辞書引く日々

辞書が好きなのだ。辞書を引くのだ。

だまされたと思って聴くジャズ

2005年08月23日 | 音楽
人間の煩悩には限りがないというが、その端のほうには自分の好きな音楽を宣伝したいという尻馬にのった欲望がある。

そういう欲望からお薦め音楽リストなどを作ろうとしてみるが、うまくいかない。どだい自分の欲求のために作るのであるから、躊躇というものがある。逡巡しながら書いていると、自分でいやになってしまう。

さて、ジャズというのは不思議な分野で、入門書が書店にあふれているわりに聞いている人が少ない。入門書を買う→だまされたと思ってCDを買う→「だまされた!」というパタ-ンが多いのではあるまいか。

入門書の著者はだますつもりなど毛頭ないのだろうが、なにぶん聴く人の好みやバックグラウンドというのはさまざまだし、期待するところも違う。嗜好というものは言葉で書ききれるものではなから、本で読んで期待して買ったCDにがっかりするのは致し方ない。

また、聴く立場から言うなら、音楽というものには、プログラミング入門とか、盆栽入門という具合にだれでも習得すべき基礎というものがあるわけでもない。かりに基礎があったとしたって、学ぶのに楽しくなければだれも時間と金を費したりしない。

やっぱり初心者はだまされる運命にあるのである。

そう観念した潔い人のために一枚ばかりお薦めしておくことにしよう。

The Essential Vic Dickenson
Vic Dickenson
Vanguard

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