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なぜスライムピアスをつけると「さびしがりや」になるのか?

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GARNET CROW『Terminus』 - アルバムレビュー vol.108

2016年06月25日 22時20分35秒 | GARNET CROW
108

2013年3月リリース

1.Nostalgia
2.trade
3.Maizy
4.白い空
5.Life goes on!
6.P.S GIRL
7.海をゆく獅子
8.鏡にみた夢
9.The Someone's Tale
10.closer

赤字はお気に入り曲
太字はシングル曲


【概要】

つい先日の6月9日ガーネットクロウが解散して3年経った。
もうそんなに経つのかと思い、個人的に超名盤である1stアルバム
『first soundscope』を車内で聴いていたが、ラストアルバムもちゃんと
聴いてみよう、となり引っ張り出して聴いてみた。

ビーイングの中では珍しく(?)安定した人気とセールスを維持し12年もの
活動をやり終えた彼らの最終駅(=Terminus)をレビューしてみた。


【全曲レビュー】

1.Nostalgia
シンセがバリバリ流れるイントロからの中村さんの力強い歌声で始まる
1曲目。34作目でありラストシングルである。イントロとアウトロ以外では
シンセがそこまで主張せず、ロックバンド色が強めでかっこいいと思う。
シンセのおかげかプログレっぽいというのは言い過ぎか。

2.trade
なんかふと初期の曲に近い神秘的な雰囲気漂うポップソング。しかし中
村さんの声質が初期から比べるとわずかに変わったからか楽曲にずしっ
と重みが加わった気がする。

3.Maizy
しっとり聴かせてくれるロックバラード。七さん(AZUKI 七)と古井さんの
ピアノとキーボードの旋律がすばらしい。岡本さんの短いながらもギター
ソロもよい仕事をしている。シングルにしても良かっただろうに。

4.白い空
続いてアコースティックな雰囲気なバラード。ピアノが主張しているが、
適度なアップテンポさで心地よい聴きごたえがあって好きな1曲だ。
タイトル通り、冬っぽさをイメージできる淡々さも妙だ。

5.Life goes on!
ひときわ明るいロックチューン。前曲とはうってかわり春っぽさ全開だ。
ガーネットクロウもクリエイター集団とか言われているがしっかりと
ロックバンドしているな、と思わせる。

6.P.S GIRL
ラテンなノリが印象的なポップソング。非常に王道なメロディーラインで
サビなんかはちょっとニンマリさせられる。
間奏の情熱的なギターソロ
はこの曲を影で支えている。80年代~90年代を彷彿とさせられる。

7.海をゆく獅子
彼らお得意の影のあるアダルティな1曲。中村さんのアルトの声質は
こういう曲でさらに魅力が増す。メロはピアノとボーカルが特に耳に
残る。「海をゆく獅子」という意味ありげなタイトルも曲雰囲気に合う。

8.鏡にみた夢
尺八のような和楽器も使用されているオリエンタルなバラード。
サビのメロディも派手さはないが、安心して聴くことができる、彼らの
強みである不変さが実感できる。

9.The Someone's Tale
アルバム中では若干印象が薄い曲。眠りを誘われる。メロディの
美しさは相変わらずではあるが。演奏楽器がかなりシンプルな
分、中村さんの歌声がよく響く。

10.closer
ガーネットクロウの最後の曲。アルバム発売時点ではまだこの曲が
最後の曲とはつゆ知らない僕は、「あ~これでアルバムラスト曲か~」
と思ってたが、解散を知るとまた特別な1曲になった。七さんの歌詞も
それを感じさせる部分もある。よい締めだろう。


【アルバムの感想】

『Terminus』はオリコン9位と好成績を挙げた。彼らは結局1位を取る
ことは適わなかったが(シングルもアルバムも最高4位)ビーイング
アーティストとしては長く売れた方だろう。使い捨てが多かった2000年代
のビーイングでは奇跡に近い。それだけ彼らの楽曲は優れていたという
ことだろう。


クリエイター集団、スタジオミュージシャン集団のような表現で彼らは
言われるが(海外だとTOTOエイジアなどがよい例)ライブも多くはない
がこなし、ファンを増やして人気を高めた。

このラストアルバムもいつものガーネットクロウ節をたっぷり堪能できる
秀作だろう。突出して目立つ曲がないが(シングル「Nostalgia」が多少
派手かな、というくらい)平均してクオリティは高く、安心して聴くことが
できる。不変なグループだったといえる。

ビーイングからまたこういうバンド、グループが出てきて欲しいと切に願う。 

GARNET CROW 『first soundscope』 - アルバムレビューvol.24

2013年03月31日 10時36分55秒 | GARNET CROW


1. 水のない晴れた海へ2. 君の家に着くまでずっと走ってゆく3. 夏の幻
4. 二人のロケット5. 巡り来る春に6. HAPPY DAYS?
7. Mysterious Eyes8. Rhythm9. Holding you, and swinging
10. flying / 11. 千以上の言葉を並べても... / 12. wonder land
13. 夏の幻 (secret arrange ver.)



