ならおうは穏やかに語る

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(09/08/23カウンターを付けました。)

PFASについて思うこと

2023-08-14 16:45:40 | Weblog
PFASとはper/poly fluoro alkyl substancesの略称。過/多重フッ化アルキル化合物。
アルキル化合物とは炭素鎖が一重結合でつながったもの。メタン、エタン、プロパン・・・デカン・・・などのCnH2n+2 で表される鎖式飽和炭化水素において、水素をフッ素で置換したもの。
水素よりも大きなフッ素原子で包まれている構造になる。炭素とフッ素の結合エネルギーは大きくて簡単に分解できない。
末端がカルボン酸で、炭素鎖の長さが8だとPer Fluoro Octane AcidでPFOA、スルフォン酸だとPer Fluoro Octane Sulfonic AcidでPFOS。この過フッ化炭素鎖を疏水基とする界面活性剤として使用されてきた。この疏水基の分子間力が弱いため表面張力が極端に低くなる。少量添加で表面張力を低下させるので、インクやレジスト、ペンキの濡れ性を向上する。つまり、弾かずにベターっと濡れる。これは表面の小さな異物や汚れがあっても上手く覆い尽くすので、ピンホールを生じなくなる。泡消化剤にも使われる。
界面活性剤なので、水にも油にも溶ける(分散する)。濡れ性が高いので眼鏡のレンズやゴーグルの曇り止め剤に都合が良い。乾燥すると親水基がガラス面となじみ、疎水基が外を向いた撥水作用を呈する。
そしてフッ素系なので簡単に分解できない。だから永遠の化合物と呼ばれている。規制はある程度必要な措置だろう。

一方、フッ素といえばテフロン。テフロン加工されたフライパン、テフロンに微細な穴を開けたゴアテックス。低摩擦係数、耐熱、耐薬品に優れているのでさまざまな分野で使用されている。
PFOAやPFOSを金属の表面に塗って乾燥させても撥水フライパンにはならない。
テフロンの代表であるPTFE poly tetra fluoro ethyleneは溶融加工ができないのでマイクロパウダーを焼結(圧縮)させるのだが、自分自身にも他の物質とも馴染まないので、簡単に剥離する。
剥離したPTFEは分解されることなく残留するが、上記の通り、他の物質と馴染まないので、食っても影響しない。(ある意味金粉と同じようなもの)。
最近はプライマー処理を行なったり、他の分子と共重合させて金属と馴染ませて、剥離しにくくしている。
ただし、PTFEは500℃以上の高温で熱分解する。フライパンを空焚きすると黒体輻射で赤黒くなるとその温度。そこまで加熱するとPTFEの分解で生じる何かよりもそれ以外も悪影響を及ぼす。
ベンゼン環を持つタンパク質と塩でポリ塩化ビフェニルが生じるのだぁぁあと叫ぶことも不可能ではない。

こういう極端な使用条件でなければ、テフロンは他のものと反応しないから、上記の金粉と同じようなものと考えて良い。

とはいえ、フッ素、危ない、ダメ、絶対、という方々にはご理解いただけないのだろう。

PFOA.PFOSはストックホルム条約で廃絶が決まった。生産もされていないし、規制されても弊害はない。
しかい、高分子、とくにPTFEはさまざまなところで使われているので規制されると40年以上前の不便な世界に戻りそう。
もしかしたら通信とかもできなくなるかも。

PTFEからPFOAやPFOSが生成する条件も極めて稀(上記の高温環境で、発生するかもしれないというレベル)なので、情緒に従って規制するととんでもないことになる。

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