アメノチハレ

うん。サイコー!


久しく会っていなかった後輩と食事をした。

「どう?最近」

「色々とやっています。
でもなんなんでしょうね、
たとえば出来上がったものに
もっとピコピコとか入れて派手にしてくれとか
平気で言ってくる そんなプロジェクトの中にいると
本当に精気を殺がれます。」

彼は作編曲家
ミュージシャンを含めて
製作をコーディネートしている案件も多く扱う。

「出口の見えない音楽だらけで
どこを目指して作っているのだろうと。。」

彼は酒を飲まないからイタリアンの前菜も
なんだか和定食のおかずのような食べ方をする。

「きれい事に聞こえるかもしれませんが
音楽制作にかかるお金を削らなくていいように
他でかかる経費をできるだけ抑えて
いい作品を作りたいなんて
そんな雰囲気の現場は稀少です。」

ヴァイオリンなどは生楽器入れなくたって
シンセで充分でしょ?
なんでそこにわざわざ人をいれて
お金をかけるのですか?なんて
そういう価値観なのだそうだ。

「かといって、制作費がないわけではないんです。つまり、
いまの時代 音楽はそんな程度で出来てしまうんでしょ?
っていう認識に心がなえるんです。」

好き嫌いはあれど僕らが耳にしているものは
どんなジャンルのものであろうとも
その最高を目指した結果であると信じたい。
最初からこんな程度でいいのでという音楽のどこに
携わる理由や魅力を感じることができるのだろうか。

チカラのない音楽に心をむしばまれないよう
早くそんな現場からは脱出すべし。

親がすすめた公務員やサラリーマンの道を選ばず
この仕事にこだわった理由があるだろう。

そのとき偶然ラジオで聴いた音楽に
胸を撃ち抜かれたような衝撃を感じたことや
あるアーティストの歌に
心の底から湧き上がる感動を覚え
自分も、もしかしたらそんな感動を
作り出す担い手になれるかもと信じたからだろう。

人の心を動かさずして 
この仕事に始まりも終わりもないじゃないか。

          

そいじゃあな!と、車で送ってくれた後輩に礼を言って
そそくさと部屋に戻った。

いよいよ始まった平昌オリンピックのフィギュアスケート

羽生結弦くんのSPの演技を
テレビの前でコートも脱がずに突っ立って観た。

ショパンと陰陽師がひとかたまりになる。

観客の想いを全部受け止めて
そして見事にはね返した。

思わず自分も柏手(かしわ手)の連続の様な拍手をしてた。

小学校の頃 広島東洋カープが巨人を負かした時の
親父の真正面からの拍手になんだか似ている。

シンプルで美しく見えるものほど 
巧みさはその裏にジッと潜む。

高みを目指さすということはその領域。

繊細に作り上げてきたからこそ大きく跳べる。

音楽もまた然り。
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