アメノチハレ

Good Luck!

先日、ひさしぶりに車で表参道から青山あたりを
徘徊していたら、なんだか懐かしい感じのタクシーが
数台並んで止まっていた。
驚いてみたが、よく見るとTOMMY HILFIGERと
車のボディーに描いてある

これはそのトミー・ヒルフィガーというブランドの
キャンペーンCARだと後で納得。
この界隈もだいぶ様変わりして、どんな奇抜なものでも
直ぐに溶け込ませてしまうこの街独自のパワーがある。

そういえば随分長く訪れていないな、NEW YORK。
マンハッタンに住むあの娘も
クイーンズに住むあの娘も
ニュージャージーから通うあの娘も
元気でやっているだろうか。

先々月だったか、渋谷で留学当時の同級生3人と会った。
ブルックリンにある音楽大学で知り合った音楽仲間だ。
振り返ると、みんなよく生きていたなと大笑い。
ハタチそこそこだったので随分と無茶をした時期もあったが
本当に体力だけは余る程あったからね。
明日は早いから今夜は早めに寝ようなんて
思った記憶がまるでない。

硬い椅子に座って長時間ギターの練習してたおかげで
イボ痔になって結構長引いたが
医療費も高く、結局はバスタブに湯を張り
患部を暖めながら自分の指で体内にイボを押し込んで治った事にしたり、
風邪をこじらして熱が41度出た時には
明日目が覚めないでもしこで死んでいたら
親には誰が連絡するんだろうなんて事を
朦朧(もうろう)としながら考えた。

夕方に降り立ったケネディー空港から
緩やかな丘陵をまたぐようにマンハッタンむかう道のりの途中
あの摩天楼がまるで浮かびかがってくる様に
フロントガラスの視界全面に表れた時には
さすがに身震いした。
飲み込まれそうだった。

タクシーの運チャンが、NYは初めてか?と聞くので
「ああ、音楽の勉強で来た。これから何年かわからないが
この街で揉まれてみる」と片言英語で喋った。
「エキサイティングな街だぜ。たっぷりエンジョイしろよ兄ちゃん!」

タクシーのトランクから重たいスーツケースを出し終わり
サンキューと言ったら
「Yeah! Good Luck!」と言って小さくウインクして走り去った。
頭にバンダナ巻いた30才前くらいのファンキーなあんちゃんドライバー。

兎にも角にもイエローキャブを見ると、
まず最初にあのアメリカに降り立った
34年前の夏の日の事を
今でも強烈に思い出すのさ。


P.S
渡米して一年くらいが経った時期に、
どういう繋がりであったかは思い出せないが
フォークの神様といわれたあの岡林信康さんがNYに来るというので
ホテルの部屋などの手配を頼まれた事があった。
確か空港まで迎えに行き、いい部屋ではなくていいからという
リクエストに応じてあらかじめ予約しておいた
ブロードウェイの安宿に案内した。
夕食をご一緒して部屋に戻ってさあ寝るかと
ベッドに入りかけた時電話が鳴った。

「都志見くん、寒いんや。部屋の暖房の効きが悪いんや、
とてつもなく寒いんや 部屋変えてくれんかな」

すぐに着替えてホテルに向かった。
少し風邪気味の体調もあってか、あまりの安宿は身体に毒と
その場でチェックアウトし、
もうワンランク上の一般的なホテルに
移っていただいた。

NYに滞在されていたある日、私の借りていたアパートで
酒を飲みながら、いつの間にかギターを手にした岡林さんが
「都志見くん、どんなん書くん?なんか演ってみい」
と仰るので、オリジナル一曲唄った。
そしたら、「最近作った歌なんやけど、聴いてくれる?」と
岡林氏が一曲。
それからはギターを交互にバトンしながら何曲唄い、唄っていただいただろうか。
もちろん山谷ブルースも。楽しい時間だった。

「その感じ、歳とっても忘れんようにな」と
首に青筋立てて唄う感じをなんだか褒めて頂いた。
おそらくまだ21歳になったばかりの冬だった。

岡林さんの帰国の際にはまたケネディー空港までご一緒した。
「色々とありがとうな。身体に気いつけて頑張ってや。」
「また日本で会えたらえ~な」
「あんたにグッドラックや!」



岡林さん、現在は京都に住んでおられるらしい。

訪ねてみたくなった。

コメント一覧

岩水志保
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素敵です!
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