day by day

癒さぬ傷口が 栄光への入口

【COMPLEX】日本一心[2024/5/15-16]

2024-05-23 | Flash Back~music

少し予感のようなものはあったかもしれない。

2024年3月5日。
新聞に一面広告が掲載された。
私は今は新聞を購読していないので、最初はファンクラブのメルマガか何かで知ったのだったと思う。
自分でも不思議なほど、驚きはなかった。

日本一心、ふたたび。

2011年7月30日・31日に一瞬目覚めたあの双頭の怪物。
それはまた再び眠りについていたのだけれど。
今年の元日に起こった能登半島地震であの怪物がまた目覚めた。
あの東日本大震災以降、震度6を超える大地震も幾度かあったのだが、今回は場所的な困難さからなかなか救援の手が届かず、復興が長引いている状況がある。もののタイミングということはあるのだろう。COMPLEXは再び被災地支援のために東京ドームでのライブを発表した。
私は運よく吉川FCで2日分当選したのだが、FCでも落選した人は意外といたらしい。さすが”COMPLEX”は違うな…。

確か、昨年のG&Dの時に40周年にはあっと驚くようなこともする、みたいなことを言っていたのだが、当然、この事ではない。40周年の吉川晃司のスケジュールに突然入り込んだライブだ。
前回同様、このライブの収益はすべて能登半島地震被災地へ、当人たちが自ら慎重に検証した寄付先へ届けると宣言している。もちろん、関わった人間が全員ボランティアなわけではないだろうが、吉川の口ぶりではおそらく関係先はけっこうな便宜を図ってくれたのではないだろうか。

とはいえ、私のような一介の吉川ファンは、チケット代を支払ってグッズを買うことでこの支援の末端を担えるというだけで、あとはただただ彼らのステージを楽しめばきっとそれでいい。吉川も布袋もきっとそれを望んでいる。


今回は私はひとり(いわゆる”ぼっち”)で東京ドームへ向かった。
たかだか20日足らず前、THE YELLOW MONKEYのライブで赴いた東京ドーム。
まだあの時の余韻が自分の中にもそこここに残っている。





夜行バスで早朝に東京駅に到着したが、もたもたしていては通勤ラッシュにひっかかるだろうと思ってとにもかくにも東京ドームへ移動してから朝食を摂った。それからのんびり正面(22ゲート)あたりに向かい、9時ごろから並ぼうと思っていたグッズ列の場所を確認しにいくと、すでに長蛇の列。この時点でまだ8時過ぎだがこれはいかんと思い列についた。
そのあと約束していた同志と合流したのだが、販売開始まで3時間並んだものの11時過ぎにはなんとか目的のグッズを手に入れて早めの昼食。



しかしドームに戻ってみるとグッズ列は我々が並んでいたよりもずっと長く伸びていて、これは開演時間に捌ききれるのだろうか…?という状況になっていた。私もクレジットカードが反応しないというトラブルがあったのだが、どうもレジのあちこちで同様の障害があり、おまけにPayPayの障害もあったらしくてそれもあって列の進みが悪かったのだろう。いつものグッズ売り場の場所なら少しはましだったのだろうか。
思った以上にカンカン照りで暑かったが、日陰に入ると比較的風が涼しくて過ごしやすかったので、開場までの時間はさほど苦になることもなく潰すことが出来たのは幸いだった。長く伸びたグッズ列の途中からは、Tシャツなどが次々と売切れて行って並んだのに目的のものが手に入らなかった人も少なくなかったかもしれない…。

1日目の席は1階スタンド。しかしTHE YELLOW MONKEYの時とは違い、比較的ステージには近い場所ではあった。視界はステージに対してかなり斜めではあったけれど。
ただ、音響はもうひとつだったような気がする。
2日目はアリーナBブロックに入れた。といってもブロックの後ろの方なので、最前列から数えたら30列前後くらいの位置かなと思う。
音響のせいなのか、実際に声の調子がいまいちだったのかはわからないが、2日目に比べて1日目は吉川の声があまり届いてこない印象だった。
目の手術をしたためにシンバルキック封印か?という件がフィーチャーされがちの最近の吉川だが、コロナ明け以降ずっと悩まされてきたはずの例の”痰みたいな喉に絡まる分泌物”が現在どういう状態なのかがこちらには全くわからない。
自分のツアーなら多少言い訳じみていてもそういう話はするのだが、もしそれにいまだ悩まされていても”COMPLEX”のステージでそんな言い訳は絶対しないだろうな、と思う。

