政治・経済に関する雑記

なるべく独自の視点で、簡潔・公平に書きたいと思っています。

混合診療の問題点

2007-11-28 13:10:19 | 税制・補助金
先日、混合診療を解禁すべきだと当然のことのように書いたが、その後インターネット上の意見を見ていると、意外に解禁に反対の意見が多いので驚いた。賛否半々くらいだろうか。混合診療の何が問題なのか、改めて考えてみた。

論点は、保険適用外の医療を行うことの安全性と、貧富による医療格差の2つにほぼ集約されるようだ。

たしかに安全性の問題はあるが、これは「どっちもどっち」だろう。保険機構が認可したからといって安全が保証されるわけではない。日進月歩の医療において政府や保険機構が現場の医師より常に優れた判断を行えるとは思えない。仮に保険機構が時間をかけて認可した医療のほうが安全性が高いとしても、そのような医療しか受けたくない人はそうすればよいのであって、まだ認可されていない医療でも受けたいという人の望みまで断たなくてよいのではないか。

もう1つは格差の問題だ。こちらのほうが圧倒的に多く議論されている。

素直に考えれば、混合診療を解禁するほうが誰にとってもありがたい。解禁によって保険適用の診療が減るわけではないのだから、医療の選択肢は広がりこそすれ、狭まることはない。それなのになぜ反対が多いのか。

混合診療を解禁すると、国民皆保険制度の崩壊につながるとの意見がある。だが保険で受けられる医療の質と量は、基本的に、保険の掛け金と医療の値段によって決まるものだろう。どうして混合診療を関連付けようとするのか。

混合診療が解禁されると、薬などの保険適用の認可が遅れるのではないかとの懸念がある。だが現在でも高額な医療の中には、有効とわかっていても保険が適用されないものがある。ない袖は振れないからだ。結局、保険の適用範囲を広げるには、保険料を上げるか診療報酬を下げるしかない。軽い病気でむやみに医者にかからないとか、薬漬け医療などの無駄を省くなど、いろいろな工夫も考えられるが、いずれにしても混合診療とは関係ない。医薬品の量産効果がどうのといった細かい話もあるが、為にする議論になっていないか。

そこまで考えるならむしろ、保険外診療が増えれば医療機関の経験と収入が増え、保険で受けられる医療の質に好影響を及ぼす可能性も考慮すべきだろう。また保険外診療によって新しい医療や薬の効果が明らかになれば、そうした医療が保険で認可される時期がむしろ早まるかもしれない。

自分が病気になったとき、「ここから先は保険外なので20万円かかります」などと言われたくない、という人がいる。気持ちはわかるが、しかし混合診療が禁止されていれば20万円ではなく50万円必要になるだろう。家を売らないと医療が受けられなくなるなどと恐れる意見もあるが、現在なら家を2軒売らないとその医療は受けられないのである。

病気になっているときにお金と医療をはかりにかけるのは苦痛だという人がいる。これもわかるが、自由の代償というものだ。選択肢が増えることを恐れるのか。何も考えない国民を国家に管理する社会ではなく、個々人が自ら考えて行動する自由な社会を我々は目指していたのではなかったか。

おかしな医療がはびこらないかとの懸念もある。怪しい健康食品がたくさん売られている現状からしてもっともな心配ではある。だがそれを理由に混合診療を禁止するのでは角を矯めて牛を殺すようなものだ。情報の公開と個々人の意識向上、それに極端なケースへの罰則によって対応すべき問題だろう。

医療関係者には混合診療解禁に対する反対意見が多い。医師会は断固反対している。何でそこまで反対なのかよくわからないのだが、業界団体が熱心に反対するときは大概利害が絡んでいるものだ。良心的な医者はたくさんいるが、良心的な業界団体というのは見たことがない。

混合医療の解禁が診療報酬の改訂方向に影響することは考えられる。保険料と診療報酬が変わらなければ、混合診療で保険外の医療費が増えると日本全体の医療費も増えることになる。それなら保険の診療報酬を少し下げても大丈夫でしょう、という話が出る可能性はある。だが当然これは混合医療禁止の理由にはならない。

