風の吹くまま
山のかなたの空遠く 「幸(さいわい)」住むと人のいう、カール・ブッセさん
幸があるという山のかなたに旅して幸をもとめたが、幸はなかつた
けっきょく、自分の身近な足もとに幸せがあったのだと、後で気がつくかもね
でも自分の足元にも幸せがないかもしれません
今よりよくなろうと思っても
今よりわるくなることもある
それなら今を大切にしたほうがいい
なにかをしようと思ってもなにをしてい . . . 本文を読む
心のままに
目をつぶり胸に手を当てよう
じっと心の声に耳をすまし向き合う
自分の気持ちは何か
心にひっかかることは何だろうか
ひっかかることがあるなら、それはやめよう
自分の気持ちを大切にしよう
でも心を過信するといけない
手ごわい敵かもしれない
心の声が自分をだます
そしてだまされる自分
ゆがんだ意識
心が翻弄(ほんろう)し弄(もてあそ)ぶ
自分で自分の心がわからない
甘くはない
自分 . . . 本文を読む
妖精のあなた
花びらのさざ波を
そっとすくって
あなたの髪をぬらそう
春の湖面に夢まどろみの泡が散る
白樺のささやきを
そっとすくって
あなたの唇をぬらそう
軽やかに薫る若葉の踊り
若草の流れる輝きを
そっとすくって
あなたのみ手をぬらそう
渦巻く太陽の誇り . . . 本文を読む
鳥
青い 青い 空
高く 高く
鳥が飛ぶ
どうして
あのように
自由で
のびやかなのだろう
何一つ持ってはいない
余分なおしゃべりはしない
余分に食べはしない
自分の力で
好きなところに行くことができる
太陽と大地が作り出した
自然の芸術だ
私も
たった一つでもよい
身につけた物を
脱ぎ去ってみたい . . . 本文を読む
足音
若者と散歩
コツコツ 賑やかだ
アスファルト コンクリート
靴 サンダル
物と物とがぶつかり音がする
お年寄りと散歩
一歩一歩心を配る歩みは
静かだ
音は 心が立てるんだなぁ . . . 本文を読む
蒸かし芋
蒸かしたて
ホヤホヤ ホカホカ
湯気たちのぼる
見るもの 聞くもの 触るもの
どれもこれも新しく
面白く 不思議です
ニュートンも
蒸かし芋の心で
リンゴを見たんだなぁ . . . 本文を読む
机と椅子の会話
「お前いいなぁ 若い娘のお尻をさわられて」
机が椅子に言う
「そんなことはないよ 汚いオジサンのお尻にも我慢しなければならないし
それより、お前の方が 綺麗な娘の顔をジックリ 拝見できてうらやましいよ」
椅子が机に言う
「そんなことはないさ 汚いオジサンから唾をかけられたり、この前なんかよだれを
浴びてしまったよ」
. . . 本文を読む
顔
悲しい時 悲しい顔になる
悲しい顔をすれば悲しくなる
悲しい顔のふりをすれば悲しく見える
嬉しい時 嬉しい顔になる
嬉しい顔をすれば嬉しくなる
嬉しい顔のふりをすれば嬉しく見える
怒った時 怒った顔になる
怒った顔をすれば怒りがわく
悲しい顔のふりをすれば怒って見える
自信のある時 自信に満ちた顔になる
自信のある顔をすれば自信がわく
自信のある顔のふりをすれば自信があるよう . . . 本文を読む
ヒバリ
透明でまぶしい空を
羽根打ち震わせ
ケシ粒になったり
大豆になって
ひたむきに歌う
地上からの熱気が
上昇気流となり
身体を上へ上へと押し上げ
大地はかなたに去り
柔らかい緑になる
未来永劫の
自然のはからいに
身体から
ほとばしる
命の讃歌 . . . 本文を読む