ステージ脇の巨大なヴィジョンには、COMPLEXのハート&ピースのマークが回転している。回転するごとにハートに描かれた模様が変わっていくのを席についてぼんやり眺めていた。
私が行くライブは概ね、『開演前・終演後にかかわらず撮影は禁止』とアナウンスされるので開演前といえどもステージや場内の写真を撮ることはしないのだが、今回のアナウンスは『開演中は撮影禁止』とされていたのでちょっとだけ。



13年前の記憶にはそれなりのバイアスがかかっているのではないかとは思うが、前回に比べてまだ比較的客席は落ち着いていたように思う。前回は開演1時間前くらいには場内がそわそわし始めていた。無理もない。あの時は「21年ぶり」だったのだから。
それでも開演時間が近づいてくると徐々に興奮状態が上がっていったように思う。
開演時間かその直前に、場内注意喚起の最終アナウンスが流れた。
COMPLEXを待つ5万人(1日当たり)、多くを占めるのは40~60代だと見える。
2011年に初めてCOMPLEXに出会った人も、1989-1990からCOMPLEXを見続けている人も、自分がCOMPLEXに出会った頃の気持ちに戻っていただろう。
客電が落ちた瞬間、そこは”あの日の少年少女”の歓声に溢れた。



★終わった公演だしすでにライブレポートなどは多く発表されているのですが念のためネタバレ警報打っておきます。
WOWOWでの放送、未発表だけど今後発売されるであろう円盤を自分で見るまではネタバレを絶ちたい!みたいな層がここ見に来ることはないと思うのだけど、以下セトリと演出等にかかわることに触れていきます。
★撮影はもちろん録音もしておりません。また、ライブ中は基本的に頭がぶっ飛んでいるので記憶が定かでない箇所も少なくありません。プロのライターさんのように見どころを正確に書き残すことを主眼にしているわけではない、自分の記憶のよすがとして書き残すことが目的のエントリです。自分の記憶とは違う、もっとああいうことがあったのに、といったご指摘はケースに応じて対応できますが、基本的には「自分のとは違うなぁ」とため息のひとつでもついて速やかに閉じて下さい。








よろしいか?セトリとか、書きますよ。
※両日セトリは同じ。
※MCなども最低限だったので、2日分まとめて書いていきます。



COMPLEX 日本一心@東京ドーム 5/15-16
※両日セトリ同じ

1.BE MY BABY
2.PRETTY DOLL
3.CRASH COMPLEXION
4.NO MORE LIES
5.路地裏のVENUS

6.LOVE SHARADE
7.2人のAnother Twilight
8.MODERN VISION
9.そんな君はほしくない

10.BLUE
11.Can's Stop Silence
12.CLY FOR LOVE
13.DRAGON CRIME

14.HALF MOON
15.ROMANTICA(2024)

16.PROPAGANDA
17.IMAGINE HEROS
18.GOOD SAVAGE
19.恋をとめないで
20.MAJESTIC BABY

=アンコール1=

21.1990
22.RAMBLING MAN

=アンコール2=
23.CLOCKWORK RUNNERS
24.AFTER THE RAIN(朱いChina)



サポートメンバー
Bass:井上富雄
Keyboads:奥野真哉
Drums:湊雅史
percussion:スティーヴ衛藤
prog.:岸利至

■セットリスト
セットリストは19901108、20110730-31とほぼ同じ。
(布袋ギターソロ”HALF MOON”とアンコール”CLOCKWORK RUNNERS”が追加)
2011年には21年ぶり再始動のエモみを意識しての同セトリなのかと思ったのだが、今回のこれを見ていて”エモ”の演出というよりももはや「これしかない」「これ以上ない」という最終形態セトリだったからこうするしかなかったのかもしれないと思う。
何故なら、COMPLEXは2枚のアルバムしか出していないから。1989-1990にリリースした楽曲のうち、今回のライブで採用されなかった曲は「THE WALL」と「Just Another Day(シングル1990のC/W)」だけ。
ここまで来たら全曲やればいいのにと思わなくはないのだけどまあ公演時間の兼ね合いもあるしな。逆に削るとしたらこの2曲しかなかっただろう。
もしかしたら同じ曲ラインナップの中で曲順を入れ替える試みはあったのかもしれないけど多分、ライブの起承転結という点でこの曲順を超えて場を盛り上げる解はなかったのだろう。
このセトリは、エモーションを超えて、最強であり最終形態の”最適解”だったのだ。いわば、1990年に彼らはすでにこの”最適解”に辿り着いてしまっていたのだ。
急遽の開催で新たにセトリを組みなおしたりステージプランを立てるような余裕もなかっただろうしな。

