行く末遠ければ

生まれも育ちも富山県砺波市
地元サッカークラブ・カターレ富山を応援するブログ

【J特】行く人来る人  行く人・現役引退選手編

2010-12-08 23:59:11 | カターレ富山
前日に続き、今回は現役引退選手編として振り返ってみようと思います。

他チームと比較しても、ベテラン選手の割合が多かったカターレ。世代交代の波は遠からず来るものだろうとは思っていましたが・・・それがよもや、津波レベルで押し寄せるとは予想外でした。
カターレ富山にあって、それぞれが唯一無二の存在として、チームを引っ張ってきた選手たち。誰ひとり欠いても、現在のカターレはありませんでした。
監督は「伝説の選手たち」という表現を使いましたが、言い得て妙というほかありません。
現役を引退する選手の皆さん、お疲れ様でした。
カターレ富山草創期を駆け抜けた選手たちの活躍、忘れません。
#1 中川 雄二
カターレ富山の正ゴールキーパーとして、幾多の激戦をくぐり抜けてきた守護神。
身長178センチと、ゴールキーパーとしてはそれほど恵まれた体格ではなかったものの、それを補ってあまりある俊敏性、豊富な経験に裏打ちされた判断力を武器に、ゴールを守り続けました。
特に、J昇格初年度となった2009年は、まさに獅子奮迅の活躍ぶりで、神がかったセーブを連発。堅守・富山の代名詞的存在となり、誰もが納得のチームMVPを獲得しました。
ネットの掲示板などで、他チームサポーターの「富山ってよく知らなかったけど、中川ってすげぇな」「無名なところからこんな選手が出てくるんだから、J2は面白いんだよ」といったコメントを見て、誇らしく思った者でした。
当然のように2年目となる今年も期待されたのですが・・・。具体的に、何が悪かったのかはよく分かりません。しかし、現実として積み上がった、失点の山。もちろん雄二ひとりの責任ではありません。実際、シーズン中2度もPKのピンチで神セーブを見せていたし。そればかりではないにせよ、いうなれば「運が悪かった」という面も多分にあったかと。「なにかきっかけさえあれば、いつかきっと守護神として復活する」---そう信じてきましたが、ついに、その「いつか」は来ませんでした。
選手寿命の短いサッカー選手にあって、GKならば32歳などまだまだこれからというもの。それでも、たとえ運が悪かったにせよ、プロ選手は結果によってのみ評価されるという現実。これまで積み上げてきたサッカー人生というものに誇りを持つからこそ、引退を決意したということなのかもしれません。

初めて作ってみたゲーフラ。もう掲げる機会がないとおもうと、寂しいです。それでも、これを見るたび思い出すでしょう。カターレ富山の黎明期、守護神と呼ぶに足る、すばらしいGKがいたことを。

#5 長山 一也
彼ほど「いぶし銀」という言葉がしっくり来る選手というのも、なかなかいないと思います。的確に相手の攻撃の芽をつぶし、堅実なパス回しで味方の攻撃に張りを与える。派手ではないけれど安定したプレーぶりでチームを支える、縁の下の力持ち。まさに、ボランチ職人でした。
けが人が多発して苦しいチーム事情が続いた2009年シーズンにあって、累積出場停止を除く全試合に出場し、1年目の躍進における最大の功労者となりました。そんなシーズンの最終戦、有終の美を飾るプロ初ゴールを決めた姿が忘れられません。
165センチという小柄な彼ですが、身長があだとなって悔しい思いをすることもあったのではないかと思います。しかし、それを言い訳にするのでなく、ひたむきに努力を重ねることこそが重要であると、そのプレーぶりが何より雄弁に語っていたように思います。今後は指導者を目指すそうですが、培った経験を、ぜひ後進へ伝えていってほしいです。

