27.6 反復した二つの語根の後に「しい」を使った例
「うやうや(恭)しい)」や「そうぞう(騒々)しい)」のように、続けて使った二つのことばのあとに「しい」という形容詞形を導く接尾語を付け加えた例を以下に示す。「そうぞうしい」のように、反復した語根が連濁するものも含めた。「楽しい」や「うれしい」などと似た表現であるが、続けて使った二つのことばを一つ省くと、上に示した例の場合は「うやしい」や「そうしい」となり、正しい言葉使いにならない。ここに示したもののなかには、「けばけばしい」、「とげとげしい」および「たどたどしい」のように「けばけば」、「とげとげ」および「たどたど」という擬態語に「しい」を付け加えてつくられたと考えられるものもある。なお、接尾語の「しい」を「さ」に変えると名詞形に、「しく」に変えると「副詞形」となる(例:「かるがる(軽々)しい」→「かるがる(軽々)しさ」、「かるがる(軽々)しく」)。
27.6.1 続けて使った二つのことばが一字である例
続けて使った二つのことばが一字である例として収録できたのは以下に示す4つにすぎない。
(1) おおしい(雄々しい) 「~ライオンの姿」
(2) めめしい(女々しい) 「男のくせに~ぞ」
(3) ゆゆしい(由々しい) 「~問題」
(4) りりしい(凛々しい) 「~若者」
27.6.2 続けて使った二つのことばが二字である例
(1) あらあらしい(荒々しい) 「~気性」
(2) いたいたしい(痛々しい) 「ほうたい姿が~」
(3) いまいましい 「失敗した自分が~」
(4) ういういしい(初々しい) 「~に新妻」
(5) おもおもしい(重々しい) 「~態度」
(6) かいがいしい 「~働き」
(7) かるがるしい(軽々しい) 「~ふるまいはやめるべきだ」
(8) けばけばしい 「~服装」
(9) こうごうしい(神々しい) 「~雰囲気」
(10) しらじらしい(白々しい) 「~うそ」
(11) ずうずうしい(図々しい) 「居候を決め込むなんて、~にもほどがある」「厚かましい、ふてぶてしい」の意。
(12) すがすがしい(清々しい) 「朝の~空気」
(13) そうぞうしい(騒々しい) 「~教室内」
(14) そらぞらしい(空々しい) 「~うそをつくな」
(15) たけだけしい(猛々しい) 「ぬすっと~」
(16) たどたどしい 「~足付き」
(17) とげとげしい 「~言い方」
(18) なまなましい(生々しい) 「~被害状況」
(19) なれなれしい(馴れ馴れしい) 「~態度」
(20) にがにがしい(苦々しい) 「~思い出」
(21) にくにくしい(憎々しい) 「~態度」
(22) はなばなしい(華々しい) 「~活躍ぶり」
(23) ばかばかしい(馬鹿馬鹿しい) 「~大騒ぎ」
(24) ふくぶくしい(福々しい) 「福助の~顔」
(25) まめまめしい 「~仕事ぶり」
(26) みずみずしい(瑞々しい) 「~果実」
(27) ものものしい(物々しい) 「~警戒」
(38) よそよそしい 「よそよそしい態度」
(29) よわよわしい(弱々しい) 「やせて~」
(30) わかわかしい(若々しい) 「彼はたいそう~」
27.6.3 続けて使った二つのことばが三字である例
続けて使った二つのことばが三字である例として収録できたのは以下に示す2つにすぎない。
(1) おどろおどろしい 「~芝居」
(2) ぎょうぎょうしい(仰々しい) 「~いでたちで現れる」
「よく似た英語と日本語の慣用句集」(文芸館 : http://www.books.co.jp)ものぞいて見てください。