■オープニング
客電が落ちてドームを揺るがすような歓声と拍手が巻き起こり、ヴィションに文字が浮かび上がってくる。
「20240515・16」
「日本一心」
「COMPLEX」
デジタルのドット文字のように次第に鮮明になっていく文字に歓声が上がる。
そして「ワルキューレの騎行」。モノクロのCOMPLEX。
1989-90と2011の彼らが蘇る。
セトリを同じにするなら、新しいことで驚かせることより「ヨッ!待ってました!!これこれ~~!」というのを観客側も待ち望んでいるだろうからとオープニングの演出も前回を踏襲するような形をという逆算だったのかもしれない。
余談だが、一旦曲が終わったようなタイミングがあり、観客はここ!!とばかりに大歓声を上げたのに、そこからまた曲が始まってモノクロビデオが続いた時に一瞬流れた「おいまだやんのか、早く出てこいよ」みたいな空気ちょっと面白かった。

■距離短め
そして皆待ってた「BE MY BABY」始まり。
ステージ脇巨大ヴィジョン、上手側に吉川のK2マーク、下手側に布袋のGマークが映し出され、ビートに合わせて鼓動を刻む。イントロが始まるとそれが双方中央に向けて動き始める。
2011年はステージ脇花道の両端からそれぞれ現れてステージ中央に向かい、そこで語り継がれる伝説の握手の場面へ繋がった。今回も花道の端のライトがこれ見よがしに光っている。
光らせておいてこれはもしかして意外な場所から出てくるやつでは…?と思った瞬間、二人ともものすごく普通に上手側・下手側のステージサイドから登場した(笑)。
中央で向き合った二人は13年前と同じように握手したかと思うと今回はさらにそのまま腕を曲げて握り直す。
より”バディ”感が増した気がする。
両脇から中央に向かっていたそれぞれのマークは中央で出会って重なり、重なり合ってCOMPLEXのハート&ピースのマークに変わっていた。

■日本一心
吉川「COMPLEX日本一心へようこそ!大自然の前では俺たちなんてちっぽけな人間だけどこうして集って、力を束ねれば、奇跡だって起こせると信じています」「ともに能登へエールを!」
布袋「能登半島をはじめとする被災地復興支援に賛同してくれた約5万人の同志たちが全国から集まってくれました。日本一心、心も体もひとつになって、一心同体となって、被災地にエールを送りましょう」
今回は布袋もMC多めだった気がする。

■リラックス、笑顔
1990は私は現地ではなく映像作品がリリースされてから見たりライブアルバムを聴いたりしていたので現場の空気はちゃんとはわかっていないのだが、この時は活動休止前の最後のライブで、吉川の東京ドームでやってみたいというワガママがなければ実現しなかったかもしれないもの。
アルバムも顔を合わせることなく作り、ライブでも殆ど目を合わせることもない、近づいただけで感電するのかというほど”2人組なのに全く寄り添わないライブ”だった。多分互いの関係の中で一番仲が悪かった時期だろうから仕方ないだろう。
21年を経て再始動した2011年。互いに大人になり、”大人の友人関係”くらいの距離には戻ったであろう布袋と吉川だったが、東日本大震災からわずか4ヶ月半ほどしか経っていない7月末。再始動の理由である「日本一心」は多分吉川晃司に重すぎる使命感を課してしまっていた。あの「伝説の握手」の時も、ずっと楽しそうにステップを踏みながら笑顔を浮かべていた布袋と対照的に、ずっと表情を引き締めて固い表情だった吉川。まるで『自分自身がライブを楽しむこと』に罪悪感でも持っているかのように。
それから13年。
2024年の吉川は、最初の登場場面こそ2011年の自分をあえて倣っているかのような若干の緊張を含んだ硬い表情だったがそれはすぐにほぐれた。笑顔が多い。布袋ともよく絡む。自分の単独ライブの時ほどではないけれど、思えばこんなにリラックスして楽しそうな”COMPLEX”は初めて見たかもしれない。
私が初めてCOMPLEXを生で見たのは1989年の大阪城ホールで、ほぼこの二人組についての情報を入れていない状態で見たためか2人の空気感を察することは出来ずにいたのだが、仲違いをする前だったとしてもまだ二十代前半でアイドルからロックの世界に飛び込んできて舐められまいとつっぱってクールに振る舞っていたとしても不思議ではないなと思う。
5万人を巻き込んで、自分たちが楽しいと思えるライブをする。
もしかしたら──若き日の吉川晃司が布袋寅泰と「一緒に面白いことやろうぜ」と考えた時にやりたかった" COMPLEXのライブ"に、36年かけてようやく辿り着いたのかもしれない。

