蒼穹

SOU建築設計室の徒然なるブログ

和室は究極のぜいたく品?

2012年05月09日 14時02分21秒 | 日記・エッセイ・コラム

 和室のある家を設計する機会が非常に減ったと感じます。そこで和室について少し考えてみました。

 

まず、部屋の名称からなのですが、

1970年代頃までの建築物の図面(PLAN)を見ると

部屋名は「洋室」「和室」という表現が多くみられます。

それに対して、最近は部屋も形態ではなく「主寝室」「子供室」のように

用途で呼ぶことが多いです。

現代建築は用途に応じた部屋を準備する方向に発展しましたので、

こういう風になったような気がします。

ここでいつの間にか、ことわりがない限り「部屋=洋室」になっています。

「和室」はあくまで「和室」で、用途のない部屋、だからプログラムに乗ってこないとなってしまいました。

そういう中で和室は「畳コーナー」に名をかえ、細々と生きながらえていることが多いです。

 

こういう中でも、和室を作られる住宅があります。

 私の設計した、あるお宅では小さな和室を作りました。

住宅の中で唯一「無目的の部屋」です。ところが、この部屋はお子さんの勉強や、

 

奥様の家事、ご主人の書斎としてフル稼働しているようです。それぞれ広いお部屋を

 

準備した比較的大きな住宅なので、この帖をフル稼働させる必要もないのですが。

 

さて、現代の和室は「唯一の無目的・多目的空間」です。

 無目的ですが、和室には「居心地」という、日本人には大きな「魅力」があるのでしょう。

 そして、一抹の疑問を感じるのは、

今の子供たちは「和室での生活経験が全くなく大人になってしまう。」ことも多いことです。

少し残念な気がします。

魅力はあるのですが、この空間を確保するというのは、

やはり敷地の制約などもあり、とてもとても贅沢なことだな~とつくづく思います。

ましてや床の間などは「ぜいたくの極み」なのかもしれません。

 

 




 

 

 

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