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いちばんだいじ

日々の暮らしの中で、人生で。一番大事なこと、大事なモノを見つけるために

夏が終わった

2006-06-21 23:55:08 | My Sweet Alligator
成り行きの小旅行以来、あの人とはなかなか逢えなかった。

「今度は、朝早くから来ようよ」
砂浜でそう言っていたのに。

結局、逢えないまま9月になった。

どうしても逢いたくて逢いたくて、
彼が休日出勤のとき手伝ってあげることを提案した。
資料について、まだわからないことがあるというので、
それを説明してあげるという口実で。
とにかく、彼と一緒にいられるなら、
場所も時間もどうでもよかった。

休みの日でも、会社には結構来ている人がいる。
私が行くのは結構大胆?
でも、仕事を引き継いだ後輩のピンチを救うという
大義名分があるから
「辞めても大変だね」なんて言われたりして

彼は、本当に一生懸命やっていて。
「一緒に仕事したいな。やっぱり辞めるんじゃなかったな…」
ちょっと後悔したりもして。

説明がほぼ終わって、私の役目は一応終了。
もしかして、先に帰れとか言われちゃうかな。

突然、向かいのデスクで仕事をしていた彼が
黙ってメモを差し出す。
「何時まで大丈夫?」
他の人の手前、こそこそ話をするのもアヤシイし、
かといって大きな声でそんな話できないもんね。
「9時ぐらい」
こっそり答える。
てことは、このまま待ってて良いのかな?

彼の仕事が早く終わるように、
プリントアウトやコピーを手伝ったりする。
他の人とも久しぶりに話したり。
あまり手持ちぶさたにしてると、
いかにも「彼を待ってる」って感じになるから。

その間、仕事しながら彼が話してた。
結婚式の仲人を頼んでいる支店長に
二人のなれそめなどを書いて渡さなければいけないんだって。
その原稿?を見せてもらった。
「結婚って、いろいろ大変なんだね」
そうだよ。
ただの恋愛のとは違うんだよ
わかってなかったの?

仕事が終わった。
彼の目標時間より、意外とかかっちゃったみたい。

「お先に失礼します」

一緒に会社を出る。
そして、彼が車を停めている駐車場へ。
助手席に座る。

「遅くなったね。送ってくよ」

車は私のウチの方へ。

「なんかとんでもないデートになっちゃったね」

彼がつぶやく。
デートか。そう思ってくれてるんだ。
ちょっとうれしかった
そりゃ、もっと違う場所がよかったけどね。

帰り道は、有名なドライブスポットになっていて
山から見下ろす街の灯りを楽しめる。

「いつ見てもキレイだよね」

この道で何度か私を送って来てくれたことのある彼が言う。
そうだね。
子どもの頃から見慣れた景色ではあるけれど。
一緒にいると、私にとってはいつもの何十倍もキレイに見えるよ。

「今度はいつ逢えるの?」

一番聞きたいことを聞けないまま、
いつものように、さよならのKISS。
そして車を降りた。


核心

2006-06-18 23:19:15 | My Sweet Alligator
チェックアウトの時間になってHOTELを後にする。
お金はもちろん私が払った。
「女の人にHOTEL代を払ってもらうなんて初めてだよ」
もちろん、私だってそうだよ

帰り道、カフェでブランチ。
前から聞かれていた仕事の資料について
お店の中で少し説明する。
まるで、一緒に仕事してたときみたい。

「あ、今日、同期のヤツと出かける約束してたんだった」
彼が突然思い出す。
成り行きで泊まっちゃったからね。
寮に電話しても、相手はもう出かけちゃったらしい。
帰ったら、なんて説明するんだろうね

それから、私の家へ向かって車を走らせる。
その途中、話の流れから彼の結婚のことに。
それまで、お互い、その件については触れていなかった。

「もう逢ってもらえないかと思ったよ」
彼が言う。
それはこっちのセリフでしょ?