(ちなみに現在、日本の医療費は他の先進国より安い。それはよいことに思えるが、しかしそのために医療従事者が減ってしまうようであれば考え直さねばならないと私は思う。GDPに対する医療費の比率を一定に保とうという意見があるが、無理がある。国民がお金を(つまり自分達の労働力を)何にかけたいかは、時代とともに変わる。今後、医療に対する要求は対GDP比で見ても増えていくのではないか。それを無理に固定化して、たとえば「物が豊かに溢れているが必要な医療は不足している」ような社会を作っても、誰も嬉しくはないだろう。現在は医師の数が不足してきているという話も聞く。)

保険外診療は各医療機関が自己の責任で行う面があるから、外部からの医療機関の評価につながるだろう。仕事する側はどうしても評価されることを嫌う傾向があるが(その気持ちはよくわかる)、もちろんこれも解禁反対の正当な理由にはならない。

混合診療の解禁を求める理由ははっきりしている。そうした医療を一日も早く望んでいる人達がいるという現実である。自分もいつそういう立場になるかわからない。それに対して反対論は抽象的であるか感情的だ。理屈の立たないところに無理やり理屈をつけているように見えることもある。現実に病に苦しんでいる人々の希望を、第三者の思弁や感情、そして利権によって排除しはならない。

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18 コメント

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Unknown (soejima41)
2013-12-26 01:36:46
そろそろ終わりにしましょう。
貴方の言う「その分、助かる」「患者」には貧乏人が含まれていない (患者本位の混合診療を考える会(仮))
2012-11-05 19:08:03
>「病気になった人から保険を取り上げることで保険財政を潤すという酷な話」と書いたのはこのことです。

「病気になった人から保険を取り上げる」ことを「患者がその分、助かる」と推奨しているのは他ならぬ貴方です。

金の成る木でもない限り混合診療がプラスマイナスゼロ以上の効果を産むはずがありません。
お金を右から左に動かしただけでプラスになるわけがないのです。
計算上でそのようなことが起きるなら、それは何処かでトリックを使っているからです。
トリックではなくて本当に金の成る木があるなら、貴方の主張は根底から覆ります。
何故なら、混合診療を解禁せずとも、その金の成る木を活用しさえすれば、「同じ保険掛け金で賄える医療の量」が改善できるのですから。

「同じ保険掛け金で賄える医療の量」で保険対象範囲が決まる前提では、混合診療による保険財政の負担増の分だけ何処かで保険対象範囲を狭める必要が生じます。
それを避けるためには「保険掛け金」を引き上げなければならないはずです。
これを否定することこそが「そんなことはない、お金が減っても工夫すれば買う野菜の種類は減らさずに済む」と言うのと同じです。

「病気になった人から保険を取り上げる」か「保険掛け金」のどちらかを強要されるのであれば、それは患者にとって明らかなデメリットです。
そして、本当に貧乏人な人にとっては、混合診療を受診することは不可能なので、混合診療のメリットはゼロです。
つまり、本当に貧乏人な人にとって、混合診療はデメリットしかないのです。
混合診療の本質とは、貧乏人の負担を増やして、お金のある人の負担を減らすことに他なりません。
これが貴方の言う「患者がその分、助かる」という状況ですか。
貴方の言う「患者」には貧乏人は含まれないのですか。
まだトリックを続けるのですか? (患者本位の混合診療を考える会(仮))
2012-11-04 04:15:07
言い訳して吸収すべき知識を読まないのは一種の逃げだと思います。
最低限の知識を得てから物を言いましょう。

>「保険掛け金の額によって賄える医療の量が決まる」というのは別に難しい話ではありません。
>スーパーに行って買える野菜の量は所持金で決まる」というのと同じです。
>それを「そんなことはない、お金が減っても工夫すれば買う野菜の種類は減らさずに済む」などと言っても論点が外れています。

当方が言っていることと真逆の主張を捏造しないでください。
当方は、「ABの費用を保険財政が払わねばならなくなる」の分「所持金」が減るのであれば、
当然、それによって「買う野菜の種類」(保険対象のAB)が減ると指摘しているのです。
貴方の主張にはその点がスッポリ抜け落ちていると指摘しているのです。

混合診療によって新たな支出が増えるにも関わらず、
「買う野菜の種類」(保険対象のAB)を「減らさずに済む」と主張しているのは、他ならぬ、貴方です。
それこそが「保険掛け金の額によって賄える医療の量が決まる」を無視した暴論です。

