江戸時代、芭蕉の奥の細道、昭和初期、山頭(さんとう)火(か)の日記に悩まされた記述が出てきますし、僕も戦後、頭から白い殺虫剤をかけられた経験があります。
両者の共通点は、名前の最後に「ミ」ついています。虫を意味しますが、小さな実・ミの形からでしょうか。それから血を吸われ、痒くなります。ノミ目は18科2000種、シラミ目は25科6000種でシラミの勝。ノミのノは、野、飲む(血をノむ)、禾(ノギ)という説があります。代表選手は、ヒトノミ、ネコノミ、イヌノミなど。クマネズミ、ドブネズミにつくケオプスネズミノミがペストを媒介します。
方やシラミは、色が白いことから。シラミの代表は、アタマジラミ、ケジラミ、トコジラミ(南京虫)など。コロモジラミが発疹(はっしん)チフスを媒介します。植物さんに寄生するのはカメムシ目キジラミ科、コナジラミ科。シラミの六本の肢から千手観音(せんじゅかんのん)とか観音さまの有難い別名があります。漢字は蚤(のみ)、虱(しらみ)で掻きたくなります。なお、風の虫は、古代中国の天上にいる竜のことです。昆虫のゲンゴロウは、中国では龍虱(ロンスー)と言います。
植物さんも虱潰しに調べましたら、ナデシコ科のノミノツヅリとノミノフスマ。セリ科のヤブジラミ、オヤブジラミ、藪に生え果実の形がシラミに似ていて、しかも刺毛が服につきます。血を吸わないのが平和的です。