「いつ頃決めたの?」
そんなことも聞いてみる。
何でも高校生くらいからの長い付き合いで。
でも、途中でくっついたり離れたりがあったみたい。
海外へ行ってたときには、他に彼女がいたのは知ってるし。
帰ってきて、久々に再会して、そういうことになった
と話してくれた。

私よりもずっと彼を知っている。
逢ったことのない昔の彼を知っている。
それが、すごく悔しかった。
でも。
彼のことを誰よりも大切にしてくれる。
そんな気もした。

結婚式は春。
「披露宴、来る?」
そんなことまで言う彼。
たしかに、職場の人をみんな呼んでいるから、
私が行ってもおかしくはない。
でも、それは酷ってもんだよ
「行かないよ」
その場で平静を装っていられる自信はない。


車は私の家の近くまで来ていた。
「銀行でお金をおろさなくちゃ」
あー、そうだね。持ってないから私が払ったんだよね。
最寄り駅の前にある銀行を教えてあげる。
家は駅から歩いてすぐだし、そこで車から降りることにした。

とりあえずついていく。
これでまたしばらく逢えないんだと思うと
ちょっと哀しくなる。

お金をおろす間、彼の後ろで待っていた。
誰もいない昼下がりのATMコーナー。
ガラス張りの店内からは、駅前を行き交う人がよく見える。
終わった彼が、こっちに近づいてきて
さりげなく唇を重ねる。
誰か来たらどうするの
もう、ホントに大胆なんだから

銀行を出て彼と別れる。
「乗っていけば?」
そう言ってくれたけど、真っ昼間にそんな冒険はできない。

「帰り、気をつけてね」
そう言って、家に向かって歩く。
しばらく行くと、なぜか通りの向こう側に彼の車が。
不思議に思っている私に向かって
「煙草買ってた」
なーんだ。
何か大事なこと忘れてたのかと思ったよ。

でも、また顔が見られてうれしかった


2度目の朝

2006-06-17 23:20:38 | My Sweet Alligator

思い出の砂浜を後にして。
泊まる場所を探して、また車を走らせる。

通りすがりのHOTELでいい。
そうは思っていたけれど。
そのHOTELが…ない
ようやく見つけても満室

「HOTELを探すのに、こんなに苦労するの初めてだよ」
苦笑する彼。
さんざん走り回って、ようやく見つけたのは、
少し山手にある、ひと目でかなり古~いとわかるようなHOTEL
でも、この際、贅沢は言ってられない。
彼と一緒にいられるならどこでもよかったし

部屋に入って、すぐにベッドに寝ころんじゃう私。
「そのままじゃダメだよ、砂が落ちるじゃない」
あら?結構、神経質なんだね。
「ごめんね」
で、シャワーを浴びることに。

バスルームはガラス張り。
古いからね…
でも、シャワーのお湯でガラスが曇るから、
丸見えにはならない。
彼がふざけて外から覗いてくる。
思わず、シャワーを向ける。
そしたら。
当たり前なんだけど、曇りがとれて丸見えになってしまった
きゃー、何やってるんだ私
彼も笑ってた。

二人ともシャワーを浴びてベッドへ。
また、一緒に朝を迎えられることがうれしくて
とても幸せな気持ちだった。
帰る時間を気にせず、一緒にいられるなんて
この先、もうないかもしれない。

私のカラダもやっと彼に慣れてきたみたい。
もう、彼をがっかりさせたくなかったし。
その夜は、とても満ち足りた気持ちで眠りにつくことができた。


そして、朝。
私が先に目覚めた。
この手のHOTELで朝まで過ごした経験はほとんどない。
朝ご飯の時間を気にする必要もないんだな、と
あらためて気がつく。

しばらく彼の寝顔をみている。
なんか子どもみたい。

「…ん-?」
彼が半分目を覚ます。
「もう起きてたの?」
「うん」
それから、抱き寄せられて…。
よく眠って疲れが取れたせいか、夕べより情熱的な彼。
ちょっとビックリしちゃった。

