辞書引く日々

辞書が好きなのだ。辞書を引くのだ。

フラットに入居

2003年10月02日 | ケンブリッジ日記
ホテルで朝を迎える。今日からこの日記の日付はロンドン時間、つまり標準時となる。

朝の 6 時からメシが食える。いわゆるバイキング。ベーコンがものすごくしょっぱいので閉口。コーヒーはポットに入れて持ってきてくれるのでうれしい。ウエイトレスはインド系かなにかで、感じがいい。がいして、非白人のほうが愛想がいいように感じるが気のせいか。

朝食から戻ると、妻が注文した Guardian が届いていた。これは いわゆる高級紙の一つで、リベラル系と目されていることを後で知った。

妻が大家に家賃を前払いするために現金がいるというので、銀行のありかをフロントに聞きに行く。(われわれは、たんなるめんどくさがりのせいで、危険も省みず多額の日本円を現金で持っていたのだ。もちろん、ひとにはトラベラーズチェックをお勧めする。)

フロントの眼窩のくぼんだ鼻の細い白人青年は、何するんだという。これは親切で聞いているのであろう。I need to change. と言うと、Cnagge money? と聞く。change は目的語を要するのだと知る。郵便局を教えられる。その後、妻が出掛け、多額の日本円を多額のポンドに替えることに成功。

(あとで、それを大家に払ったら、So much money? と呆れられた。郵便局が近いし、トラベラーズチェックをそこで換金させようとでも思っていたのだろう。)

地図を買いに出かける。小さな書店で、A-Z Cambridge というのと、Street by Street Z-MAP というのを買う。後者は中心部だけをA4に描いた小さく折り畳んだもので、なかなかかわいらしい。店員は白人の金髪女性で、気のせいか、偉そうだ。Whold you like to bag? とか尋ねる。No. と言う。日本におった頃はいろいろ気のきいたいいかたがしたいと思ったもんだが、そんな余裕はない。

ホテルのチェックアウトは 1 時で、大家と会う約束が 2 時半。くそ重い荷物を持ってホテルを出る。このホテルではべつにチップを払う必要がありそうなサービスは受けなかった。これは幸運と感じるなり。なお、スーツは目立つので、ウールのズボンにセーター、その上にコートという格好。

ここらは町の中心地なのだが、ホテルの中と違って、スーツを着て歩いている人はほとんどいない。シリアスなビジネスマンは、ふらふら歩いていたりしないのか。(シリアスなビジネスマンなどこの町にはほとんどいないということを後で知った)

昼食はピザハットで食べたかったが混んでいたから、バーガーキングで食べる(日本のバーガーキングは絶滅してしまって残念)。狂牛病の本家だから、チキンバーガーとチキンのフライをたのむ。妻が注文をしたので、正確なところはわからない。チキンのフライはひどくたくさんの化学調味料を使っていて、驚くほどだ。店員は非白人で、親切だったと、妻の話。

タクシーに乗ると早すぎるので、道端のベンチで私がスーツケースの見張りをし、妻と子どもたちでそのへんを見てまわる。私はタバコが吸えて幸い。ゴミ箱の上が灰皿になっていて、根本まで吸ったタバコが何本か置いてある。風体のあまり優れない人がタバコを吸っている。(あとで地図を調べるに、この場所は St Andrew's Street にて、Bradwells Court という小さな商店街のようなものの出口にて、なにやら上野を思わせる雰囲気の場所なり)

タクシー乗り場には、queue と書いてある。プログラマにはおなじみのキューだ。スタックじゃなくてよかった。先頭に停まっていたやつは、なんだかデカくて、身障者マークがついている。遠慮して 2 台目に乗ろうとしたら、次の客が、前のに乗れという。なんだかくやしいので、前のタクシーを指して、Available? と聞くと No problem. だそうだ。