#6 濵野 勇気
カターレ富山・初代キャプテン。なんというか・・・うまく言葉に出来ないのですが、滲み出るオーラのようなものがある選手でした。あるいは、いわゆるキャプテンシーというものの発露だったのかもしれません。
紳士的で穏やかな立ち居振る舞い、その内に熱き炎が静かに燃える薩摩隼人。佇まいのなかに、なにかサムライめいたものを感じていたのは、おそらく気のせいではなかったと個人的には思っています。
やはり、濵野という選手を語るうえで外せないのは、J昇格を決めたMioびわこ草津戦でしょう。勝てば昇格という大一番で、渾身のヘッドが炸裂。勝利を呼び込むゴールを決め、これ以上ないかたちで期待に応えてくれたのでした。
試合後、感極まって涙を流していた姿が、忘れ得ぬ大切な思い出です。“男泣き”という言葉は、こういうときに使うためにあるんだな、と、心の底から納得したものでした。
JFL時代の鳥取戦で、試合終了間際に値千金のゴールを挙げたり、一番近いところで、北九州戦で11試合ぶりの勝利をもたらす逆転弾を決めたり。DFということで数は多くないにせよ、どれもが劇的なゴールという。
記憶に刻みつけられたプレーの数々、この先も忘れませんとも。

#8 渡辺 誠
冷静沈着、クレバーなプレーぶりが光りました。JFL時代はボランチの一角として多大に貢献。昇格後、ホーム開幕戦において記念すべきクラブJ初ゴールをを決めました。
しかし、5月に大けがをし、シーズンの大半を回復・リハビリに当てることを余儀なくされてしまいました。そんな中にあって、草島の練習場でも復帰に向けて黙々とトレーニングを積む姿に、胸が熱くなりました。
復帰してからはなかなか出場機会に恵まれなかったものの、それでも常に意識は高く持ち続けていた。だからこその、最終戦での同点ゴールでしょう。セレモニーでの「サッカーにさまざまなことを教えられた。喜び、苦しみ、感謝…。きょうも厳しさを教えてくれた」というコメントも、ストイックにサッカーの道に精進してきたマコならではの説得力というものがありました。
チームを去るのは寂しいですが、マコの真摯にサッカーに取り組む姿勢というものを、残るメンバーは受け継いでいかねばならないところです。

#10 上園 和明
今季、J2通算100試合出場を果たした、カターレが誇る10番。
設立時のメンバーとしては最もJリーグ経験が豊富で、その実績をかわれて昇格初年度に2代目キャプテンに就任しました。Jの舞台に返り咲き、飛躍を遂げるはずでしたが・・・怪我に見舞われ、長期離脱を強いられることに。100試合出場ももっと早くに達成できるだけの力が、チームを引っ張っていく実力があっただけに、活躍機会の減少は、やるせないものがありました。
中盤を支配し、ゲームを組み立てるピッチ上の司令塔。機を見極める目に長け、鋭いパスで好機を演出しました。なかでも印象深いのが、2009年の最終戦。途中出場でピッチに立つなり、絶妙なタイミング、絶妙なコースのパスを出し、先制点に結びつけました。その精度たるや、身震いするほど。まさにキラーパスと呼べる、珠玉のプレーであったと思います。
見る者を魅了するプレーぶり、忘れません。

#13 長谷川 満
JFL通算103ゴールを誇る、カターレ富山J昇格の立役者。ハセの活躍なくして昇格はなかったと言っても、決して過言ではありません。
「利き足は頭」と語るように、恐れず果敢に飛び込んでいく泥臭いプレースタイルが持ち味。それが120%発揮されたのが、ホーム横河武蔵野戦でした。昇格戦線を勝ち抜いていくために、どうしても負けられない1戦でした。先制を許してしまいながらも同点に追いつき、さあ後半、というなかで。3点すべて頭から突っ込んでの、圧巻のハットトリック。長谷川満ダイビング祭りに、もはや、驚きを通り越して笑ってしまいました。
Jリーグでの活躍も期待されたものの、怪我で長期離脱。それでも、10月のホーム仙台戦では2得点。持ち味のヘッドでも得点し、J1昇格を狙っていた仙台を戦慄させたのでした。
しかし、度重なる故障に復帰の道は険しく・・・。誰もが望んだ復帰戦が引退のゲームとなってしまったのが残念でなりませんでしたが、そこでも輝きのかけらをみせてくれたあたり・・・言葉になりません。
これからも歴史が続いていくカターレ富山ですが、そのなかで初代エースストライカーとして、ファン・サポーターは、長谷川満の名を記憶し続けることでしょう。

