総務省で「モバイルビジネス活性化プラン(携帯市場)」評価会議が開催されたとの記事があったので読んだ。
流石は御用学者。総務省の意向を汲んだ発言だ。ちょっと内容を記そう。
携帯電話メーカーから指摘した3つの市場縮小原因。
1)新販売方式導入による店頭価格上昇
例)SH904i(2007/06) 30,450円 → SH906i(2008/06) 54,600円
差額は24,150円。比率にして1.8倍。そりゃ買換控えますね。
2)割賦販売導入と2年契約
買換サイクル延長との指摘。2.2年→2.9年とか。
詳細計算はわからんが年間台数24%減相当らしい。
3)新旧モデルの非併売
「ある1機種の納入期間(販売期間)が短くなり、販売機会が失われている。」
旧モデルを格安でさばいてくれたらってこと。
携帯電話会社とすれば0円でも良いはず。でも2年契約だと買い換えないよね・・・。
で、携帯電話端末販売数が減ると以前指摘したように携帯電話事業会社(キャリア:docomo, au, softbank)の利益が増えるが支配力が落ちる以前に、「端末メーカーや部品メーカーは開発投資を抑えなければならず、そのままでは端末の進化が滞ることになる。これまで日本の携帯電話は世界をリードして新たな技術を取り入れてきたが、デバイスの進化にも影響する」と指摘している。
この指摘の根拠が海外の動向として、韓国を例に挙げ「韓国では、一時期、販売奨励金が禁止されたが、2006年に解禁された。進化が止まってきたため、そういった施策を打ったという面もあるだろう」とした。
ハードを開発して売る側の論理として過っていないと思う。国策で携帯電話事業会社の利益が増えるようにしたが、ハード側に利益を与えない。本来Win-Winで行くべき所をだ。
一橋大学大学院法学研究科教授の松本恒雄氏のコメント
「グローバルで安価な端末を提供している端末メーカーが技術開発も遅れているという因果関係はあるのか?」
これは事情を知らないコメントと思う。というのはNokia Europaのサイトを見てみた。何と言っても違いはワンセグだ。G3、カメラの解像度、インターネットとの融和性に殆ど差はない。しかし高解像度カメラも高性能表示素子(LCD)もmade in japanなのだ。キーボードがテンキー中心かそうでないかの違いは使用者の文化違いだ。
そう、端末メーカー間の差なんて殆ど無い。むしろ見えない部品の差だ。
海外製携帯電話としてiPhoneは確かに凄いところもあるが、これはAplleのUIが優れているのであって、日本人の好きなUIとは必ずしも合致しない(だからマニアにしか売れていない)そして部品の殆どは日本製(笑)。
NokiaやSamsungの携帯が日本で売れなかったのは日本の固有事情にマッチしたモノを出さなかったからだ。この固有市場を作り出したのはメーカーではない。キャリアだ。こういう仕様のものを!他のキャリアに負けないモノを!を要求してきたからガラパゴス的進化をなしてきたわけだ。
当然、この要求に対する開発資金はキャリアがメーカーに開発費だけじゃなく、まっとうな台数を買って支払う事によって賄われる、つまり或程度の数量を買い取る事で成立してきた。これを奨励金廃止で台数が減っても利益を得ているキャリアに対して、台数が減った分だけ利益も出ないメーカーが嫌な感じを持つのは当然だ。ちなみに部品メーカーは「数」がものを言うので、大量生産は有難い。
さらに一橋大学大学院法学研究科教授の松本恒雄氏は
「先進的なサービスを実現してきたというが、その結果、国内市場は閉ざされたものとなり、狭いパイとなって、頻繁な買い換えをさせてきたが、それを維持すべきなのか?」
これも携帯電話メーカーが仕向けたのではなく、キャリアが仕組んだ方向性。確かに異常な市場だ。だが、販売数量を大幅に引き下げて、半数以下となると、下記のシャープの長谷川氏の反論は興味深い。
「ノキアやサムスンといった企業は、国別の仕様ではなく、メーカーとして1つの仕様で各国に展開している。」
欧州(EU)人口4億8千9百50万人。日本の人口1億2千7百万76万人。欧州市場だけでおよそ4倍。さらに同じ仕様を米国市場にも展開している。これは携帯電話の通信規格が日本以外共通であることに帰依する。