■封印?解禁?シンバルキック
外傷性白内障の手術によって、埋め込んだ人工水晶体を安定的に使っていくために身体に大きな衝撃を与えるような運動はしないようにというドクターストップがかかったという吉川晃司。
私個人としては、目のことが無かったとしても還暦あたりを区切りにしてもうシンバルキックはやめてもいいんじゃないだろうかと思っていた。髪色のケアをする時間があったら身体のメンテナンス(ストレッチなど…)を優先させたいとか嘯いてどんどんほぼ白髪に近づいているくせに、シンバルキックを継続するために別技を編み出したり落下しても大きなダメージを受けないやりかたを研究するような時間はあるんですかね!!!
案の定、一部側転しながらのキックを試しつつも旋風脚を何度か失敗していてヒヤヒヤさせられた。心配しているファンからそういう声が多く届いたのか、またこんなところでいつもの天邪鬼が顔をだしたようだ。お前らに心配されなくてもちゃんと安全な技を会得してるから余計な心配すんな!と。
でもまあ、心配くらいさせて下さいよ。みんな、ずっと永くあなたのステージを見ていたいんですよ。
※なお本人曰く、当日は股関節を捻挫したり膝を傷めたりしていたらしくモバイルK2のブログに練習で楽々と蹴っている様子の動画をUPしてまで心配無用!とアピールしていた。いやむしろその怪我をどこでやらかしたのよw

■ラブシャのハート
「LOVE SHARADE」の時に指でハートを作るのは”Guys and Dolls”の時に大黒摩季に強要され(笑)て始めたのだがここでも布袋がノリノリで結局吉川もやる羽目に…。
アウトロの「Love is always…」のとこのコーラス、公演の数日前に布袋氏がXで正式な歌詞を書いていて、36年の時を超えてここにやっと本来の(公式の)歌詞が判明した。みんな適当に歌っていたやつがやっと正しく歌える。

Love is always in the air but never when you want it there
Love is always in the air but when it's true it's forever


「勝手に仕上がれ」(SUPER EIGHT)の「ニーニニ」が長すぎて「ニーハラ」と呼ばれてるけど、こいつもたいがい長い。もっと言うなら「ドンストッマイラー」もまあまあ長い。

■MODERN VISION
吉川ソロで聴きすぎて、急に始まったからえっこれこんなイントロだっけ?とキョドった…。

■ミディアムコーナー
BLUEからCRY FOR LOVEのとこは本当に集中して聴きたい(曲も大好きなので)ところなのだが、何故連れ立って来ている人たちは静かな曲になるとお喋りしたくなるのだろう。逆やろ。聴かせろや。いや、聴けや。
1日目は私の隣の男性二人連れ(もしかしたらぼっち+ぼっちで仲良くなっただけの人たち)の片一方はカラオケマン(一緒に歌う声が大きすぎて吉川の声より聴こえる)、もう一方が喋り声が無駄に大きい。BLUEの時に一席おいた私の耳にがんがん喋り声が入ってくるのでつい「もうちょっと声落としてもらえませんかね??」とバリバリ関西弁(低音)で”お願い”したら黙ってくれました。ちなみに隣のカラオケマンは最初の3曲くらいで疲れてきたのか声が小さくなってきてサビしか歌わなくなったのでそのままやりすごせる状態になったのでよし。
二日目は私が声をかけられる範囲には大声はいなかったけど、どこからともなくザワザワしてた。大人のくせに静かな曲の間のほんの数分黙っとくこと出来んのかよ。

