「エレベーター事件」の彼にメールしてみた。
長い間、何も連絡がなかったから、探りを入れてみる。
といっても、肝心なことは何も書けない。
この前は余り話せなかった自分の仕事のこととか書いてみる。
返事はいかに?
彼はすでに天命を知っている。
そういう歳なんだ。
でも、私ときたら誕生日も知らない。
いや、忘れちゃったのかな。
初めて会ったのは、彼が赴任してきたとき。
新しい課長、しかも同年代では異例のスピード出世だという鳴り物入り。
さらに、その名前にみんなが驚いた。
まるで女の子みたいな、歳には似つかわしくないキレイな名前。
もしかして「嶋耕作」みたいな人が…
と期待してみたり。
いやいや、名前負けしてる「ダメおやじ」みたいなのかも、と希望的観測を捨ててみたり。
そして、初めて会った日。
彼の印象は、一言で言うなら「トッチャン坊や」かな?
あんまりほめ言葉じゃないか(^^;)
年齢不詳な感じを表したかったんですが。
頼りなさそうではないけど、キレモノとも思えない。
でも、なんだか歳の割には落ち着いているような。
かといって、オヤジっぽいわけでもなく。
何だろう、不思議な人だった。
そして、ウワサ通り頭のキレる人だった。
うろたえたところなんて見たことがない。困っていそうな様子も見せない。いつも冷静。
でも、決して冷たいカタブツな感じでもない。冗談だって言うし。
そして、いつのまにやら何でも解決してしまう。
しゃべるときに「~じゃん」とか言う。でも、無理は感じない。
私は、この人には「バカなヤツ」「できの悪い部下」と思われたくなかった。
そりゃ誰にでもそう思われたくはないんだけれど、なぜか彼が上司になってからはその思いが強かった。
でも、結局は大したこともできず「しょうがないヤツ」と思われてたんじゃないかと思う。
そして。1年ちょっとしたある日。
課の打ち合わせ中に「ごめんな。俺、転勤になっちゃったわ」。
しかも、海外。
信じられなかった。冗談でしょ、と思った。でも、本当だった。
それから、彼は海外赴任のための準備で公私ともに追われ、職場にも顔を見せない日が増えた。
私は大きな喪失感を感じていた。
いなくなるなんて。この人と一緒に仕事ができなくなるなんて。
家に帰って泣いたこともある。
今の私なら、どうにか口実をつけて二人で食事したり話をしたりする機会を作っただろう。
「最後だから」って。
けれど、そのときの私は何もできないまま、別れの日を待つしかなかった。
それでも、何とか手紙を書いて、CDと一緒に送ることにした。
手紙にはなんて書いたんだっけ。
「いつまでも魅力的なままでいてください」とは書いた気がする。
そう、恋愛感情とまでは呼べないけれども、特別な魅力を感じていた。
それだけは確か。そして、そのことを何とか伝えたかった。
それで何が始まるわけでもないとしても。
人生で彼と出会えて一緒に仕事ができて良かった。
そのことを伝えたかった。
そのときの手紙、まだ持っているだろうか?
捨てちゃったかな。
聞いてみたい気もする。コワイけど。
そのあと、もう一度彼に手紙を書いた。
それは会社を辞める決心をしたとき。
一番に彼に伝えたかった。
「俺がいなくなるからって辞めるなよ」と出発の前に冗談ぽく言っていた彼には。
何だか約束を破ったみたいな気がして。
手紙を読んですぐに海外から電話をくれた。
変に説得しようとはせず、私の選んだ道を認めてくれた。
彼の声を聞いて、とても安心した。
そういう人生の大きな転機に関わっている。やはり「だいじなひと」。
長い間、何も連絡がなかったから、探りを入れてみる。
といっても、肝心なことは何も書けない。
この前は余り話せなかった自分の仕事のこととか書いてみる。
返事はいかに?
彼はすでに天命を知っている。
そういう歳なんだ。
でも、私ときたら誕生日も知らない。
いや、忘れちゃったのかな。
初めて会ったのは、彼が赴任してきたとき。
新しい課長、しかも同年代では異例のスピード出世だという鳴り物入り。
さらに、その名前にみんなが驚いた。
まるで女の子みたいな、歳には似つかわしくないキレイな名前。
もしかして「嶋耕作」みたいな人が…

いやいや、名前負けしてる「ダメおやじ」みたいなのかも、と希望的観測を捨ててみたり。
そして、初めて会った日。
彼の印象は、一言で言うなら「トッチャン坊や」かな?
あんまりほめ言葉じゃないか(^^;)
年齢不詳な感じを表したかったんですが。
頼りなさそうではないけど、キレモノとも思えない。
でも、なんだか歳の割には落ち着いているような。
かといって、オヤジっぽいわけでもなく。
何だろう、不思議な人だった。
そして、ウワサ通り頭のキレる人だった。
うろたえたところなんて見たことがない。困っていそうな様子も見せない。いつも冷静。
でも、決して冷たいカタブツな感じでもない。冗談だって言うし。
そして、いつのまにやら何でも解決してしまう。
しゃべるときに「~じゃん」とか言う。でも、無理は感じない。
私は、この人には「バカなヤツ」「できの悪い部下」と思われたくなかった。
そりゃ誰にでもそう思われたくはないんだけれど、なぜか彼が上司になってからはその思いが強かった。
でも、結局は大したこともできず「しょうがないヤツ」と思われてたんじゃないかと思う。
そして。1年ちょっとしたある日。
課の打ち合わせ中に「ごめんな。俺、転勤になっちゃったわ」。
しかも、海外。
信じられなかった。冗談でしょ、と思った。でも、本当だった。
それから、彼は海外赴任のための準備で公私ともに追われ、職場にも顔を見せない日が増えた。
私は大きな喪失感を感じていた。
いなくなるなんて。この人と一緒に仕事ができなくなるなんて。
家に帰って泣いたこともある。
今の私なら、どうにか口実をつけて二人で食事したり話をしたりする機会を作っただろう。
「最後だから」って。
けれど、そのときの私は何もできないまま、別れの日を待つしかなかった。
それでも、何とか手紙を書いて、CDと一緒に送ることにした。
手紙にはなんて書いたんだっけ。
「いつまでも魅力的なままでいてください」とは書いた気がする。
そう、恋愛感情とまでは呼べないけれども、特別な魅力を感じていた。
それだけは確か。そして、そのことを何とか伝えたかった。
それで何が始まるわけでもないとしても。
人生で彼と出会えて一緒に仕事ができて良かった。
そのことを伝えたかった。
そのときの手紙、まだ持っているだろうか?
捨てちゃったかな。
聞いてみたい気もする。コワイけど。
そのあと、もう一度彼に手紙を書いた。
それは会社を辞める決心をしたとき。
一番に彼に伝えたかった。
「俺がいなくなるからって辞めるなよ」と出発の前に冗談ぽく言っていた彼には。
何だか約束を破ったみたいな気がして。
手紙を読んですぐに海外から電話をくれた。
変に説得しようとはせず、私の選んだ道を認めてくれた。
彼の声を聞いて、とても安心した。
そういう人生の大きな転機に関わっている。やはり「だいじなひと」。