【福島県動物愛護管理推進計画】の概要と注目ポイントについて解説!
令和6年4月1日~令和16年3月31日までの10年間の計画(5年で一度見直しあり)
1から7まで項目が分かれています。
なんとかわかりやすく書いてみましたので、最後まで読んでいただきたいです!!
①改定の趣旨
人と動物とが共生する社会の実現に向けて今後10年間の計画を定めた計画!
②計画の特徴
中核市福島市・いわき市・郡山市の各保健所が管轄する
中核市以外の中通り県動物愛護センター(三春にある)が管轄する
会津県動物愛護センター会津支所が管轄する
相双県動物愛護センター相双支所が管轄する
福島県を3か所の保健所と、愛護センター、愛護センターの支所2か所、計6か所で管轄しているよ!
自分が住んでいる地域はどこが管轄しているかわかりますか?
③動物愛護管理の施策を推進するための基本指針
県民・動物の飼い主・動物愛護ボランティア・動物取扱業者・行政などが連携、協働すること!
動物取扱業者とは? 第一種動物取扱業と第二種動物取扱業があるよ!
第一種動物取扱業
動物の販売(ペットショップ・ブリーダーなど)、保管(ペットホテル・ペットシッターなど)等を営利目的、業として行うこと。
第二種動物取扱業
シェルターなど、営利を目的とせず一定以上の動物を取り扱う飼養施設を設置しているもの。
④計画に関わる様々な立場の者の役割と責務
県民の役割
動物が好きな人も嫌いな人もお互いの価値観を認め尊重すること
動物の飼い主
周囲に迷惑をかけず、動物の適正飼養、終生飼養をする責務
適正飼養とは?・・・ただしく動物を飼うこと
終生飼養とは?・・・亡くなる最後まで動物を飼うこと
動物愛護団体、動物愛護ボランティア
飼い主への支援や、県・市町村への協力を行う
動物取扱業者の責務
法律の基準を守る、飼い主に対して飼養方法やマイクロチップなど知識の提供をする責務
マイクロチップとは?・・・
動物の皮下に入れるガラスカプセルの中にICチップが入ったもの、動物取扱業者からペットを飼う、譲り受ける際には業者が先にマイクロチップを入れることが法律で決められたよ!飼い主は任意です。
県および中核市の役割
犬の捕獲、収容した犬猫の返還、譲渡、殺処分、動物取扱業の登録などの業務と、市町村や福祉関係機関と連携し多頭飼育者への指導助言、地域猫活動の支援を進める
返還とは?・・・元の飼い主に戻すこと
譲渡とは?・・・新たな飼い主を見つけ譲り渡すこと
地域猫活動とは?
特定の飼い主がいないいわゆる野良猫の数を増やしすぎないように、不妊去勢手術をしたうえで一代限りの命を全うするまで、地域の人の理解と協力の下で適切に共同管理すること。
市町村(中核市以外)の役割
飼い犬の登録、狂犬病予防注射に関する業務、災害時における避難所での動物の受け入れ体制の確保、動物愛護管理の普及啓発など
県獣医師会の役割
獣医学的な立場から計画を支援すること
⑤現状と課題を踏まえた施策等の方向
⑴動物愛護と適正飼養の普及啓発
<令和3年:犬に関する統計>
引き取り数544頭
返還数248頭
譲渡数178頭
殺処分数122頭(健康状態の問題、攻撃性があることにより譲渡不適と判断されたものが大半)
<令和3年:猫に関する統計>
引き取り数1438頭(7割弱が所有者不明)
返還数5頭
譲渡数385頭
殺処分数1035頭(引き取り数の7割を殺処分、殺処分された猫の7割が仔猫)
・野良猫、捨て猫に関する苦情が多い
・動物の習性を理解しないまま多頭飼育、そのまま多頭飼育崩壊に陥るケースの発生
・単身でペットを飼う方が入院、死亡することにより動物が居場所を失うケースの発生
県はこれを踏まえて・・・
動物の愛護と福祉の向上を目的とした啓発事業、広報活動、教育活動を行う
繁殖制限措置、屋内飼養、終生飼養、所有者明示措置の徹底、無責任な餌やりが望ましくないことの普及啓発、地域猫活動の促進を行う
⑵動物取扱業者の意識向上
依然として不衛生な環境下で動物を飼養するなど不適正飼養の実態がある
県はこれを踏まえて・・・監視と指導を行う
⑶連携と協働の推進
動物愛護ボランティアとの連携
動物の愛護と適正飼養を普及啓発するボランティアを育成と支援
動物愛護推進員をつくる
動物の愛護と適正飼養を普及啓発する動物愛護推進員を委嘱、連携協働する
Point
国の動物愛護管理法により都道府県が任意でおける「動物愛護推進員」
