
赤字はお気に入り曲
太字はシングル曲
【概要】
つい先日の6月9日、ガーネットクロウが解散して3年経った。
もうそんなに経つのかと思い、個人的に超名盤である1stアルバム
『first soundscope』を車内で聴いていたが、ラストアルバムもちゃんと
聴いてみよう、となり引っ張り出して聴いてみた。
ビーイングの中では珍しく(?)安定した人気とセールスを維持し12年もの
活動をやり終えた彼らの最終駅(=Terminus)をレビューしてみた。
【全曲レビュー】
シンセがバリバリ流れるイントロからの中村さんの力強い歌声で始まる
1曲目。34作目でありラストシングルである。イントロとアウトロ以外では
シンセがそこまで主張せず、ロックバンド色が強めでかっこいいと思う。
シンセのおかげかプログレっぽいというのは言い過ぎか。
なんかふと初期の曲に近い神秘的な雰囲気漂うポップソング。しかし中
村さんの声質が初期から比べるとわずかに変わったからか楽曲にずしっ
と重みが加わった気がする。
しっとり聴かせてくれるロックバラード。七さん(AZUKI 七)と古井さんの
ピアノとキーボードの旋律がすばらしい。岡本さんの短いながらもギター
ソロもよい仕事をしている。シングルにしても良かっただろうに。
4.白い空
続いてアコースティックな雰囲気なバラード。ピアノが主張しているが、
適度なアップテンポさで心地よい聴きごたえがあって好きな1曲だ。
タイトル通り、冬っぽさをイメージできる淡々さも妙だ。
ひときわ明るいロックチューン。前曲とはうってかわり春っぽさ全開だ。
ガーネットクロウもクリエイター集団とか言われているがしっかりと
ロックバンドしているな、と思わせる。
6.P.S GIRL
ラテンなノリが印象的なポップソング。非常に王道なメロディーラインで
サビなんかはちょっとニンマリさせられる。間奏の情熱的なギターソロ
はこの曲を影で支えている。80年代~90年代を彷彿とさせられる。
彼らお得意の影のあるアダルティな1曲。中村さんのアルトの声質は
こういう曲でさらに魅力が増す。メロはピアノとボーカルが特に耳に
残る。「海をゆく獅子」という意味ありげなタイトルも曲雰囲気に合う。
尺八のような和楽器も使用されているオリエンタルなバラード。
サビのメロディも派手さはないが、安心して聴くことができる、彼らの
強みである不変さが実感できる。
アルバム中では若干印象が薄い曲。眠りを誘われる。メロディの
美しさは相変わらずではあるが。演奏楽器がかなりシンプルな
分、中村さんの歌声がよく響く。
ガーネットクロウの最後の曲。アルバム発売時点ではまだこの曲が
最後の曲とはつゆ知らない僕は、「あ~これでアルバムラスト曲か~」
と思ってたが、解散を知るとまた特別な1曲になった。七さんの歌詞も
それを感じさせる部分もある。よい締めだろう。
【アルバムの感想】
『Terminus』はオリコン9位と好成績を挙げた。彼らは結局1位を取る
ことは適わなかったが(シングルもアルバムも最高4位)ビーイング
アーティストとしては長く売れた方だろう。使い捨てが多かった2000年代
のビーイングでは奇跡に近い。それだけ彼らの楽曲は優れていたという
ことだろう。
クリエイター集団、スタジオミュージシャン集団のような表現で彼らは
言われるが(海外だとTOTOやエイジアなどがよい例)ライブも多くはない
がこなし、ファンを増やして人気を高めた。
このラストアルバムもいつものガーネットクロウ節をたっぷり堪能できる
秀作だろう。突出して目立つ曲がないが(シングル「Nostalgia」が多少
派手かな、というくらい)平均してクオリティは高く、安心して聴くことが
できる。不変なグループだったといえる。
ビーイングからまたこういうバンド、グループが出てきて欲しいと切に願う。