梅雨時に雨降らずで寒暖計の目盛りばかりが日々気になった今年の6月から7月。
私は「一日1万円。乗り降り自由。指定席2回まで指定可能!」のキャッチフレーズが気に入り、6月中にビュープラザに走った。
JR東日本のこのサービス商品は、今年のゴールデンウィークの売り上げが伸びず、なんとかせねばと考え出された商品だった。
JR東日本管内ならばどこでも一日1万円で利用できるもので、誰でも考える「より遠くへ行こう!」…と私は北の果てを選び7月中旬の旅に決めた。
蒸し暑い7月13日(水曜)、ギャラリーも定休日なので、胸張って家を出る。
高崎から大宮へ。
高崎市に住む従姉妹と友人、川口市に暮らす姉との四人が大宮駅で合流し、東北新幹線“はやて”に乗り換えた。
電車はひたすら北へ北へ……。
福島県内は少し速度を落としての徐行運転。
福島県は東西に広がりのある四角い形をしていて、東北本線や新幹線や国道4号線沿いが“中通り”、西側が“会津通り”、太平洋側が“浜通り”と呼ばれている。
震災から発生した原発の問題は、配偶者の実家がいわき市の私に、さまざまな影響を及ぼしている。
仙台では七夕まつりで、「頑張ろう!」と気構える心意気を力強さが……車窓から見る街の雰囲気と動き回る人々の姿にそれを感じる。
岩手県はどんよりと雲が低くのび、名峰を隠していた。
岩手山も姫神も、ハヤチネウスユキソウが咲いている早池峰山も、みな雲の中。
青春時代をこの地に暮らした姉は、窓ガラスに顔を近づけ、山々の名前を呟いていた。
青森県に入って八戸市。
駅名を見ただけで海鮮の匂いが漂ってくる感じが面白い。
電車は一気に八戸からはトンネルに入る。
そう、八甲田の山々の下に入るのだ。
大宮駅から3時間少々。
開発が進む土地のド真ん中。新青森駅に到着。
さまざまな旅人が右往左往。
観光案内所に飛び込み、「県立美術館へは?」と係りの女性に尋ねたら、「ご案内します、こちらへどうぞ」と駅前広場の見下ろせる場所まで我々を誘導、丁寧に教えていただく。感謝!
シャトルバスはすでに満席の状態で人がキュウキュウ。
約10分で到着。
ここでは
青森県立美術館の詳細は省略。
2時間ほどあちこちグルグル歩き回り、館を出た後は路線バスにてJR青森駅に向かう。
青森駅は港を隣りに持つ美しい景色の中に在った。
本日、ここまで昼食を我慢した私たちの今日の目的のひとつ、それは「のっけ丼」。
駅から歩いて10分ほどのとある建物に入ると、ズラリと海鮮の店が並ぶ。
通路横に、お丼に白飯だけ盛り1杯100円の店。
そのお丼を片手に、居並ぶ海鮮の店前に立ち、「そのイクラを、そのホヤを、そのホタテを!」と。
また別の店に行き、「ア、そのマグロください!」などと叫び、お丼の白飯の上にどんどん乗せてもらう。
通路横に、テーブル&椅子とお茶セットがところどころ用意されていて、そこでガツガツと丼ご飯をかき込む!気取ってなんかいられない。海の男になった気分…。うまい~!!!
ただし、いい気になっていると、かなりの高額になってしまうので、頭の中で計算をしつつ「それ、乗せてくださ~い」と注文すること。
食後は港あたりをブ~ラブラ。
そして青い森鉄道で新青森駅へ。
帰路は期待の「はやぶさ」で、夕闇迫る青森市をあとに「八戸小唄弁当」に舌鼓を打ちながら大宮駅へと向かう。
21時少し前、
愛するハルのお出迎えで、1万円の旅が終わった。