正式の契約はまだだが、一応合意に達しているアパートに向かう。つりの中から硬貨を一枚チップに渡したが、後で考えればあまりに少かった。硬貨の種類を知らなかったのである。タクシーの運転手は、小さな道の名前まで知っているといううわさであったが、その通りで、私の家になるべきアパートが面する長さ 50 メートルほどの道まで知っていた。対応は、日本の東京や名古屋やつくばのタクシーよりはきっちりしているように思われた。

大家の女性 (landlady と言うなり) は長身銀髪の初老の女性で、やせている。日本人の名前は聞き取りにくいとみえて、私や子どもたちの名前を何度も聞き返す。子どもたちに名前を尋ねるときは、何回でも I'm ...and you are ....を繰り返す。

契約者が私ではなく私の妻だということもあり、説明は全て妻に対してなされた。私は途中まで聞いていたが、そのうち詰まらなくなって、別の部屋に入っていた。

アパートの各世帯は、フラット番号がついている。私のアパートは 2 階であった。アパートの一階入口はオートロックのドアがあり、そのほかに、各世帯の入口がある。どちらもオートロックであるが、これを大家は a new system と呼んでいた。

庭は共同のものがあるが、陽当たりが良くない。新システムの扉から出られるが、そこの鍵はもらってないので、再び入ることができない。妻は長い秘密の通路を教えてもらったらしいが、私はまだ試していない。

妻は大家に誘われて、一緒に買い物に行った。たしか、share という動詞で誘われていたが、詳細はわからない。近くにスーパーやらなにやらがあるという。しばらくすると、果物やパンを買って帰ってきた。自転車は前の人が残していったのがあると教えてもらっていた。

驚いたのが、牛乳がプラスチック製の容器に入っていることである。省資源もリサイクルもあったもんじゃない。ゴミに分別というものもないらしい。紙で容器を作るというのは、もしかしたらわが国固有の発想なのか。なにしろ、紙でドアまでつくるのだから。(あとになって、紙パックもあることを知る。ただし、紙パック入りのよりこの非エコロジカルなパッケージのやつのほうがうまかった)

スーパーで売っている商品の多くは毒々しい色合いのパッケージに入っている。アメリカナイズされているのか、アメリカがイギリスを受けついでいるのか、これは定かではない。住宅の内装が落ち着いた色合いなのと比べると、いかにも妙なのだが。

夕方近くタバコを買いに行く。タバコには、とても大きく、つまり、パッケージのオモテ面の半分近くを使って Smoking Kills と書いてある。5 ミリくらいある太い黒枠で囲んである。(1 年後帰国し、しばらくすると日本でも似たようなことが始まった)

夕食を食べずに眠ってしまう。

夜 12 時頃目が覚める。持参した Zaurus SL-C750 をインターネットに接続しようと試みる。Zaurus はいわゆる電子手帳のたぐいと思われているが、新しいタイプのものは Linux ベースのれっきとしたコンピュータである。たいがいの人はあまり興味がなかろうから、私が持参したコンピュータ関係のものの詳細は別ページで紹介したい。

私が使っているプロバイダは DTI というところで、やはりローミングサービスというのをやっている。海外のプロバイダと、特別な契約なしにダイヤルアップが使えるのである。このサービスの申し込みは、日本にいるうちにやっておいた。ところが、イギリスにおけるダイヤルアップの電話番号を調べていなかった (ちょうどそのとき、案内のページがダウンしていたのだ)。

日本に国際電話をかけて、ダイヤルアップして調べる破目になった。POP Number というのが、電話番号であると知っていたので、(メールに使うプロトコルの POP とは関係ない)、ロンドンの番号を試してみた。3 回ほどやっても駄目なので諦める。

明け方目が覚める。昨夜の番号をもう一度試してみるが駄目。電話帳のようなものが部屋に据え付けてあったので、それをみると、特別な番号の案内のページに、0845 というのがある。これは日本でいうフリーダイヤルの0120に似たもので、相手がどこであっても local call の値段でかけられるというものだそうだ。そういうものがあるということは、どこかの web ページで読んで知ってはいたのだ。そして、私が試した番号は 845 で始まっている。これは 0 を頭につける必要があったのか、と思いやってみると成功。

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