他の地域ではすでに設置し活用しているところがほとんど(令和5年時点で42都道府県が設置済)
福島県にもようやく待望の推進員が設置されたが、誰が推進員になりどう活動していくかが問題。
動物愛護推進協議会をつくる
今まであった動物愛護推進懇談会に替わる組織、動物愛護推進員を選ぶ、推進員の活動を支援する
Point
こちらも国の動物愛護管理法により都道府県が任意でおける「協議会」
行政、動物愛護団体、ボランティア、動物取扱業など、様々な立場の人たちで話し合い、地域の動物愛護を推進していくべきだが、福島県の場合は誰がこのメンバーになるのかまだ未定。
獣医師会等関係団体との連携
市町村、関係都道府県との連携
動物愛護の普及、犬の登録、狂犬病予防注射の実施を推進するため連携し啓発活動
福祉関係機関との連携
多頭飼育者への対応を行う
教育機関との連携
小学校等と連携を進める
警察との連携
動物への虐待、殺傷、遺棄が犯罪であることを周知
⑥具体的施策の展開
福島県動物愛護基金を活用
Point
予算にプラスして使えるお金ではなく、予算にこの寄付金が組み込まれる形
寄付金と予算の関係を掲載してほしいです。
動物愛護推進ボランティアの育成と連携活動
Point
これまでに出てきた、動物愛護ボランティアや動物愛護推進員との違いが分からない!
育成よりも、今頑張っている地域猫活動のボランティアを守ってほしい
3ない運動の推進
犬:放さない(放し飼いダメ)、逃がさない、増やさない
猫:出さない(家の中で飼う)、捨てない、増やさない
終生飼養の指導、所有者明示措置の推進
安易に持ち込まれたり、相当の理由がない限りは引き取りを拒否する
マイクロチップの装着を普及啓発する
飼い犬のしつけ方教室、猫の飼い方講習会
所有者の判明しない猫の引き取り拒否
自力で餌を取れる、親猫が飼育している、駆除目的で捕獲、所有者がいると憶測できる猫は、持ち込まれても引き取りを拒否する
地域猫活動の支援
住民が主体となって行っている地域猫活動を支援する
Point
ボランティア任せにしないで!ボランティアは疲弊しています。
ボランティアの崩壊も起きています。
行政が主体的に動くべきところをボランティアがやっています。
動物の返還、譲渡の推進
犬猫殺処分の削減
殺処分の分類
①健康状態が悪い、攻撃性が強いことから譲渡はできないと判断され殺処分になった犬猫
②譲渡はできるが施設に入りきらないためやむを得ず殺処分する犬猫
③保健所やセンターで引き取った後に死亡した犬猫
県は②を削減していくとしているが・・・
Point
もちろん②を削減しなくてはいけないことは当たり前だが、福島県はほかの都道府県と比べても①の数がとびぬけて多い。
どのような基準で①の分類で殺処分しているのか、詳しい記載をお願いしたい!
児童への啓発
地域における動物愛護活動の支援
福島県動物愛護ボランティア会の活動を支援する
Point
このボランティア会の活動内容が分からない!
詳しく記載してほしい!
など。。。
⑦目標の設定
令和15年、今から10年後の目標を設定している項目です。
犬の引き取り頭数
令和15年度の目標令和3年度の50%減の80頭以下
猫引き取り頭数
令和15年度の目標令和3年度の50%減の720頭以下
犬の捕獲頭数
令和15年度の目標令和3年度の50%減の190頭以下
犬の苦情件数
令和15年度の目標令和3年度の50%減の440件以下
猫の苦情件数
令和15年度の目標令和3年度の50%減の520件以下
犬の殺処分数
令和15年度の目標令和3年度の50%減の60頭以下
猫の殺処分数
令和15年度の目標令和3年度の50%減の520頭以下
動物取扱業施設の違反件数
すでに0を達成しているため引き続き0を目指す
Point
犬猫殺処分数ワースト1位常連にも関わらず、目標が低すぎる。
どうして犬猫殺処分数0を掲げないのか?
「譲渡不可な犬猫を除く」の条件がついていたとしても、まずは高い目標に向かって努力する姿勢を見せてほしい。
この低い目標では今までと同じことだけやってればいいやという施策になってしまう。
絶対にこの目標値は改善すべき!
また、計画の中に「動物取扱業者は依然として不衛生な環境下飼育している不適正飼養の実態がある」と書いてあるのにもかかわらず、動物取扱業施設の違反件数がずっと0なのか?
矛盾しているのでは?
問題点のまとめ
ここまで読んでくださった皆さま、本当にありがとうございます!