ようするに、貴方の言っていることはダブルスタンダードなのです。
保険財政の限界を理由に「保険の範囲は、どこかで止めねばなりません」と言いながら、
混合診療による保険財政の支出増は無視しているから、矛盾したことが平気で言えるのです。

>それで何が悪いのでしょう。

貴方の主張が矛盾しているからです。
「所持金」が一定であれば「買える野菜の量」も一定であるならば、次の二つは両立できません。
・保険適用範囲の維持
・混合診療による保険財政の負担増
よって、「保険掛け金を変えなければ、混合診療の解禁によって保険診療が縮小するとは考えられません」は矛盾しています。

>あえてそうする必要はないだろうと私は思っています。

現実を無視したらいくらでも「あえてそうする必要はない」と言えるでしょう。
「所持金」から賄わなければならない新たな支出が増える事実を無視しているから、
「保険適用範囲が広がって、患者がその分、助かる」なんて非現実的なことが言えるのです。
抱き合わせ販売 (soejima41)
2012-02-25 14:18:21
「まずは自分の書いたものを読んでから言ってくれ」というのは、著名人でもときどうきそうした発言をする人がいますが、一種の逃げだと思います。意見は簡潔に伝えましょう。

「保険掛け金の額によって賄える医療の量が決まる」というのは別に難しい話ではありません。スーパーに行って買える野菜の量は所持金で決まる」というのと同じです。それを「そんなことはない、お金が減っても工夫すれば買う野菜の種類は減らさずに済む」などと言っても論点が外れています。

貴方のABCの例ですが、保険対象のABと保険対象外のCがあり、ABC全部を受けたい患者がいるとき、混合診療禁止ならこの患者は全額自己負担なので保険財政は楽だが、混合診療を解禁するとABの費用を保険財政が払わねばならなくなる、ということをおっしゃっているようですね。それで何が悪いのでしょう。保険適用範囲が広がって、患者がその分、助かるのだからよいではないですか。

この患者からABの保険適用を取り上げれば、たしかに保険財政はその分助かりますが、それが望ましいことなのか。「病気になった人から保険を取り上げることで保険財政を潤すという酷な話」と書いたのはこのことです。

これは保険適用範囲をどうするかの話ですから、基本的に善悪から中立でしょう。しかし、Cを受けたいというとABの保険適用まで取り消されるというのは、何か抱き合わせ販売のような作為性、もしくは懲罰的な差別を思わせ、多くの人が不合理な冷たい仕打ちと感じるでしょう。今はそういう仕組みになっているわけですが、あえてそうする必要はないだろうと私は思っています。
計算トリックの謎解き (患者本位の混合診療を考える会(仮))
2012-02-06 20:26:26
もっと分かりやすく補足すると、混合診療解禁論は自己の推奨する側に見えない金の成る木をコッソリと挿入する典型的なトリック論法です。
「同じ保険掛け金で賄える医療の量」が変わらないならば、全体の損得は混合診療解禁で変わらないはずです。
しかし、先のABCの例を用いて説明すると、保険適用範囲が変わらない前提では、次のようなおかしな結果になります。

(1)AかBを必ず選択する人の治療機会は減らないし、経済的負担も増えない
(2)混合診療が解禁されたときだけA+CかB+Cを選択する人の治療機会は増える
(3)A+CかB+Cを必ず選択する人の治療機会は減らないし、経済的負担は減る

何と、「同じ保険掛け金で賄える医療の量」が変わらないのに、何故か、全体の損得=(1)+(2)+(3)が増えています。
しかし、現実には、そんな甘い話はありません。
つまり、どこかにトリックがあるのです。
増えないはずのものを増やす見えない金の成る木がどこかにコッソリと挿入されているわけです。
トリックが挿入されている場所は、保険適用範囲が変わらないという前提です。
「同じ保険掛け金で賄える医療の量」が変わらないなら、保険適用範囲が同じでは財政がパンクします。
つまり、「同じ保険掛け金で賄える医療の量」が変わらないならば、必然的に、保険適用範囲が狭くなります。
保険適用範囲が狭くなれば、AかBを必ず選択する人の治療機会が減り、結果として、全体の損得は増えません。