#25  野嶋 良
地元・富山出身の選手としてかかる期待を、そのプレーで返してくれました。
昨年のホーム熊本戦でJ初出場。途中交代からわずか1分、ファーストタッチでJ初ゴールを決めるという、鮮烈なデビューを果たしました。
その初年度、チームにけが人が続出する中、ボランチで活躍してきたマコまでもが離脱。正直、マコが抜けて大丈夫なのか?と思っていました。しかし、その不安は良い意味で裏切られ、杞憂に終わることに。なぜなら、野嶋がその穴を埋めるに充分な、あるいは期待以上の活躍をしてくれたから。長山とコンビを組んだ中盤に安定感をもたらし、堅守富山を支える功労者となったのでした。
オフに膝の手術に踏み切ったものの、その後、思うように活躍できず。引退を決意するに至りました。
富山県民に夢を与えてくれた野嶋。選手としては引退であっても、違うかたちで今後も富山県サッカーを見守ってほしいです。

#26 中田 洋平
MFからDFへのコンバートが功を奏し、カターレ初年度の左SBの定位置を獲得、J昇格に大いに貢献しました。
洋平を語る上で欠かせないのは、やはり、SAGAWA SHIGA戦でのゴールでしょう。昇格をかけた戦いのクライマックス、負けるわけにはいかない試合でした。雨中の決戦は、0-0で折り返したものの、後半開始早々に隙を突かれて失点。スタジアムにイヤな空気が流れました。しかし、洋平の30メートルはあろうかというシュートが炸裂し、それを振り払いました。そして値千金の同点ゴールで勝ち点1を積み上げ、次節、昇格を果たしたのでした。
「イケメンなのに三枚目キャラ」として、チームメイトに、そしてファン・サポーターに愛された選手でした。27歳という年齢は、まだまだやれるはず、とも思えるのですが・・・それでも、他ならぬ本人が決断したこと。次なる道でも、その明るい人柄で、良き人生を歩まれることを願います。
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【J特】行く人来る人  行く人・契約満了選手編

2010-12-07 23:56:50 | カターレ富山
2010Jリーグアウォーズも終わり、名実ともにシーズンが終了した今季Jリーグ。
そこで、今季限りでカターレ富山を退団する選手について、いろいろと思うところを書いてみようかなと。

そりゃ、選手の入れ替えをしなければならないということは、全30人のうち18名のカターレ富山設立当初からのメンバー---J昇格の立役者のなかからも外れることになるだろう、とは覚悟してはいたのですが・・・まさか、ここまでいっぺんにとは思いもよりませんでした。18人から、残るのがわずかに5人とか。
退団する、誰もが忘れ得ぬ選手たち。そのなかで、まずは契約満了選手について、背番号順に振り返ってみます。
#4  金 明輝
個人的に、初めて行ったアウェイ戦というものがJFL時代の横河武蔵野戦だったのですが、その試合の勝利を機に、自分内部でサポーターとしての覚悟のようなものに目覚めたというか。そのときに先制となるゴールを決めたことが印象に残っています。
186センチの長身を活かした空中戦の力強さが魅力の選手でした。相手CKのピンチなど、幾度そのプレーに救われてきたことか。攻撃面においてもその力は発揮され、つい先日の第36節・岡山戦における2得点の起点となる活躍も記憶に新しいところです。負けん気、熱いハートを持った選手でした。

#14  川崎 健太郎
アローズ北陸とYKK APがそれぞれほぼ半数を占めたカターレの設立時にあって、Jリーグからの移籍選手として加入。スタメンよりは途中出場のイメージがある彼ですが、試合を締める役割を任されるだけの信頼の証であったとも言えましょう。
やはり、ハイライトは2009年天皇杯3回戦・川崎フロンターレ戦でしょう。前所属のコンサドーレ札幌時代についた「天皇杯男」の異名を、カターレでも発揮してくれました。J1で当時首位だった川崎フロンターレ相手にたたき込んだミドルシュート。試合にこそ敗れたものの、リーグ戦でもなかなか勝てない時期にあって、勇気を与えてくれるゴールでした。

