※以下、アフタ12月号第26回のネタバレを含みます。
田島のバットが、桐青の高瀬が投げたボールを迎え撃つ。
捉えた──ように見えた。けれどスライダーの描く軌跡は、バットから逃げるように離れていく。思いきり伸ばした田島の腕でも、届かない。金属性のバットが白球をかすめる音が、オレの耳にまで届く。捉えきれなかったボールはキャッチャーミットに吸い込まれ、小気味いい音を響かせた。
「トーライッ! バッターアウッ!!」
審判が無情にも三振を告げた。
どよめきと歓声が球場内にこだまする。応援団や観客から見れば、間違いなく白熱した好勝負だったんだろう。けれど、今ここで戦っているオレたちからすれば、好勝負なんて綺麗な言葉じゃ片付けられない感情が渦巻く。勝ちたい。どっちのチームもそう思っている以上、一つ一つのプレーに喜びも悔しさも、楽しさも苛立ちも生まれる。
(──田島)
あいつは、空を見上げていた。左打席に立つあいつの、今浮かべている表情はここからじゃ見えない。不意に胸がずきりと鈍く痛んだ。三振。試合は8回表。打順が下位に回ることを考えると、田島に次の打席が回る可能性は限りなく低い。田島もそれは分かっているはずだ。充分すぎるほどに。
あいつは今、何を思って空を見上げているんだろう。
ネクストバッターサークルで立ち上がりながら、オレは生じそうになる雑念を振り払った。今は田島の心配より、自分の打席に集中すべきだ。まだ1アウト。チャンスは続いている。
バッターボックスへ向かう途中、ベンチへ戻る田島が駆け足でやってきた。深く俯いているせいで、やはり表情は見えないままだ。すれ違う直前、あいつの口が小さく動いた。
「……花井、頼む」
「……おう」
いつもの田島らしくない、かすかに沈んだ声。
能天気までな明るさも、時々怖くなるほどの真剣さも、そこにはなかった。間違いなく、それはオレが全く知らない田島の姿だった。
*******************************************
ようやく書き上がりました、おお振りSS!
そこそこ長くなったので、冒頭部分だけここにアップ。おお振りサイトにて丸ごと公開中です。
もう、何が言いたいかって、田島君が! 彼の「……くっ……そおお!!!」なくして、このSSはできませんでした。で、花井君視点にしているのは、やっぱり僕が花井君と田島君の関係にすげー萌えているからですw
で、ついでに追記。
mixiのプロフィールをちょっと書き直して、おお振りサイトやショタサイトのURLも貼り付ける予定。注意書きはしっかり書いているわけだし、中に入るなら覚悟もしているはずだし……大丈夫だよね。
困ったことにTRPGゲーマーな僕と、少年キャラ好きな僕はごく当たり前のように両立しているので、どちらかを失くすわけにもいかないし、どっちを優先するとかいうものでもないので。
そんなわけで、これからもTRPGと少年キャラ萌えに頑張りますw
田島のバットが、桐青の高瀬が投げたボールを迎え撃つ。
捉えた──ように見えた。けれどスライダーの描く軌跡は、バットから逃げるように離れていく。思いきり伸ばした田島の腕でも、届かない。金属性のバットが白球をかすめる音が、オレの耳にまで届く。捉えきれなかったボールはキャッチャーミットに吸い込まれ、小気味いい音を響かせた。
「トーライッ! バッターアウッ!!」
審判が無情にも三振を告げた。
どよめきと歓声が球場内にこだまする。応援団や観客から見れば、間違いなく白熱した好勝負だったんだろう。けれど、今ここで戦っているオレたちからすれば、好勝負なんて綺麗な言葉じゃ片付けられない感情が渦巻く。勝ちたい。どっちのチームもそう思っている以上、一つ一つのプレーに喜びも悔しさも、楽しさも苛立ちも生まれる。
(──田島)
あいつは、空を見上げていた。左打席に立つあいつの、今浮かべている表情はここからじゃ見えない。不意に胸がずきりと鈍く痛んだ。三振。試合は8回表。打順が下位に回ることを考えると、田島に次の打席が回る可能性は限りなく低い。田島もそれは分かっているはずだ。充分すぎるほどに。
あいつは今、何を思って空を見上げているんだろう。
ネクストバッターサークルで立ち上がりながら、オレは生じそうになる雑念を振り払った。今は田島の心配より、自分の打席に集中すべきだ。まだ1アウト。チャンスは続いている。
バッターボックスへ向かう途中、ベンチへ戻る田島が駆け足でやってきた。深く俯いているせいで、やはり表情は見えないままだ。すれ違う直前、あいつの口が小さく動いた。
「……花井、頼む」
「……おう」
いつもの田島らしくない、かすかに沈んだ声。
能天気までな明るさも、時々怖くなるほどの真剣さも、そこにはなかった。間違いなく、それはオレが全く知らない田島の姿だった。
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ようやく書き上がりました、おお振りSS!
そこそこ長くなったので、冒頭部分だけここにアップ。おお振りサイトにて丸ごと公開中です。
もう、何が言いたいかって、田島君が! 彼の「……くっ……そおお!!!」なくして、このSSはできませんでした。で、花井君視点にしているのは、やっぱり僕が花井君と田島君の関係にすげー萌えているからですw
で、ついでに追記。
mixiのプロフィールをちょっと書き直して、おお振りサイトやショタサイトのURLも貼り付ける予定。注意書きはしっかり書いているわけだし、中に入るなら覚悟もしているはずだし……大丈夫だよね。
困ったことにTRPGゲーマーな僕と、少年キャラ好きな僕はごく当たり前のように両立しているので、どちらかを失くすわけにもいかないし、どっちを優先するとかいうものでもないので。
そんなわけで、これからもTRPGと少年キャラ萌えに頑張りますw