国民がどんな選択をしようとも、無い袖は触れないし、金の成る木もありません。
「同じ保険掛け金で賄える医療の量」が変わらない以上、得をする人がいる分だけ損をする人もいます。
治療を受けられるようになった人がいる分だけ、治療が受けられなくなる人もいます。
混合診療は治療機会に関しては、治療を受けられる人が変わるだけであって、全体の損得を増やしません。

また、混合診療では、インチキ療法の効果や有害事象の診察・検査に用いられる無駄な経費も保険から賄われます。
全体の損得からインチキ療法関係の無駄を除けば、全体では損になる計算です。
----------------------------------------------------------------------------------------------------
実際に「同じ保険掛け金で賄える医療の量」が何度も増やされていることは説明済みです。
その方法が妥当かどうかは別として、過去にそうやって何度も財政改革が行なわれています。
再びその方法を取るにしろ、別の方法を取るにしろ、混合診療解禁は財政改革の足を引っ張るだけです。
金の成る木がないのに混合診療を解禁しろと言うのは夢物語を語っているに過ぎません。
ABCの例について補足 (患者本位の混合診療を考える会(仮))
2012-02-05 02:29:47
「同じ保険掛け金で賄える医療の量」で保険対象範囲が決まる前提での説明の続きです。
Bが保険から外されると次のようになります。

・Aが必要な患者→解禁による変化なし
・Bが必要な患者→自己負担が増える
・A+Cが必要な患者→Aの分の自己負担額が減る
・B+Cが必要な患者→解禁による変化なし

混合診療を受ける余地がない貧乏人にとっては、A+Cの恩恵は受けられません。
また、そこまで貧乏な人はBが全額自己負担になると治療を受けることができなくなります。
つまり、Bが必要な貧乏人は混合診療で治療機会を喪失します。
Bが保険から外されるとB+Cは全額自己負担なので、B+Cが必要な患者には解禁のメリットがありません。
A+Cが必要な患者は、その経済力により事情が変わります。
全額自己負担でもかろうじて治療を受けられる人は経済的な恩恵を受けるだけで生命には関係ありません。
混合診療でも治療を受けられない人には何のメリットもありません。
混合診療でかろうじて治療を受けられる人だけが生命上の恩恵を受けます。

以上のとおり、国民全体で見れば解禁によるメリットはありません。
よく見てもトントン、生命まで考慮するとマイナスにしかなりません。
「同じ保険掛け金で賄える医療の量」が変わらないのに国民全体の利益が増えるわけなどないのです。
既にある説明を全く見ようとしないから堂々巡りになる (患者本位の混合診療を考える会(仮))
2012-02-05 02:08:54
予想した通り、というか、予言した通りの回答でした。
だから、想像で物を言う前にせめてリンク先に書いてあることくらいは勉強してから物を言ってくださいと言っているのです。
http://kongoshinryo.jpn.org/static/collapse_universal.html
http://kongoshinryo.jpn.org/static/shunsuke_ono.html
貴方の主張の根本的な間違いは以下の2点です。
・現実の実態では「同じ保険掛け金で賄える医療の量」は保険対象の医療範囲に殆ど影響していない
・「同じ保険掛け金で賄える医療の量」が保険対象の医療範囲に影響するなら混合診療で「保険診療が縮小」する
細かい間違いとしては次のような物もあります。
・混合診療禁止論は保険掛金抑制論ではない(両者は別の問題)
・混合診療で医療支出が増えるから、混合診療は「負担と福祉の水準」の両方を悪化させる
・「保険診療が縮小」は単なる経済的負担の問題ではなく患者の生死に関わる問題である
混合診療を解禁しても国民の経済的負担の合計はプラスマイナスゼロであるのに対して国民の生存機会は確実に減ります。

>普通に考えて、同じ保険掛け金で賄える医療の量は、混合診療があろうとなかろうと、同じではないでしょうか(治療費や薬価が変わらないなら)。

つまり、「今の保険掛け金ではこれ以上のことができない」は想像の産物だったのですね。
医薬品がどのように承認されているかも調べずに、必要な治療法が保険適用されていない理由も調べずに、
「同じ保険掛け金で賄える医療の量」が保険対象の医療範囲を決めていると想像して、
「今の保険掛け金ではこれ以上のことができない」と仰ってたわけですね。