場所による聴こえ方の違いか本当に声の調子が違ったのかは確かめようがないのだが、2日目のこのコーナーは本当によく声が伸びていて聴きごたえあったな。これの間に無駄話できる感覚がわからん。(トイレは生理現象なので仕方ないけど)

■うねうね
「DRAGON CRIME」は中央のメインヴィジョンのイメージ映像が、蛇(ドラゴンだけど)の胴体がうねっているようなコンセプトになっていて禍々しさが良い。
ソロの時もそんなに歌わない曲だが、前回聴いた時にも思ったこと。特にAメロの歌い方に変な癖があってこの曲のもつ不気味さ禍々しさが減退している気がしている。単なる邪推だけど、1番Aメロは若い頃の自分で書いた歌詞とはいえ現在の自分にはあまり感心しない歌詞だと思っていて、あまり朗々と歌い上げたくないのかもなと。
この曲に入るホーンっぽい部分はシンセサイザーで鳴らされているのだが、「PROPAGANDA」と並んで一度でいいから本物のホーン隊による演奏で聴いてみたい曲。吉川、SAXがメンバーに入っていたことはあるけど、以前やっていた年末のsessionシリーズみたいにいろんなミュージシャンとやる機会にSAXだけじゃなくトランペットとかトロンボーンとかのホーン隊も入れてやってみて欲しいな。

■ROMANTIC2024
前回はなかった布袋ギターソロ曲(インストゥルメンタル)「HALF MOON」。吉川休憩時間(笑)だけど、ここにいる客の半分以上は布袋ファンなわけなので考えてみたら前回これがなかったのはある意味申し訳ない感じ。
そこからの、SEで入る”ROMANTIC…”の声。
アルバム「ROMANTIC1990」の入りに流れたのは”ROMANTIC 1990”という声だったけれど。
ここで流れたのは”ROMANTIC 2024”だった。
続いて流れる曲はオリジナルから大きくアレンジを変えた、いわば”2024バージョンの”「ROMANTICA」(インストゥルメンタル)。
35年前を思い出して若い日の回顧に浸るためのライブではない、2024年今この時の音を届けているという矜持が感じられる。
その癖、ここに繋いでの「PROPAGANDA」。2024年と1990年を一気に繋ぐ。

■走りださなきゃ始まらない
「PROPAGANDA」以降は本編最後まで突っ走りコーナー。
特に「IMAGINE HEROS」以降は吉川のソロでもよく歌う曲なので吉川の「歌い慣れた感」がやはり他の曲とは少し上。
そして場内のボルテージが一気に3段階くらい上がった感じ。

■戻れない
メインステージから両脇に延びた花道(とは言わないか?)はドームなのでとてつもなく長い。そこへ出て来て歌ったりギターを弾いたりしているわけだが、間奏終わり(歌始まり)にマイクに戻るのが間に合わないことがちょくちょくあり、後でSNSなどに失敗してたwwかわいいwwみたいに言われてた……日常茶飯事すぎて失敗だと思ってなかった……。

■本家
「GOOD SAVAGE」は吉川ソロでもほぼ毎回必ずのようにやっているので、特に中盤の間奏ギターバトルはほんとに色んな名と腕のあるギタリストたちと競演してきた。原田喧太、菊地英昭(EMMA)、弥吉淳二、伊藤可久、生形真一、INORAN…ツアーメンバーがギタリスト2人体制の時ならギターを持った吉川も合わせて3人、ノリが良い時ならベースも加わって4人の竿バトルになる。同じ曲の同じ間奏なのに、ギタリストそれぞれの個性が際立って毎回目が離せない部分だ。
そんな聴き方をしてきた「GOOD SAVAGE」。
これが本家だ!というのを見せつけられた気がする。
58歳と62歳になったCOMPLEXは、こんなギターバトルも互いに楽しんで音で遊んでる余裕もあって。年を、経験を積み重ねていくというのは素敵なことだなと思う。