「日本市場は、海外よりも先進的なサービスを提供してきたが、販売数減少は進化のスピードが落ちることに繋がる」
そうだろうね。先端サービスの実験場にもなっていた固有市場をグローバル化したら誰が先端サービスの実験に参加するんだ?そしてSIM lock解除に動くだろう。
そうなると、au向け、docomo向け、softbank向けという仕様は意味を成さなくなる。少なくともメーカーの機種数は1/3になる。そしてau専用のcasioでdocomoとか・・・。いいなぁ。
評価会議座長を務める東京大学名誉教授の齊藤忠夫氏のコメントも面白い
「今のはメーカーとして敗北宣言ではないのか。日本メーカーがいたずらに世界一を求めた結果、海外で展開できていないのではないか」
だから、日本メーカーが求めたのではなく日本のキャリアが求めた仕様が世界一なんだって。
結局、シャープは国内市場に見切りを付けて海外に打って出る。ただ、国内市場がボロボロで、それでいてキャリアだけがホクホクってのが恨みだよね。
誰が描いたシナリオか知らんが、結果的にキャリアがボロ儲け。
キャリア側の反論もある。
・販売が伸びずに開発費回収が困難。
・一定ロットで値段を決めて調達。
・905iで8,000円引き等試行錯誤している。
と軟着陸を狙っている事を述べているが、利益をメーカーに出せよ。
御用「調査」会社のレポートもおもしろい。
SIMロックを言及しているし。
斉藤教授の夢物語は「小さすぎる日本市場ではなくアフリカ市場を目指せ。」
すみません。足元の国内市場を固めずにジャンプするとこけます。
さらに「使えない高機能、過剰機能の搭載をやめろ」とか「消費行動で選択される端末を提供しろ」と述べる構成員も居られるようです。
前者は単機能端末ですか。らくらくホンですね。あんたはそれが欲しいんですね。メールもWebも使いこなせないからですね。
後者はSIMロックをはずすだけですね。そうするとキャリアが困りますが。
SIMロックを外すとキャリア間の競争になります。でもそれはイヤなんだろうね。
わがまま。
流石は御用学者。総務省の意向を汲んだ発言だ。ちょっと内容を記そう。
携帯電話メーカーから指摘した3つの市場縮小原因。
1)新販売方式導入による店頭価格上昇
例)SH904i(2007/06) 30,450円 → SH906i(2008/06) 54,600円
差額は24,150円。比率にして1.8倍。そりゃ買換控えますね。
2)割賦販売導入と2年契約
買換サイクル延長との指摘。2.2年→2.9年とか。
詳細計算はわからんが年間台数24%減相当らしい。
3)新旧モデルの非併売
「ある1機種の納入期間(販売期間)が短くなり、販売機会が失われている。」
旧モデルを格安でさばいてくれたらってこと。
携帯電話会社とすれば0円でも良いはず。でも2年契約だと買い換えないよね・・・。
で、携帯電話端末販売数が減ると以前指摘したように携帯電話事業会社(キャリア:docomo, au, softbank)の利益が増えるが支配力が落ちる以前に、「端末メーカーや部品メーカーは開発投資を抑えなければならず、そのままでは端末の進化が滞ることになる。これまで日本の携帯電話は世界をリードして新たな技術を取り入れてきたが、デバイスの進化にも影響する」と指摘している。
この指摘の根拠が海外の動向として、韓国を例に挙げ「韓国では、一時期、販売奨励金が禁止されたが、2006年に解禁された。進化が止まってきたため、そういった施策を打ったという面もあるだろう」とした。
ハードを開発して売る側の論理として過っていないと思う。国策で携帯電話事業会社の利益が増えるようにしたが、ハード側に利益を与えない。本来Win-Winで行くべき所をだ。
一橋大学大学院法学研究科教授の松本恒雄氏のコメント
「グローバルで安価な端末を提供している端末メーカーが技術開発も遅れているという因果関係はあるのか?」