#15  石田 英之
今回の退団選手たちのなかで、いちばん驚いたのが、ヒデの契約満了。黒部や苔口、敬介、あるいはリョーガなど、競合する相手が多かったとはいえ、まさか、でした。
チームいちばんのムードメーカー、はたまたお笑い担当エンターテイナー。ファン・サポーターに広く愛される人気者であったことに、誰ひとり異論はないところでしょう。
いっぽうで、サッカーに対する姿勢は真摯そのもの。
やはり思い出されるのが、ホーム流経大戦。J昇格に向けて後のない、ここで負けたら終わりなんじゃないかという、まさに崖っぷちだった試合。そこで決意の丸刈りで出場、見事に先制点を挙げ、勝利に貢献。あの勝利がなければ、1年での昇格はなかったかもしれません。
そして・・・カターレ選手として最後の出場となった先の愛媛戦での2ゴールなど、まだまだ語りたいことは数多くありますが・・・。今後の活躍を祈念し、さよならは言わない方向で。

#18  姜 鉉守
加入当初は京都サンガFCからのレンタル移籍だったものの、のちに完全移籍。
本職の攻撃的MFのみならず、ボランチ、FW、SBまでこなすなど、そのユーティリティー性が魅力の選手でした。特に昨季、けが人が続出して苦しいチーム事情の中にあって、その芸達者ぶりにどれだけ救われてきたことか。怪我から手術を決断するものの、以降はなかなか思うようにパフォーマンスを発揮できなかったのが惜しまれます。
カターレ所属時の得点はわずか1点にとどまってしまったものの、そのオンリーワンがナンバーワンでした。昨季、強豪湘南を破った試合で決めた、美しい弧を描いてゴール隅につきさっさった、芸術的なFK。ヒョンスという選手を語るとき、あの感動は忘れられません。


#30  桜井 正人
J昇格時に加入した、最初の生え抜きカターレ選手のひとり。
昨季、ルーキーながらコンスタントに29試合に出場、3ゴールを挙げたものの、今季は出場が激減。4試合に出場するにとどまってしまいました。FWのポジション争いに勝ち残れなかった、ということでしょうが・・・わずかに2年で退団とは、寂しい限りです。
印象に残っているのは、昨季、アウェイ愛媛戦で挙げた初ゴールです。先制されたところを追いついた試合の終盤、期待を込めて途中出場した直後。左足を振り抜いた、ミドルからの強烈な弾丸シュートが炸裂。勝利に貢献し、ヒーローとなったのでした。
この2年で得たプロとしての誇りを胸に、新天地での活躍を祈ります。

#31  橋田 聡司
今季は後半に出場機会がふえたものの、カズに最年長ゴール記録(当時)を作られたりだとか、悔しい思いもあったことでしょう。
長らく第2キーパーとしてのポジションでした。もちろん試合に出場することが望ましいに違いないでしょう。しかし一方で、チームにとって第2ゴールキーパーという存在は必要不可欠。モチベーションを維持するには、端から見るより遙かに大変だったのではないかと思います。それを黙々とこなしてくれていたことに、感謝しかありません。
いちばん印象深かったのは、昨年の天皇杯2回戦・岡山戦でしょうか。スタメン出場したその試合、前後半90分を戦ってもスコアレスドロー。さらに延長戦でも決着がつかなかったという。カターレ富山として未知の領域に入った試合を、見事に守りきってくれました。そして迎えたPK戦。ゴール前に仁王立ちする姿、頼もしかったです。相手のミスがあったから?いやいや、それだけじゃないでしょう。ゴールを守る橋田の気迫あっての勝利だったことを、誇らしく思います。
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【J特】“伝説の選手たち”からのラストメッセージ。最終戦で輝きを放つ  愛媛FC戦

2010-12-05 23:05:22 | カターレ富山
3-3のドロー。勝って有終の美を飾ることはできませんでした。
それでも。
ファン・サポーターは、選手たちに最大限の賛辞を惜しみませんでした。それを贈るに足る、気持ちの、魂のこもった全力のプレーを見せてくれたから。
この試合を最後に退団する選手たちを中心にメンバーが組まれましたが、各選手それぞれ、期するものがあったところでしょう。
その思いをプレーに託し、伝えてくれました。そして、それを我々ファン・サポーターは、しっかりと目に焼き付け、心に刻み込んだのでした。

退団する選手たちに向けて、ゲーフラでメッセージを贈りました。

まさに、この思い。選手たちには、感謝の念しかありません。
いままで、ありがとう。そして、お疲れ様でした。
GK 1 中川 雄二
DF 19 西野 誠
DF 6 濱野 勇気
DF 3 堤 健吾
DF 26 中田 洋平
MF 22 江添 建次郎
MF 8 渡辺 誠
MF 5 長山 一也
MF 7 朝日 大輔
MF 15 石田 英之
FW 20 苔口 卓也

