
開高健のFish On、OPAを子供の時読んだ。それと比較したらあかん。
Fish Onで覚えたせりふ。
Toby or not Toby. That's the question.
有名なハムレットの一節をもじったものだ。
To be or not to be. that is the question.
実はここに釣りの真意がある。釣り雑誌を見ると常に新しいルアー、新しいフライ、新しい・・・が出ているが、道具である釣り竿、リール、フライライン、ティペットなどには新技術が入って然るべきだが、ルアーやフライでは新しいから新技術というものではない。
そりゃスプーン(Toby)では攻略できない所をプラグやジグで攻めるとかいうのは新しい釣り方だ。でもスプーンだけで限定するとTobyが釣れないルアーになったわけではない。新しい物を好きな人が使わなくなっただけだ。
同じ事はフライフィッシングにも言える。
常に新しいフライパターンが出てきて、雑誌を見るとこのパターンが魔法のフライかのように紹介されているが、はっきり言ってそんなフライはない。ルアーも同じだけど。
フライは最後の最後であって、むしろポイントへのアプローチ法などの「釣りのスキル」が重要だが、それは余り記載されない。
魚がスレて・・・それはある。フライを見切る素振りも見せる。条件反射と刷り込みによる学習効果と考えればよい(だから僻地で良い思いが出来る)。しかし、僻地でも魚が居なければ釣れん。
この本は忙しい釣り人が色々と世界各地を巡ってそこで出会った人々との出来事を記してあるわけで、この本を読んでも多分釣りは上手くならない。どこに行っても、いじましく何でも釣ってやろうという著者の行動は釣りを嗜むのならわかるだろう。
ま、パラパラめくって、行ったことが無い場所での釣りを想像するには良い本だと思う。
著者自嘲気味に「愚か者」と言ってるが、読者の愚か者具合がこの本を楽しめるかどうかを左右しそうです。
なお、かなり力を抜いた文章とどこかに記載してあったような覚えが・・・。
そんな本です。