■東京ドームの夜だぜ~お前と一緒なら
「恋をとめないで」の”土曜の夜さ”の部分、ソロの時はだいたい1コーラスめは歌詞通り土曜で歌う事が多い。ので、こっちは特にあれっともならなかったけど布袋はあれっ?って顔してた。
2コーラス目は「東京ドームの夜だぜ!!」
”Don't Stop my Love”の延々コール久しぶりの長め。観客のレスポンスも今日いち?というほどだった。
「MAJESTIC BABY」の”お前と一緒なら”も長め。コロナ禍声出し不可の頃はこのあたりの曲をやってもごく短かった(当然)。マスクも声出しも自己判断になったから、以前と同じような長いC&Rが帰ってきた。

まだコロナは終息してないのに「5類になった(=規制が緩くなった)」とかいう理由だけで感染対策も個人まかせになっていて、多くの人がマスクをしないまま大声で叫びを上げている(広いとはいえ)閉鎖空間に2日間も居たことがめちゃくちゃ恐怖だし、その向かう先に演者がいることも大きな恐怖である。
規制が緩くなったのはコロナが無くなったからじゃなくて、これからは国は面倒見きれないから自己責任で対策も検査も治療もやりなさいね、ということなんだけどな。つまり移行前より自分の頭で考えて自分で防御しなければならないということ、5万人のうち何人くらいが理解して対策してるんだろう。怖い。

■アンコール
まずは「1990」。

今すべての思い出を投げ捨てて
今すべての夢に勇気をこめて
今すべてをこの愛にかけてみる
ほどけた靴紐を結んで

若い頃の吉川は、メッセージの強い歌詞を書くのに照れでもあったのか、バカっぽいラブソングに擬態しているけど言いたいことは実は違う、みたいなことが多い。
この歌にあの”時代”である「1990」というタイトルを付けていることが答え合わせなのだろう。
背景のヴィジョンに映し出されていた1990という数字は最後に「2024」へと変わった。

■気付いてもらえない
2日目の「RANBLING MAN」の「ランブリンメーン(ランブリンメーン)」の掛け合いの一番最後のところあたりで吉川と布袋が背中合わせになっていて、布袋にレスポンス部分を歌わせようとマイクを向けた吉川。が、その数秒前に布袋はすっと離れて自分の立ち位置に戻ろうとしていたのか吉川のマイクが空振り。しかも布袋はマイクを向けられていたことにすら気づかず、そのまままっすぐ行ってしまう。「おいおいwww」みたいになって笑ってる吉川。
ええ…吉川と布袋がステージで絡んでこんなに笑ってるよ……すごいよ2024年………。

布袋「あの頃20代だったけど吉川は58歳、俺は62歳。あの日の少年少女もこうして集まってくれた。年を重ねても心はどこまでも走れるんだぜ」

■アンコール2
ダブルアンコールアンコール1曲目「CLOCKWORK RUNNERS」は2011にセトリから外れていた、(歌詞ありの中では)3曲のうちの1曲。時間とか流れの関係で削っていたのだろうけどあらためて聴いているとなんで外されていたんだろうなと思う。
最後の曲は「AFTER THE RAIN~朱いChina」。
何度か吉川関連のエントリでも書いていることだが、大阪城ホールで初めてこの歌を生で聴いた時、敗北感に打ちのめされていた私の背中を押してくれた歌。大事な大事な歌だから、何にも邪魔されずにこれを聴くことだけに集中したかった。
なのにこの曲の時、ペンライト替わりにスマホライトを光らせて振るというムーブがスタンドの端の方から自然発生的に広がってしまっていた。1日目はそれでもアリーナ後方くらいまでで済んでいたが、2日目ともなるともうダブルアンコールが始まる頃から点灯し始めている人がいる。
画面を消灯することを忘れている人も少なくなく、後方から見るとその画面の光が非常に邪魔、さらにペンライト慣れして訓練されたジャニオタと違い平気でそれを頭上の高い場所に掲げて振るから本当に邪魔で、それどころかスマホを取り出すことが悪目立ちしないのをいいことに堂々と撮影していた者もいたらしい。
視覚はステージに、聴覚はその曲にすべて向けていたかったのに、視界の端から拡がっていく”それ”と、あたふたとスマホを取り出して点灯する周囲の人たちの起こす雑音が邪魔をした。それだけが本当に残念だった。