GK 31 橋田 聡司
DF 4 金 明輝
MF 16 谷田 悠介
MF 25 野嶋 良
MF 10 上園 和明
MF 18 姜 鉉守
FW 13 長谷川 満

そのほとんどが、この試合がカターレ富山ラストゲームとなる選手で構成されたメンバーで臨んだ今節。監督が言うところの「僕たちと県民にJリーグの扉を開いてくれた選手たち。『伝説の選手』である彼らに出場機会を与えたいと思った」という起用でした。
温情起用という言葉で括って良いと思っていた者など、だれもいないでしょう。なぜなら、みんながみんな、これまでのカターレ富山を支えてきた、代わりの効かない選手たちだから。
わずかに3年という浅い歴史しかないカターレ富山ではありますが、そのなかにあっても、誰もがみんな忘れ得ぬ選手たち。ライバルチーム同士の合併、Jリーグ昇格という困難なミッションを成し遂げた、カターレというチームそのものとも言えたかもしれません。

前日の暴風雨で心配された天気も、崩れる気配はなし。そして、12時34分。最終戦・キックオフのホイッスルが鳴りました。
試合開始から、愛媛のペース。なかなか良い形が作れないまま、相手にボールを支配されてしまいました。各個の技術において、明らかにこちらが劣っている印象。パスの処理をもたつく間に奪われてしまったり、こちらのパスがうまく繋がらない一方で、相手のパスはきちんと繋がったりなど。これまでも少なからず見てきた光景が、この最終戦においても例外ではないとばかりに繰り広げられたのでした。
なかなか活路を見いだせないままでいた、このままではいけないと思っていた、開始16分。CKのピンチに、FW石井 謙伍に決められてしまい、早々と先制点を許してしまいました。最後くらいは無失点で締めたいという願いも、あっさりと崩れてしまった格好。リーグ2位という失点の少なさを誇る愛媛に対し、ビハインドを追う展開というのは・・・。いかに、前回対戦で逆転勝利しているとはいえ・・・むしろ、前回がそうであるからこそ、向こうもきっちりと守ってくることが予想されたわけで。
さらに、落ち込む間もない20分。またしてもCKから、今度はDFアライールに決められ、0-2。早々と優位に立ち、ゆりかごダンスまで披露する愛媛選手たち。
正直、またか、と思いました。失点によって気持ちが沈んでしまい、さらに追加点を許してしまってますます窮地に・・・。今季、これまで何度もあった状況。
このまま、なすすべ無くおわってしまうのか?最終戦なのに、零封負けとかしていいのか?
とはいうものの、なかなかチャンスも作れず・・・。時間は充分にある、と言い聞かせながらも、心の中では、不安がぬぐえませんでした。

そんななか。
29分、ゴール前のチャンスボールをヒデが蹴り込み、ゴール!ヒデにとっても、ラストゲーム。昨季のチーム得点王が、この大事な試合で決めた!第6節・北九州戦以来となる、今季2点目を挙げたのでした。
あるいは、チャンスらしいチャンスも作れず、あってもそれを活かせないまま無得点、という展開もあり得ただけに、その1点の大きさと言ったら。
そのまま1-2で前半終了。
たしかに、依然としてリードを背負った苦しい展開。それでも、それが2点差と1点差では全く違う。不安を打ち消すように自分にそう言い聞かせたハーフタイムでした。

1点を追って後半に突入。相変わらず球際のコントロールでは負けていたものの・・・それでも、徐々にペースをつかんでいったカターレ。同じような状況にあっても、前半のそれとでは、明らかに後半のほうが優位な展開であることが見てとれました。
まずは、追いつかなければならない。そして、逆転しなければならない。そのためには、こちらにとって良い時間帯に追いついておかねば・・・。
そう思っていた、71分。
西野のアーリークロスに頭で合わせたのは、マコ!それが決まって、同点!!去年のホーム開幕戦、愛媛からカターレ富山J初ゴールを挙げたマコが、またしても決めてくれました。喜びを爆発させた仲間に次々と乗っかられ、もみくちゃにされながら、手荒い祝福を受けたのでした。
さぁ、同点。ならば、逆転して勝つしかないだろ!2点差をひっくり返されたこともあったけれど、ならば、今度はひっくり返してやる番だ!