ここからは私が感じる計画の中でおかしいと思う点や、勉強会で意見が出た点をまとめています。
1.目標の低さ
少し前にも書いたように、目標が低すぎます。
10年後でも猫は500頭殺処分されてもいいという目標はおかしいと思います。
また犬は令和4年度の殺処分数は71頭でしたので、10年間で10頭減らせばOKです。
これはどういうことでしょうか...
2.せっかくできた動物愛護推進員の役割が不明瞭
動物愛護推進員は、県の方針に合致する人だけでなく、動物愛護団体や、個人で地域猫活動を行っている方など、様々な立場の人を選んで、みんなで一緒にいろんな意見を出し合って、福島県の動物愛護を推進するべきです。
ですが県は推進員を選ぶ大前提として、県の方針に合致する人を選ぶとしています。
それではただの県のいうことに従って動いてくれる便利な人です。
せっかくできた動物愛護推進員ですので、その意味をもう一度考えてほしいです。
3.連携、支援、普及啓発...具体的には何をやるのか?
地域猫活動をしている住民を支援する・・・
不妊去勢手術費用を助成している市町村、自治体と連携する・・・
適正飼養を普及啓発する・・・
どんなやり方で何を支援するのか?
連携して何をするのか?
誰に対してどのように普及啓発するのか?
一番重要な具体的なことが書かれていないように思います。
4.正面から福島県の問題である猫の殺処分の多さに向き合っていない
本当に猫の殺処分数を減らしたいと思うなら、
野良猫の不妊去勢手術費用の助成金を創設する
地域猫活動をボランティア任せにしないこと
地域猫活動講習会を犬のしつけ教室や猫の飼い方講習会より優先的に行うこと
多頭飼育崩壊のガイドラインを作成し、具体的な対応を決めること
などがまず大切だと思います。
また計画の中には「無責任な餌やり行為が望ましくないこと」を普及啓発するとありましたが、この言葉だけでは餌やり自体が悪いように思われてしまいます。
本当に普及啓発すべきは
不妊去勢手術を施し、飼い主のいない猫の適正飼養を図ること
置き餌にせず1回分の餌を与え、トイレを設置し糞尿の始末をし、近隣住民に迷惑をかけることなく猫と人が共生していくこと
です。
(これらのことはNPO法人LYSTAさまのお話を参考にさせていただきました。)
計画を読んでいると、一番問題あることには見て見ないふりをしているように思えてしまいます。
5.計画に書かれてあること以外では・・・
パブリックコメントでは計画に書かれていないけどこれもつけ足してほしいという意見もぜひ送ってほしいです!
私は動物の移動販売についても書こうと思います。
県内ではよく大きな施設で犬猫の移動販売を行っていますが、実際に行ってみると動物たちがかなりぐったりしていて、とても見ていられません。
他の地域では条例で移動販売をできなくしているような動きになっていますが、福島県は逆に、福島県教育委員会がこの移動販売を後援しています。
今すぐに後援をやめてほしいと思っています。
そして最後に、県と対立するのではなく、一緒に福島県の動物愛護を良くしていくという姿勢を持っていただきたいです。
行政職員の立場として考えると、まずこれらの施策は税金を使っています。
県民は動物が好きな人もいれば嫌いな人もいるので、業務の半分はそういった電話の対応という噂も聞いています。
また行政は県民のために働いています。
犬や猫がかわいそうだから働いているわけではないので、ぜひ犬や猫の問題で人が大変だという視点でパブリックコメントを送ってほしいです。
動物に限らずですが、対立してしまっては前に進むことも進みません。
けんか腰ではなく、一緒に考えさせてほしいという姿勢で私はパブリックコメントを送ろうと思います。
先日一緒に勉強会を行った動物たすけ隊キッズサポーターの小学6年生の皆さんが書いた文章を引用させていただきます。
「自分たちの想いを伝えてみてください。黙ってたらおかしいと思うことも、賛成したことになっちゃうから。」
とてもその通りだと思います。
「パブリックコメントめんどくさいからやめよう」とか、「自分一人が出したってどうせ変わらない」と思って出さないことは、計画に賛成することと同じです。
どうか、パブリックコメントを送ってください。
送り方、送り先を下に記載しています。
パブリックコメントは2月29日までです!
・氏名、住所、電話番号、意見 を書いて
・郵送 〒960-8670
福島県福島市杉妻町2-16 西庁舎6階 食品生活衛生課 動物愛護係
FAX 024-521-7925
メール shokuseiei@pref.fukushima.lg.jp
にお送りください!
どうか!よろしくお願いいたします!!
計画のダウンロードはこちらからお願いします!
福島県動物愛護管理推進計画(改定案)に関する県民意見公募について - 福島県ホームページ (fukushima.lg.jp)