今回「”開演中は”撮影禁止」と言われたことで、開演前・終演後はいいのかなと私も判断したのだが、仮に開演前・終演後も撮影禁止と言われようが何しようが悪びれることも警備員の目を気にする様子もなくスマホを構えてばしばし撮影する無神経な客は正直、少なくない。
スマホライトを灯すことが、ルール違反の撮影をしやすくなる環境になってしまうことについて注意喚起が必要ではないかと思う。
他のアーティストのライブで、演者がスマホライトを光らせて振ってくれと呼びかけることがあるらしいが、それは意図された演出であって、勝手にやって良いものなのだろうか。ステージからはさぞ美しく見えただろうから演者は喜んだかもしれないけれど、なんだか釈然としない。ライトどころか公演中に撮影を許可するライブも増えてきているらしいが、それは許可されたライブの許可された時間帯だけのことだ。禁止されているライブでもやっていい理由にはならない。
(野球の時の話、京セラドームはビン・カン・ペットボトルの持ち込みが禁止されているが、ペットボトルは持ち込み可の甲子園を主戦場にしている阪神のファンが京セラでの試合の時に「甲子園ではOKなんだから持ち込ませろ」とゴネるという話をドームのバイトをしていた人から聞いたことがある。これがおかしいと思う人なら私が言っていることはおかしくないと思ってくれるだろうと思う)
多分これを気持ち悪いムーブだと思わずに一体感すごい!感動!と思った人たちはきっと吉川晃司の単独ライブの時もやろうとするんじゃないかと思うとちょっとうんざりする。中盤のバラードコーナーなどで工夫をこらした照明プランなどを組んだりしている時に限ってああいうことをやるんだろうなと予想できてしまう。
出来れば運営側から許可なり禁止なりの正式の表明をしてもらいたい。公式が許可するなら諦めるから。一度メールでもしてみよう。

話が逸れた。思い入れのある曲で起こった不測の事態に自覚している以上の苛立ちを覚えていたらしい。

■エンディング
最後にメンバー紹介。
前回は主に吉川陣営からの選出だったが、今回のサポートメンバーはほぼ布袋陣営。
とは言っても、スティーヴや井上さんなどお初ではないメンバーもいるのでそれほど難しいことはなかったかな?ドラムの湊だけが吉川陣営。
1日目布袋「それ(シンバル)、興味あるんだよね…」
→蹴り上げてみるも届かないw吉川より背が高いのにwあ、いきなりやると脚傷めるから練習してきてね
1日目布袋「ところで吉川君、我々もそろそろ新曲を…」(大歓声) この時吉川びっくりした顔してたから、何か具体化してそうな話ではなく急に思いついて言ったのかな?と思った。
2日目にも触れてたので、わりと本気かもしれない。
「再始動!ライブ!!」って言うわりに新曲は作らないふたりwwと思ってたし、終わったあとにそうからかってやろうと思っていたので面食らった。
ちょいとちょいと。実現したらおよそ35年の時を超えての新曲ですよ????
もしかしたら歴史が動く瞬間を目撃したのかもしれない……!!
アルバムとかじゃなくデジタルシングルとかでもいいので…2024年の布袋×吉川でぜひ実現を!

ソロライブではないから、いつものあの言葉は無かった。
だから、メンバーと笑い合いながらステージを後にする吉川の背中に、心の中で声をかけた。
「また、秋に笑顔で再会しようね」






そういえば2011年の時、ドームを出たら地面が濡れていて、「雨上がりの街だ」と思った。
今回は1日目終わって出てきたらまさに雨が降っている最中で。
なら、2日目が「雨上がりの街」だなぁ、などと思っていた。

平日の週のど真ん中2日だったが、無理やり有給休暇をとってやってきて良かった。2公演とも見られて良かったと思う。
部分的にモヤモヤすることが無かったわけではないけど、ステージ自体は本当に心の底から楽しかった。

不思議なもので、あまりにもスッキリ楽しかったものだから、”余韻”らしきものがあまり無い。むしろ、COMPLEXに触発されて早く吉川晃司のソロライブ(40周年ツアー)に行きたくてしかたない。
ツアーの初日はまだ半年近く先。8月に何かしらライブがあるのではないのかと疑っているのだがどうなることか。

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