そして、ついに!
78分、苔口のシュートのこぼれ球を蹴り込んでゴールネットを揺らしたのは、またしてもヒデ!!
この日2点目の逆転ゴールに、スタジアムの盛り上がりも最高潮!ダッシュでゴール裏に駆け寄ってアピールするヒデに、テンションMAXなサポーター!それに応え、カズダンスを披露する、カターレ富山のエンターテイナー!
もう、こうなったらやるしかない、全力で応援し続けるしかない。
80分、野嶋とヒョンスが同時投入。彼らにとっても、最後の試合。やりきってくれ!
さらに、84分。ついに、この男が。背番号13・長谷川 満。1年と2ヶ月ぶりに、県総に帰ってきた!
86分、朝日の上げたくろすが、ゴール前のハセのもとへ!そこに得意のヘッドで合わせるべく、飛び込んだ・・・けれど、惜しくも届かず。しかし、そのプレーに、ファン・サポーターみんなの胸が熱くなりました。外れてしまったけれども、こぼれ球を蹴り込んだヒョンスのシュートにも。決まらなかった。けれど、そこに込められた魂というものを、我々は、たしかに見たのでした。

しかし・・・試合は、そのまま終わりませんでした。88分、FW福田 健二に押し込まれ、同点に。
ですが、そこで落ち込んでいる暇など無く。最後の最後まで、勝利への執念を見せ続けました。ラストプレー、洋平のCKに合わせようとするも、惜しくも活かせず。
そして・・・試合終了のホイッスル。3-3で、引き分け。同時に、2010年のシーズンが、退団する選手たちのラストゲームが、終わりを告げたのでした。

甘さが出た、と言うなら、そうだったのかもしれません。勝たなければならない試合で勝てない、悪い意味での今季を象徴するような試合であったという見方もあるでしょう。
それでも。
プロである以上、結果が求められることは当然のこと。でも、それだけじゃない。確かに勝てなかった。それでも、選手たちの気概というものは、間違いなく、ファン・サポーターの心に届きました。
もちろん、満足まではしませんし、してもいけないところではあります。
それでも。
メンタルが弱いと言われてきたチームでしたが、0-2の劣勢にもくじけることなく、最後まで勝利への執念を見せ続けました。これがもし、ズルズルと0-2のまま、あるいは追加点を許して不甲斐なく敗れていたなら、などと考えると・・・。
良かったとは言わない。しかし、よくやってくれた、と心の底から、そう言いたいです。

約半数が退団することで、来季は大幅な刷新が図られることとなります。今季までとは、全く別のチームとなってしまうのではないかと。
とはいえ。
無くしてはいけないものもあります。この試合で選手たちが見せてくれた、熱い思い。それは、退団する選手たちからの最後のメッセージであり、残る選手たちに捧げるエール。
今回の退団について、「JFL時代の選手を大量に切るってことは、Jに上がる時点でしておかなければならなかったことだ。それをしなかったことで、2年間も無駄にした」なんて言っていたりする人もいるようです。
ですが、それは違うと思います。
なぜなら、長い歴史があって、チームとしての地盤がすでに確固たるものとして形成されているようなちーむならばともかく。
カターレ富山は、ライバルチーム同士が合併して生まれるという特殊な状況の下、結成わずか3年というチーム。今でさえもまだ充分とは言えないところ、2年前では、もし入れ替えを図ろうにも、チームの地盤も何もあったものじゃなかったのではないかと。
たしかに、今季は不本意どころではないほどの、辛く苦しいシーズンでした。
そんななかにあってもなお、選手たちは、ひたむきに切磋琢磨を続けました。今節の試合が良い例でしょう。単なる温情起用というだけで、各選手にあれほどのパフォーマンスが発揮できたとでも?
そう、それは、不振の中にあってもチームが一致結束して努力を続けていたことの証。
チーム結成より3年。このたび退団する選手を中心に、みんなで作り上げてきたカターレ富山というチーム像。そして、チームの魂。
それらを、残る選手たちは受け継ぎ、次に入ってくる選手たちへ広め、これから先に継承していかねばなりません。
そして、それは我々ファン・サポーターも同じ。伝説の選手たちが残してくれたものを、しっかりと心に刻みつけ、来季以降も応援を続ける糧にしなければ。