このまま、ずっと二人でいたい。


帰らなくていい

2006-06-16 23:53:01 | My Sweet Alligator
暗くなってきたので、車に乗った。
その前に、ソフトクリームを買った彼。
お子さまだね。

「どこに行く?」
「砂がついちゃってるから、お風呂に入って帰る?」
でも、それは誘ってるワケじゃなく。
純粋に健康ランドとかを探そうと思ってるらしかった。

「何時に帰ればいいの?」
いつも、彼は聞いてくれる。
気をつかってくれてるんだよね。
「帰らなくてもイイ」
「え?」
「今日は帰らなくても大丈夫
「それならもっと早く言ってよ」
怒ってはないけれど、予想外の展開だったらしい。
「でも、泊まるお金持ってきてないよ?」
「大丈夫!私が持ってるから」
「着替えは?」
「持ってきてる」
「準備がイイねぇ」

だって。
海に行くかも知れないと思って、
水着だって用意してきてるんだから。

じゃ、まずはご飯を食べよう。

そう言って、海沿いのおしゃれなレストランへ。
おいしそうなシーフードサラダを頼んだんだけど、
「シーフード苦手なんだ」
なんだよ、それ
まだまだ私の知らないことはたくさんあるんだね。

それから、今日の宿を探しながら夜のドライブ。
私が言った。
「学生の時、このあたりで民宿に泊まり込んでバイトしてたんだ」
「でも、民宿は当日行ってもムリでしょ?」
と彼。
「いいから、行ってみよう」
そして。
思い出の場所へ彼を連れて行った。
バイト仲間とよく星を見に行った砂浜へ。
彼と二人寝ころんで、満天の星空を眺めていた。

10年前には、想像もできなかった。
こんな恋をしていることも。
好きな人とここでこんな風にしていることも。
あの頃に知り合ってたら、今頃は…。
絶対にあり得ない、そんなシチュエーションまで想像して
現実とのギャップに少し哀しくなった。

8月のデート

2006-06-15 23:27:23 | My Sweet Alligator
あの人と約束した8月のデートの日まで。

「やっぱりダメになった」
そんな電話やメールがいつ来るかと
ずっと心配していた。
当日、集合場所に向かってるときも。
到着して彼の姿が見えるまでは、安心できなかった。
待ち合わせはいつも不安。


彼の車に乗り込む。
私はあらかじめ「海に行きたい」と言っていた。
でも、お天気の良い8月の土曜日。
海はどこも混んでいることは容易に予測できる。
そこへたどり着くまでの渋滞だってかなりのものだ。

「海は混んでるでしょ」
彼もそう言う。
で、逆に山の方へ向かって車を走らせる。
このあたりは、海と山がすごく近い。

まだ行ったことのないドライブウェイを走ってみる。
途中でお昼ご飯を食べる。
暑いから、サッパリと蕎麦。
メニューにシャーベットがあるのをみて
彼が食後に食べようという。
私に気をつかってというより、
むしろ食べたいのは彼自身みたい。
なんかカワイイ

意外にも、フルーツの皮の器に入ったおしゃれなシャーベットが登場。
彼と私は違うものをオーダーしていた。
「食べてみる?」
そう言って、スプーンでシャーベットを私の口に入れてくれた。
今まで何度も一緒に食事してるはずなのに、
こういうのは初めてで、ちょっとドキドキした。
お返しに、私も彼の口に入れてあげた

店を出て。
「行きたいところがある」
彼が言う。
それは、仕事で取引している顧客の工場。
そこからは比較的近かった。
このごろ、商品のオーダーがないので、
ちょっと様子をみたいという。
私も担当していた仕事だし、彼の気持ちは分かるので
行ってみることにした。

土曜だし、工場は休みだったけど、
外に置いてあるモノを見れば原因は察しがつく。
他から商品を買っているらしいことがわかった。
「やっぱり」
また、商社にはっぱをかけなくちゃならないね。

私がいた頃より彼が着実に成長しているのを見て、
ちょっとうれしかった。