これは事情を知らないコメントと思う。というのはNokia Europaのサイトを見てみた。何と言っても違いはワンセグだ。G3、カメラの解像度、インターネットとの融和性に殆ど差はない。しかし高解像度カメラも高性能表示素子(LCD)もmade in japanなのだ。キーボードがテンキー中心かそうでないかの違いは使用者の文化違いだ。
そう、端末メーカー間の差なんて殆ど無い。むしろ見えない部品の差だ。
海外製携帯電話としてiPhoneは確かに凄いところもあるが、これはAplleのUIが優れているのであって、日本人の好きなUIとは必ずしも合致しない(だからマニアにしか売れていない)そして部品の殆どは日本製(笑)。
NokiaやSamsungの携帯が日本で売れなかったのは日本の固有事情にマッチしたモノを出さなかったからだ。この固有市場を作り出したのはメーカーではない。キャリアだ。こういう仕様のものを!他のキャリアに負けないモノを!を要求してきたからガラパゴス的進化をなしてきたわけだ。
当然、この要求に対する開発資金はキャリアがメーカーに開発費だけじゃなく、まっとうな台数を買って支払う事によって賄われる、つまり或程度の数量を買い取る事で成立してきた。これを奨励金廃止で台数が減っても利益を得ているキャリアに対して、台数が減った分だけ利益も出ないメーカーが嫌な感じを持つのは当然だ。ちなみに部品メーカーは「数」がものを言うので、大量生産は有難い。
さらに一橋大学大学院法学研究科教授の松本恒雄氏は
「先進的なサービスを実現してきたというが、その結果、国内市場は閉ざされたものとなり、狭いパイとなって、頻繁な買い換えをさせてきたが、それを維持すべきなのか?」
これも携帯電話メーカーが仕向けたのではなく、キャリアが仕組んだ方向性。確かに異常な市場だ。だが、販売数量を大幅に引き下げて、半数以下となると、下記のシャープの長谷川氏の反論は興味深い。
「ノキアやサムスンといった企業は、国別の仕様ではなく、メーカーとして1つの仕様で各国に展開している。」
欧州(EU)人口4億8千9百50万人。日本の人口1億2千7百万76万人。欧州市場だけでおよそ4倍。さらに同じ仕様を米国市場にも展開している。これは携帯電話の通信規格が日本以外共通であることに帰依する。
「日本市場は、海外よりも先進的なサービスを提供してきたが、販売数減少は進化のスピードが落ちることに繋がる」
そうだろうね。先端サービスの実験場にもなっていた固有市場をグローバル化したら誰が先端サービスの実験に参加するんだ?そしてSIM lock解除に動くだろう。
そうなると、au向け、docomo向け、softbank向けという仕様は意味を成さなくなる。少なくともメーカーの機種数は1/3になる。そしてau専用のcasioでdocomoとか・・・。いいなぁ。
評価会議座長を務める東京大学名誉教授の齊藤忠夫氏のコメントも面白い
「今のはメーカーとして敗北宣言ではないのか。日本メーカーがいたずらに世界一を求めた結果、海外で展開できていないのではないか」
だから、日本メーカーが求めたのではなく日本のキャリアが求めた仕様が世界一なんだって。
結局、シャープは国内市場に見切りを付けて海外に打って出る。ただ、国内市場がボロボロで、それでいてキャリアだけがホクホクってのが恨みだよね。
誰が描いたシナリオか知らんが、結果的にキャリアがボロ儲け。
キャリア側の反論もある。
・販売が伸びずに開発費回収が困難。
・一定ロットで値段を決めて調達。
・905iで8,000円引き等試行錯誤している。
と軟着陸を狙っている事を述べているが、利益をメーカーに出せよ。
御用「調査」会社のレポートもおもしろい。
SIMロックを言及しているし。
斉藤教授の夢物語は「小さすぎる日本市場ではなくアフリカ市場を目指せ。」
すみません。足元の国内市場を固めずにジャンプするとこけます。
さらに「使えない高機能、過剰機能の搭載をやめろ」とか「消費行動で選択される端末を提供しろ」と述べる構成員も居られるようです。
前者は単機能端末ですか。らくらくホンですね。あんたはそれが欲しいんですね。メールもWebも使いこなせないからですね。
後者はSIMロックをはずすだけですね。そうするとキャリアが困りますが。
SIMロックを外すとキャリア間の競争になります。でもそれはイヤなんだろうね。
わがまま。