現実には、保険対象の医療範囲が先に決まっていて、それに合わせて医療財政改革が行なわれています。
そうした医療財政改革はこれまで何度も行なわれてきましたし、掛金変更以外の手段も何度も使われています。
現実には、「同じ保険掛け金で賄える医療の量」は保険対象の医療範囲を決めていないのです。
だからこそ、医療保険財政の問題を議論する必要があるのです。
「同じ保険掛け金で賄える医療の量」に合わせて保険対象の医療範囲を決めているなら、医療保険財政を議論する必要はありません。

ちなみに「治療費や薬価は一定」で「保険診療が縮小」しないなら混合診療解禁で確実に保険支出は増えます。
「同じ保険掛け金で賄える医療の量」で保険対象範囲が決まるなら、医療財政の悪化により「保険診療が縮小」が避けられなくなります。
これも簡単に証明できることですし、既に説明してあります。
改めて説明します。
保険対象の治療法ABと保険対象外の治療法Cを考えます。
混合診療を解禁するとAの支出もBの支出も増えます。
つまり、保険給付する「医療の量」が増えるので「同じ保険掛け金」では財政がパンクします。
財政改善のためには、保険収入が変わらないなら、「医療の量」を減らす必要があります。
この場合、AかBのいずれかを保険から外せば「医療の量」を減らせます。
結果、本来ならばCの保険適用を目指すべきところ、実際にはBが保険から外されます。
以上のとおり、「同じ保険掛け金で賄える医療の量」で保険対象範囲が決まるとする論理では、混合診療により「保険診療が縮小」します。

>繰り返すと、保険掛け金を下げなければ保険診療は縮小しないのです。

想像で物言う前に実態を調べてから物を言ってください。
せめて以下の簡単な数式での証明くらいには目を通してください。
http://kongoshinryo.jpn.org/static/collapse_universal.html

>>また、混合診療を解禁すれば、現在は全額自己負担である混合診療分の保険給付も増えます。
>しかしこれでは、病気になった人から保険を取り上げることで保険財政を潤すという酷な話になってしまいます。

文章を省略し過ぎで何を言いたいのか理解するのが困難です。

 混合診療解禁で保険給付も増える
          ↓
 「保険財政を潤す」ためには混合診療を禁止しなければならない
          ↓
 混合診療を禁止すれば「病気になった人から保険を取り上げる」

と言いたいのだろうと解釈して説明を続けます。
貴方の論理では「保険財政を潤す」と保険給付が充実するのだから「病気になった人から保険を取り上げる」ことにはなりません。
貴方の論理では保険財政が厳しくなる方が「保険診療が縮小」して「病気になった人から保険を取り上げる」ことになります。

>しかし本質的に、負担と福祉の水準は、最後は国民が政治的に決めることです。

混合診療の解禁の是非の話は「負担と福祉の水準」の話ではありません。
何度も言うように、混合診療問題は、給付を増やすために負担を増やすか、負担を減らすために給付を減らすかの二者択一ではありません。

>混合診療があると保険掛け金を上げる勇気が出なくなりそうだから、いっそのこと混合診療を禁止してしまえ、と言っているように聞こえます。

「保険掛け金を上げる勇気」だとか一体何を仰りたいのか意味不明です。
保険財政改善の必要があり、かつ、その手段として妥当であるなら、保険掛け金を上げれば良いだけです。
混合診療を解禁すべきかどうかと保険掛け金を上げるべきかどうかは全く別の問題です。
混合診療の解禁すると余計に保険財政が厳しくなるのだから、保険財政を理由にするのならば混合診療を解禁すべきではありません。
これは「勇気」の問題でもありません。

>コンビニの夜間営業があると夜更かしになるから夜間営業を禁止しろ、という意見などもよく聞きますし、心情はわかりますが。

保険診療は国の医療福祉の問題であり、「夜更かし」は自己責任の問題なので、両者は全然関係のない話です。
国民の生命を守るために混合診療を禁止する必要がありますが、「コンビニの夜間営業」は国民の生命には影響しません。
繰り返しになってきましたが (soejima41)
2012-02-03 00:30:07
普通に考えて、同じ保険掛け金で賄える医療の量は、混合診療があろうとなかろうと、同じではないでしょうか(治療費や薬価が変わらないなら)。

