今まで
スギや鎮守の森を観察してきましたが
太古の石器時代や
氷河期など
日本列島が寒い時から
暖かい現在に至る
植生遷移のイメージが
今一つ判然としませんでした。
しかし
昨日
ぼくは
豁然として大悟しました。
すなわち
寒いときは
コケやシダ植物や
スギの大木が生えた森ではなかったでしょうか。
その後
気温の上昇に伴い
海面が上昇して
入善、魚津、神通川に至る広範な
スギを中心とした埋没林が形成されました(実際にはいろんな樹木が埋没していた)。
そして
南方系の落葉広葉樹が
北上し
富山県も
落葉広葉樹が専横を振るい
さらに気温が上昇して
暖流の影響もあり
海岸から
常緑広葉樹が
富山県に侵入してきました。
その後
スギ原生林は
毛勝山や立山、片貝川上流(洞杉)などの山手に追いやられ
奇跡的に
海岸に杉沢の沢スギが残りました(よって国の天然記念物指定)。
すなわち
明治神宮の4段階遷移の100年が
何万年単位で
起きたのではないでしょうか。
実際
洞杉は岩の上に乗っていましたが
すぐ下には
トチノキ、ミズナラ、サワグルミ、ハウチワカエデ、ヤナギ、ノリウツギ、エゾアジサイ、マユミなどの落葉広葉樹が迫ってきていました。
一見
剛直なるスギですが
ほっそりした落葉広葉樹の攻撃から
必死に逃れ
断末魔の形相をしていたとも
言えます。
立山美女平も
スギは
ブナより形勢は不利ではないでしょうか。
ただ
温暖化ではなく
寒冷化すれば
状況は一変するはずです。
そこに
現在の自然植生を調査する意味があります。
何れにしましても
植生と遷移は
興味深い研究テーマであります。
高橋研究員(植物生態学)