ガーネットクロウが解散する、というニュースを昨日見た。13年間ですべてを出し切った
という事らしい。非常に残念だ、これほどの良質の作品を出してきたグループは滅多にいない。
中村由利の曲と、AZUKI七の詞この二つは鉄壁のコンビだった。ガーネットクロウの世界観は非常に魅力的であった。


そんな彼らの1stアルバム『first soundscope ~水のない晴れた海へ~』を紹介したい。


ガーネットクロウは国内のメジャーバンドでは珍しい、いわば「職人集団」のようなバンド、
みなそれぞれガーネットクロウでデビューする以前は同じビーイングのZARDやDEENなど
の楽曲制作に携わっていたスタジオミュージシャンなのだ。パッと思い浮かべると、アメリカ
でいうTOTO(トト)みたいなイメージだ。


倉木麻衣の全米デビューの時に、メンバー4人が楽曲制作に関わり、そこで意気投合した
というのがきっかけらしい。その倉木麻衣はGIZAから移籍し、主に彼らだけだが、その彼ら
も解散とは、今後はGIZAはどうなるのか?


1はアルバムタイトルトラックでもあり、アルバム全体を象徴する1曲。アコギとピアノからの
 物静かなイントロから、中村由利の(いい意味での)冷たい雰囲気のボーカルで、引き込ま
 れてしまう不思議な魅力がある。アルバム中で一番好きだ。


2のこれもアコギの優しいイントロから、中村のボーカルが入るが、1とは逆に温かみを
 感じる。「お腹が空いたら電話してピザ食べよう」というAZUKI七の歌詞がなんか
 ほのぼのしていて良い。


3は5thシングルとして「名探偵コナン」のEDテーマに使用された。7も先にOPテーマに使用
 されており彼らの名前が広まった時期だろう。


4は個人的には1の次に好きな曲。彼らのシングルでは一番順位は下(最高47位)なのだけ
 ど・・・サビメロが秀逸で中村のまだ初々しい声とが相まって良質のポップスになっている。
 切ない雰囲気がなんともいえない。


5、少し暗い雰囲気を持つ曲だが、アルトの音程を持つ中村の低い声が印象に残る。こういう
 雰囲気を出せるのも彼らの強さの一つだろう。 バックのアコギの音が気持ちよい。


6も5に近いが、サビ近づくにつれて徐々に盛り上げていくのは上手いな、と思う。タイトルに
 ?が付くのがミソなのだろう。アルバムの中では一番コーラスが多用されている。


7、おそらく知名度的には彼らの曲でもトップクラスであろう1曲。「コナン」の視聴率もまだ高い
 頃でOP曲で流れていたから、僕もこの曲でガーネットクロウを知った。名曲。


8、僕はどちらかというとあっけらかんとパーッと明るい曲より、少し影がある切なく明るい曲
 が好みなので、この曲は好き。しかしこのアルバム全体で飛びぬけて明るい曲はない。
 「さまようかげろう」という歌詞が個人的に耳に残る。


9はサビでの中村のファルセットが堪能できる。後の曲でも時折、彼女のファルセットを聴く
 事ができるが、個人的にはこれがベストだ。


10のシンセピアノイントロが特徴的なナンバー。6thシングルとして最高20位を記録した。


11、ミディアムテンポで展開する90年代風な雰囲気を出す曲。シンセの使い方がそう思わ
 せるのだろうか。ひたすら優しいのが良い。


12、実質ラストの曲。中村のボーカルは特徴的で、日本語歌詞だが英語っぽく聴こえさせる
 事が多いがこの曲なんか特にそう。ラブサイケデリコのKUMIとは違う(彼女はネイティブな
 英語を使うが)英語歌唱を使う。


13、3のリアレンジ。「コナン」のEDだったせいか、アルバムのEDに配置されても違和感が
 ない(笑)むしろ2回聴けてお得な感じがした。
 


このレビュー書くために、再度聴き直してみたが、非常にアコースティックなアルバムである
事に気が付いた。あまりエレキギターをフィーチャーしておらず、アナログな雰囲気を全体
を覆っていた。しかし硬くなく、耳なじみがよいポップスを聴かせてくれる。


1stアルバムにてこれぞ最高傑作だと思う2000年代の邦楽の名盤の一つになった!


影のある楽曲を作れるのがガーネットクロウの素晴らしいところ、だと僕は勝手に解釈して
気に入っている。そんな彼らが解散するのは残念でならないが、2000年代以降の音楽界
ではなくてはならないバンドだったのは間違いないだろう。


あと、やはり「コナン」をはじめとしたアニメのタイアップが多数を占めるために、「アニソン
歌手」とか先入観を持ってしまう人も多く、ガーネットクロウを聴かず嫌いでいるのはもっ
たいない。GIZAの戦略だろうから仕方ないが、1曲でいいからドラマのタイアップでヒット
を出せたら、世間の目は変わっていたんじゃないか、と思う。


先日、リリースされたばかりの10thアルバム『Terminus』(9位を記録した)はまだ聴い
ていないが、彼らのスタンスは最後まで崩すことなく、貫いたのは素晴らしい。
今後のメンバーの活躍を期待したいところです。



個人的5段階評価 ★★★★★(S評価)


今回から評価を5段階評価にしました。(10段階にすると分かりにくいから)



ではYouTubeから「水のない晴れた海へ」のライヴバージョンをお送りします。