蒼穹

SOU建築設計室の徒然なるブログ

幼稚園の基本的なあり方と今後の在り方 NO22

2020年08月24日 12時00分00秒 | 保育園

幼稚園の開園を考える際に、幼稚園施設整備の基本的な方針や、施設整備における基準について知っておくべき、大切なポイントをご説明します。
また、時代が変わりゆく中で、幼稚園施設は、どうあるべきなのかについても考えていきます。


↑私たちが、現在設計中の幼稚園


幼稚園施設整備の基本と幼稚園施設整備のまとめ 
【幼稚園施設整備の基本的方針】
幼稚園施設整備の基本的方針について、文部科学省大臣官房文教施設企画部が公表している資料をもとに見ていきます。

(1)遊びを通し柔軟に指導できる環境の整備

幼稚園は幼児自らが考えて行動できる場であることを前提に、家庭的な雰囲気の中、友達同士や教職員との交流を促す場です。
自然、人、ものなどとの触れ合いの中で、遊びを通して好奇心を満たし、自発的な活動を引き出すことが重要です。

(2)健康で安全に過ごせる環境の確保

成長の著しい幼児だからこそ、健康と安全を確保した施設であることが重要です。
例えば、日照、採光、風通しの良い環境であること、また、防災性、防犯性などの安全性を備えた安心できる施設環境に整える必要があります。
さらに、環境にやさしく自然との共生などを考慮した施設であることも大切です。

(3)地域との連携、周辺環境との調和に配慮した施設の整備

幼稚園は、地域の幼児教育に関するさまざまな悩みや要望を受ける役割も果たす必要があり、
子育て相談などがあれば家庭や地域と連携したり、
周辺の施設と積極的に連携したりすることが重要です。
また、地域の町並みや景観との調和に配慮して施設を整備し、バリアフリー対策も図る必要があります。

【幼稚園施設整備基準】
社会の変化などに伴い、子どもの生活も大きく変化し、幼稚園での生活も変化してきています。
前述した幼稚園施設整備の基本的方針をもとに、具体的な幼稚園施設整備基準について詳しく説明します。

(1)遊びを通し柔軟に指導できる環境の整備とは

・幼児が主体的に活動できるような環境を確保し、発達を促すことができる施設としての計画

・幼児が創造性を発揮できるように、さまざまなコーナーや、家具の配置などで楽しめる空間を建築

・自然の中で伸び伸びと体を動かして遊ぶために、外へも関心が向くよう幼児の動線に配慮した園庭や遊具の配置の工夫

・お友達や教職員とのかかわりを促せるような工夫

・3歳児の入園ニーズの高まりから、多様なニーズに対応できる施設整備

・支援を必要とする幼児への指導も考慮した施設整備


(2)健康で安全に過ごせる環境の確保とは

・幼児にとって家庭の次に長く過ごす大切な場であり、遊びや生活の場としてゆとりのある施設整備

・幼児が健康に過ごせるよう採光、通風にし、換気等に対する十分な配慮

・災害に対する安全性の十分な確保

・施設の構造上の欠陥は当然ながら、幼児が予測しにくい危険を事前に取り除き、配慮した施設整備

・障害のある幼児や教職員が安全で円滑に過ごせるよう、バリアフリー化の実現

・環境にやさしく、自然との共存などを考慮した施設づくり


(3)地域との連携、周辺環境との調和に配慮した施設の整備とは

・幼稚園・家庭・地域の連携をもとに計画

・共働き家庭が増えたなど社会のニーズが高まっていることから預かり保育に対応する施設計画

・親と子の育ちの場としての機能も兼ね備え、子育て支援の充実


幼稚園施設の今後の在り方 時代に合わせたニーズへの対応が必須
一昔前までの幼稚園は、働いていない保護者が預ける小学校入学前に教育をするところ、
保育園は、家庭のかわりに保育をしてくれるところ、といった認識だったと思います。

しかし、時代の流れとともに共働き家庭が増え、保育園のニーズが高まっています。保育園でも単に子どもを預かるだけでなく、
教育機関である幼稚園のようなカリキュラムを求める保護者も増え、スポーツや、英会話などカリキュラムが充実しているところも多くなってきました。

その一方で幼稚園は定員割れしているところも多く、新たに幼稚園施設を建築する場合は、現代の幼児を取り巻く環境の変化や、
社会のニーズが多様化していることに対応している施設にすることが大切です。

地域とのかかわりを大切に

社会の変化に伴い、子どもを取り巻く環境も大きく変わりました。
核家族化、少子化により、祖父母や兄弟、親戚とのふれあいが減り、
また地域のコミュニティーも希薄になり、親も子も地域の中での孤立が進んでいます。

そして、子どもへの犯罪の増加などから同年代の子どもと自由に外で遊ぶことも難しくなっています。

そんな時代だからこそ、家庭以外で遊びを通じて、学んだり、地域との連携がとれたりする幼稚園施設であることは、幼児の発達において非常に重要なのです。

預かり保育・プレ保育の実施

働く親が増えたことから、通常の教育時間の終了後や夏休みなどの長期休みの間の預かり保育の実施が望まれています。
また、障害がある子どもたちも安心して過ごせる環境づくり、未就園児を対象としたプレ保育など、
小さいうちから集団活動を通して、幼稚園という場所に慣れ親しめるように配慮するなど、子育てを幅広く支援できる制度が必要です。


幼児期の教育は、自ら考えて判断し、社会の変化に主体的に対応できる素養を育み、その基礎を培うものです。
こういった背景から、多様なニーズに対応した幼稚園施設であることが望まれます。


 

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清水義文 (株)SOU建築設計室
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