貴方も医師会も、混合診療を解禁すると保険診療が縮小するのではないかと懸念しています。しかしどう考えても、保険診療の守備範囲が縮小するということは、すなわち保険掛け金が下がったということになると思います(もしくは治療費や薬価が上がったということですが、これは今の論点から外れるので、治療費や薬価は一定とします)。

繰り返すと、保険掛け金を下げなければ保険診療は縮小しないのです。実際には、高齢化が進むので、労働者1人当たりの保険掛け金を上げていかないと、高齢者1人あたりの保険診療の水準を維持できないでしょうけれど、この話はちょっと論点から外れます。要するに、保険診療の範囲は保険掛け金の額で決まるということです。

ではどれくらいの掛け金、どれくらいの保険診療を国民は求めるのか、つまりよく言われるように、高負担高福祉か低負担低福祉か、という問題になります。これにはいろいろな意見があり、単一の正解はありません。

医師会の主張のおかしさは、この負担と福祉の水準選択の話に混合診療解禁の話を関連付け、混合診療を解禁したら保険医療が崩壊するなどと脅していることです(保険掛け金を減らさなければ崩壊しません)。農産物を輸入したら日本の食料自給率は地に落ちると脅す農林省と似ています(耕作放棄しなければ自給率は下がりません)。そうした自己の利益に目がくらんだ組織の議論(と私には思えます)に乗せられてしまう人が多いことが残念です。

> また、混合診療を解禁すれば、現在は全額自己負担である混合診療分の保険給付も増えます。

しかしこれでは、病気になった人から保険を取り上げることで保険財政を潤すという酷な話になってしまいます。

> 医療予算削減圧力の強化や保険診療充実圧力の弱体化の問題も無視しているようです。

たしかに前回も書いたように、混合診療が解禁されると保険掛け金の上昇圧力が減る可能性がないとは私も断言できません。しかし本質的に、負担と福祉の水準は、最後は国民が政治的に決めることです。混合診療があると保険掛け金を上げる勇気が出なくなりそうだから、いっそのこと混合診療を禁止してしまえ、と言っているように聞こえます。コンビニの夜間営業があると夜更かしになるから夜間営業を禁止しろ、という意見などもよく聞きますし、心情はわかりますが。
補足 (患者本位の混合診療を考える会(仮))
2012-01-21 23:41:27
ここでの最も重要な指摘は「今の保険掛け金ではこれ以上のことができない」とする根拠です。
そこに具体的根拠が無く想像を用いているから頓珍漢な発言になるのでしょう。

>所得格差の是正については、相続税やベーシックインカムなど、他にもっとストレートで副作用の少ない方法があると思います。

国民皆保険の低所得者優遇措置は「単に所得再配分」とは違います。
「単に所得再配分」であるなら国民皆保険を潰して別の所得再配分方法に置き換えれば済みます。
置き換えができないのは、給付額が所得だけで決まるわけではないからです。
所得よりも診療金額の方がウェイトとして大きく、貧乏人でも給付0円の人もいれば、金持ちでも高額な給付を受ける人もいます。
だから、「他にもっとストレートで副作用の少ない方法」などありません。
いずれにしても混合診療問題とは関係のないことです。
現世は空想ではないので (患者本位の混合診療を考える会(仮))
2012-01-21 19:16:15
保険財政改善と患者の利益が両立するなんて主張こそ現実離れした「理想郷」でしょう。

>「保険の掛け金は金持ちに払わせればよいから貧乏人には保険は制度だ」というだけなら、単に所得再配分の話になってしまいます。

国民皆保険と所得再配分の関係をどうすべきかなど誰も論じていません。
保険に所得再配分機能を持たせるべきではないと仰りたいなら、好きなだけご自由にどうぞ。
しかし、それは混合診療問題とは無関係です。

>現在の強制医療保険では、十分な医療は提供されていません。
>今の保険掛け金ではこれ以上のことができないからです。

「今の保険掛け金ではこれ以上のことができない」ことを理由に承認を拒否された治療法や医薬品があるのならそれを示してください。
持論に都合の良い空想に基づいて物を言っても、それは貴方にとっての「理想郷」にしかなりません。

