月読命

すももが好きなアニメで貴腐人的な妄想話&日々の出来事等

特等席 2

2008年06月12日 20時22分16秒 | チビ15 SS

 ■月◇日 雨

夜一さん達に言われた通り、一護さんを観察する事にした。



一番隊隊長の山本さんには膝に座らされて何か話しをして貰ってるようだが、
話しの内容が難しいのか一護さんの眉間に皺を寄せ聞いている。


七番隊隊長のピクピクと動く耳に興味津々の一護さんは、対面に座って動く
耳をキラキラとした瞳で見つめ、そぉ~と手を伸ばし触ろうとするが、狛村さ
んに見られ一旦は手を元に戻し、そしてまた触ろうと手を伸ばす行為を何度も
繰り返していた。


八番隊隊長の京楽さんに膝の上に座らされても一護さんは、伊勢さんに話し
掛けられると、素早く下りて伊勢さんの方に行ってしまう。


十番隊副隊長の松本さんに捕まると、一護さんは抵抗をする。膝の上で
対面に座らされ、胸にギュッと抱きしめらるのが苦手らしく、ジタバタ
と抵抗している。


ひなたでは、夜一さんの膝に抱っこされ、ウトウトと舟を漕ぐ一護さん。


十三番隊副隊長の志波さんには、膝に抱かれるよりも肩車して貰う方が
多く、楽しそうに笑っている。


十三番隊隊長の浮竹さんだといつも大人しく、膝に座って絵本やおもちゃ等
で遊んで貰っていたり、胸に凭れ掛かって眠ったりもしていた。


「はぁぁ~、何なんっスかねぇ」
偵察用に作った機械で一護さんを数日観察していたが、サッパリと分からない。
何故一護さんは私だけ……





一護さんを片膝に座らせ、縁側でのんびりとしていた。
「今日は良いお天気っスねぇ。流魂街の方までお散歩にでも行きましょうか、
 一護さん」
「きしゅけ、おちごとは?」
「今日はお休みっスから、一日中一護さんと一緒っス」
「ほんと?」
「はい」
私が休みと分かり、ニッコリと嬉しそうに一護さんは笑う。
そして『おしゃんぽ・おしゃんぽ』と言い、片膝の上ではしゃぐのだった。

「じゃ、行きましょうかね」
私の襟元をギュッと掴む一護さんを片腕で抱き上げる。
「…?…」
「どぉちたにょ、きしゅけ?」
「いや、…何でもありませんよ」
一護さんを抱き上げた時、何か感じたのだけれども、それが何なのかが分か
らない。分かるまで考えてしまうと、一護さんが楽しみにしているお散歩が
行けなくなりそうなので、今は考えるのを止める事にした。
「さぁ、行きましょうか、一護さん」





 ■月×日 曇り時々雨

「一護さん、下りて貰ってもいいですか?ちょっとお茶を入れ直して来ま
 すんで」
「いちごも!!」
私と一緒に行くと言うので、片膝に座っていた一護さんを抱き上げようとし
たら、襟元をギュッと掴まれた。
「…………」
「きしゅけ?」
一護さんを抱き上げ、動作が止まった私に一護さんが首を傾げて私の顔を覗き
込む。
「別に何でもありませんよ。さぁ、行きますよン」
微笑んだ私に一護さんは安心したのか、微笑みを返してくれた。
一護さんが私にだけ片膝にしか座らないのは、もしかしたら……





 ■月〇日 晴れ

一護さんを伴い、浮竹さんの雨乾堂へ来ていた。
いつものように一護さんは私の片膝に座り、私と浮竹さんの話しをつまらなそ
うな表情もせずに静かに聞いていた。

「もうこんな時間っスか。長話してすみませんねぇ」
「いや俺は構わないが、一護君は退屈だったよな」
一護さんの頭を撫でながら、微笑む。
「じゃあ、私達はこれにて失礼します」
一護さんを抱き上げ、立ち上がるろうとすると、一護さんは私の襟元を握り
締める。
そんな一護さんを見て浮竹さんは更に微笑み、私に視線を合わせた。
その微笑みに私も微笑み返し、そして頷く。
「さぁ帰りましょうか、一護さん。今夜は何のおかずですかねぇ」





何故一護さんが私にだけは片膝に座る理由、それは…『私が一護さんを
抱き上げる時、直ぐに私の襟元をギュッと握れれるから』
そして何よりも私が抱き上げやすいようにとの一護さんの優しい心使い。

私の片膝は、一護さんにとっては特等席。



                              おわり

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