
春光や郵便受けに音のあり

今日の俳句「風光る」

春の鳥携帯電話音さやか
囀りや牛乳瓶の音かろし
利根川の韻（おと）の蛇行や風光る