2010年のシーズンの終わり。カターレ富山の、ひとつの時代の終わり。
新たな時代へ向け、ひとまずの区切り。
おつかれさま、そして、ありがとうございました。
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【J特】第38節  愛媛FC戦

2010-12-03 23:59:25 | カターレ富山
12月2日付で、今シーズン限りでのの契約満了選手、および現役引退選手が発表されました。総勢14名、実に半分ほどの選手が退団することとなります。
各選手それぞれに思い入れがあり、言いたいこともたくさん。この件については、後日改めて、自分なりにまとめようと思います。

いよいよ、2010シーズンも、最終戦。愛媛FCをホームに迎える第38節。
不振にあえぎ、結果の残せない苦しいシーズンでした。つらい思い出のほうが多いです。
ですが。
辛くても苦しくても、そう思えるのはカターレ富山というチームを応援しているからこそ。興味のないチーム相手に、ここまで辛いとか苦しいとか思ったりしません。そう、思い入れが強いからこそ。
ホーム戦に関しては、7連敗中。4ヶ月にわたって負け続けています。
それでも、勝ちたい。
今のメンバーで臨む、最後の試合。勝って、勝利の歓喜を分かち合いたいです。苦しいシーズンでしたが、勝って、終えたいです。
なにより・・・勝って、退団選手を見送りたいです。
気合いや根性だけでどうにかなるものではないことは、これまでさんざん思い知ってきたこと。
それでもなお、言いたい。
勝利に向けて、全力で挑め、と。

愛媛をホームに迎えるのは、昨年の第2節、ホーム開幕戦以来のこと。実に久しぶりです。
現在12位で、勝てば順位浮上の可能性を残す愛媛。前節のホーム最終戦で敗れてしまっているだけに、今節のシーズン最終戦で勝利したいところでしょう。それでなくとも、前回対戦時に敗れ、カターレのアウェイ連敗記録を止めてしまっただけに、その雪辱戦でもあります。
バルバリッチ監督の来季続投が決定していることからも、消化試合で終わらせるなんてことはせず、勝ちに来ることは必至と言えましょう。

対して、カターレ。
安間監督の就任以降、出場メンバーを固定することなく、試行錯誤を続けてきました。もちろん勝つための選出ではあったのでしょうが、それでも出たとこ勝負的な部分もなきにしもあらずだったかと。
しかし、この最終戦に限っては、これまでの方法論とは異なった意味合いでメンバーが選出されるのではないかと。
泣いても笑っても、これが現在のメンバーで挑む最後の試合。「思い出起用」という面もなきにしもあらずかもしれませんが、それがすべてかと言えば、違うでしょう。最後に出られて良かったね、で終わらせるつもりはないはず。それで負けては元も子もない、と。
つまりは、現在のメンバーで挑み、勝つための起用ということではないかと。

思えば、去年も8月の勝利以降、ホーム戦では勝ちに見放され続けていました。それでも、最終戦は勝利で飾り、J昇格1年目の有終の美を飾ったのでした。多くが去年からのメンバーであるだけに、最終戦で勝つことの意味の大きさというものは、熟知しているはず。
そして・・・前述の通り、およそ半分のメンバーにとって、カターレ富山ラストマッチ。ことここに至っては、不振だった今シーズンがどうだったかなどは、関係ないところでしょう。これまでではなく、まさに今節、勝つことこそが至上命題。ある意味、リーグ戦のなかの1戦というよりは、ワンマッチと位置づけられる試合とも言えるかと。
持てる力のすべてを出し切って戦え!その一言に尽きます。もちろん、我々も、この1戦にかけて、全力で応援することは言うまでもないです。

試合後、セレモニーが行われるそうです。退団する選手たちの、最後の挨拶があることでしょう。
発足からわずかに3年のチームですが、その歴史の中で、ひとつの時代が終わろうとしている・・・。カターレ富山というチームを応援し、行く末を見守っていくと決めて以来、大きな節目となるのは間違いないところ。その証人となるため、スタジアムに足を運びます。
とはいえ。
まずは、試合。今シーズンを、勝って締めること。ありがとうの気持ちは、応援に託します。だから、勝利で応えてくれ!

万感の思いを胸に、カターレ富山2010年の集大成!
最後の最後まで、走り続けろ!そして、勝て!!
これまでの、そしてこれからのカターレのために!勝たれ!!!富山!!!!!


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