>記事にも書きましたが、保険掛け金を変えなければ、混合診療の解禁によって保険診療が縮小するとは考えられません
>逆に言えば、混合診療があるおかげで掛け金の高額化を抑えられる可能性があるということにもなります。

薬価等を引き上げなければ混合診療の解禁によって保険診療が縮小することは簡単な数式で容易に証明できることです。
また、混合診療を解禁すれば、現在は全額自己負担である混合診療分の保険給付も増えます。
リンク先に書いてあることくらいは勉強してから物を言ってください。
http://kongoshinryo.jpn.org/static/collapse_universal.html
http://kongoshinryo.jpn.org/static/shunsuke_ono.html
医療予算削減圧力の強化や保険診療充実圧力の弱体化の問題も無視しているようです。

>一般論としては、自由を与えるなら同時にルールを厳正にして、罰則を強化する必要があると思います。

罰則があっても違反者が後を絶たない現状をどう考えるのですか。
薬事法違反は死刑にしろとでも仰るのでしょうか。
罰則を強化すれば解決するなんて甘い考えこそ「理想郷」でしょう。
現世は理想郷ではないので (soejima41)
2012-01-13 10:38:47
コメントをありがとうございます。

「保険の掛け金は金持ちに払わせればよいから貧乏人には保険は制度だ」というだけなら、単に所得再配分の話になってしまいます。本来、健康保険というものは、所得の再配分を目指すものではなく、病気になったときの相互扶助を主眼としているはずです。(所得格差の是正については、相続税やベーシックインカムなど、他にもっとストレートで副作用の少ない方法があると思います。)

現在の強制医療保険では、十分な医療は提供されていません。今の保険掛け金ではこれ以上のことができないからです。もっと掛け金を高くしてもよいから医療を充実させてほしい、という人もいるでしょうし、それは理解できます。ただし、本当に「十分な」医療を提供するレベルを求めたら、いくらお金があっても足りません。今の保険では提供できない高額医療はたくさんあるそうですし、介護にしても人手はいくらでも多いに越したことはありません。

しかし現実には無理なことです。さらに高度な医療技術が開発されていきますから、可能な医療をすべて提供するのは、イタチゴッコのようなもので、おそらく永遠に無理でしょう。だから、本当に十分な医療を強制保険で提供しようと再現なく目指せば、労働者の所得をすべて保険掛け金で徴収しても足りません。これが「遺産を残すことなど許されなくなる」と書いた意味です。保険の範囲は、どこかで止めねばなりません。「全員が十分な医療を受けられる保険制度」という話は、一種のレトリックもしくは幻想にすぎないと私は思っています。

記事にも書きましたが、保険掛け金を変えなければ、混合診療の解禁によって保険診療が縮小するとは考えられません。おっしゃるとおり、混合診療があると将来の保険掛け金アップが抑制される方向に動く可能性は考えられますが、逆に言えば、混合診療があるおかげで掛け金の高額化を抑えられる可能性があるということにもなります。もっともいずれにしても、掛け金の額は混合診療の有無にかかわらず政策的に(すなわち国民の意思で)決定できることですから、掛け金額のレベルと混合診療の有無は、本質的には無関係だと思います。今後、保険財政は厳しくなり続けます。世間には「保険内医療は充実しているほうがよい」という論調が多いですが、それは「保険掛け金をより高くしたい」ということと表裏一体ですから、結局、どこかの水準で折り合いをつけていくしかないでしょう。

> 薬事法も消費者契約法も特定商取引法も全て廃止すれば良いと仰るのでしょうか?

いえ、そうは思いません。一般論としては、自由を与えるなら同時にルールを厳正にして、罰則を強化する必要があると思います。
想像と現実の差 (患者本位の混合診療を考える会(仮))
2012-01-11 02:03:50
想像で頓珍漢なことを仰る前に現実の問題を勉強すべきかと思います。
http://kongoshinryo.jpn.org/static/reimbursement.html
http://kongoshinryo.jpn.org/static/collapse_universal.html
http://kongoshinryo.jpn.org/static/healthcare_resources.html
http://kongoshinryo.jpn.org/static/shunsuke_ono.html

>本当に十分な医療を保険内で受けられる世の中では、上のようなケースで家族や後世に遺産を残すことは許されません。
>高額な保険料負担という形で医療費に使うしかないからです。

それはどのような根拠に基づいて言っていますか?
高所得者ほど保険料負担が多く、かつ、保険給付の少ない制度を充実して、
どうして貧乏人が家族や後世に遺産を残すことが許されなくなるのですか。
また、神奈川県保険医協会は保険充実による医療費への影響度は0.01%もないとしていますが。
http://www.hoken-i.co.jp/outline/h/cat225/post_77.html

>混合診療が認められれば、こうしたケースで選択肢がある程度は増えます。

それはどのような根拠に基づいて言っていますか?
保険診療範囲が広がらなければ貧乏人には全く意味がありません。
保険診療が縮小すれば、ある程度お金のある人も治療困難となります。
混合診療で短期的には一部の人が恩恵を受けるでしょう。
しかし、長期的には保険診療を全く必要としない人を除く全ての人の治療機会が減ります。
それでどうして「選択肢がある程度は増えます」と言えるのでしょうか。

>インチキ商法も増えるでしょう。
>しかし、だからといって国家にすべて決めてもらうほうがよいのか、ということだと思います。

薬事法も消費者契約法も特定商取引法も全て廃止すれば良いと仰るのでしょうか?
治療とお金 (soejima41)
2012-01-03 15:47:26
コメントでいただいたWebページに、なけなしの貯金を数ヶ月の治療に充てて亡くなった方の話がありますが、これが問題の本質を示しているように思います。命の重さはお金で計れないとよく言いますが、現実に自分が死ぬとき、いくら治療費を使ってでも(すなわち後世にいくら苦労をかけてでも)延命させてほしいと言い切れるでしょうか。

話を単純化すると、本当に十分な医療を保険内で受けられる世の中では、上のようなケースで家族や後世に遺産を残すことは許されません。高額な保険料負担という形で医療費に使うしかないからです。だからといって保険を充実させなければ、もっとお金を使ってでも延命治療してほしい人の望みが絶たれます。混合診療が認められれば、こうしたケースで選択肢がある程度は増えます。(あるいは、一部の保険内医療の自己負担率を上げることでも同種の効果があると思います。)

選択肢が増えると、頭を悩ましたり後悔したり、人と比較して妬んだりすることが多くなり、インチキ商法も増えるでしょう。しかし、だからといって国家にすべて決めてもらうほうがよいのか、ということだと思います。何事も程度の問題ではありますが。
混合診療の問題点 (患者本位の混合診療を考える会(仮))
2011-12-11 00:08:25
お医者様が分かりやすく解説してくださってます。
ttp://d.hatena.ne.jp/NATROM/20111202
Unknown (患者本位の混合診療を考える会(仮))
2011-12-10 23:43:49
nnnhhhkkkさんって以前に言い訳して議論から逃げた方ですよね?
http://kongoshinryo.jpn.org/static/999.html
反論もせずに暴言を並べるだけの行為こそ喧嘩を売っているのでしょう。
Unknown (nnnhhhkkk)
2011-12-05 00:50:08
>2011-11-13 03:36:11

おまえはあちこちに喧嘩売っているのか。
禁止派は全然論理的に説明していないのにしていると思い込んでいるのだから滑稽だ。
もう恥をあちこちに晒す前に喧嘩売るのやめたら?
Unknown (患者本位の混合診療を考える会(仮))
2011-11-13 03:36:11
多数の禁止派が論理的に問題点を指摘しているが、解禁派がこれに明確に反論したことはありません。
未承認医薬品が生じる実情を何も知らず、禁止派の意見に真摯に耳を傾けない者が、フィクションで荒唐無稽な解禁論「国民皆保険は崩壊しない」を唱えています。
http://kongoshinryo.jpn.org/static/05_5.html
直すつもりのない保険診療 (混合診療賛成)
2010-11-09 20:51:08
以前に健康保険の説明会に参加したとき、担当の行政官が曰く「健康保険では、病気を治すつもりはない」と断言していました。そんな健康保険にみんな入らされて、混合診療という選択肢を与えないのはどんなものでしょうか?自分も、病気になったら、自分にあう治療を受けたいので、混合診療には賛成です。もともと直す気のない保険制度の診療なんて、受けたくないですよね。

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