「チーム・バチスタの栄光」。
まさかドラマ化までされるとは思ってなかったので、映画を読んだらさくさく原作を読んでしまったわけで。
原作を知らずに見た映画が思いのほか面白かったため、ウキウキして原作を読んだら頭をガツンと殴られたような衝撃でした。
勿論、私だって多読じゃないにせよそれなりに小説も読み、映画も見、原作付映画のガッカリを様々味わってきた人間ですので(だからこそ原作未読の場合は映像作品鑑賞を優先させるわけです)大違いだろうというのは予測して読んだのですが。
いや、この原作半端なく面白い(そして私好み←ここ最重要)。
主人公の設定が全く変えられているということは映画化の時点では知っていたのですがもうそんな変更が瑣末なことに思えるほどの違いでした。現実には主人公の設定の違いがその他の決定的な違いを生み出してるんですけども。
大学病院の内部の「政治」や微妙な人間関係、駆け引き。
それと、事件収束後のマスコミ対応の段。
主人公の見事なうっちゃり。
犯人はじめ登場人物それぞれの描写が段違いだったのも勿論ですが、映画に切り取られた「手術」「犯人探し」といった部分よりもそういう手術室の外での話がものすごく面白かったわけです。(あくまで私にとって、ですよ)
そりゃまあ、映像作品だし、たかだか2時間ほどにあの内容だから派手な側面を切り取って犯人探しに焦点を当てるのは当然なんですよね。
だから、意外と原作を読んだ後にもう一度映画を見直したりしてもまあこれはこれ、と思うことが出来たのです。たとえ田口が若い女性でも。
さて本題。

ドラマ版「チーム・バチスタの栄光」公式
そんなわけで、1クールのドラマというのにはそこはか期待するものもありました。
それだけの時間があれば、私が面白うて仕方なかった院内政治のあれこれとかそういうものも描いてくれるんじゃないかしらと。
あまかったーorz
原作通りのモノなど始めから無理、どんなにそのつもりで作っても全原作ファンが満足してくれるモノなど作れるわけがない……と開き直って結末(つまり犯人)やらトリックやらも全部変えてしまうということを売りにしてしまった。
ま、それはいいです。中途半端なことをやられるならこのくらい破壊してくれた方が別モノとして見れますので。
で、どんでん返し追加(笑)とか小エピソード追加とか皆容疑者っぽく見えるために怪しい行動させるとかするのに1クールの尺を割いてしまって、院内うだうだとかそういうのは一瞬リスクマネジメント委員会でグッチーがキレる場面が出た程度で済んじゃいました。
残念。個人的に残念。せっかく1クールもあったのに。ちっ。
つまり、映画以上に、原作の「ミステリー:犯人探し」の側面を切り取って膨らませたものみたいな印象でしょうか。
1話を見た限りではどちらかというと手術を受ける患者さんにもスポットを当ててヒューマンドラマ色を出していくのかと思ったらそんなことはなかったぜ!
そんなわけで、「そういうモノなんですね」と諒解するのに2~3話費やして損してしまった私ですが(やっぱり原作読んどくもんじゃねえなとここでひとつ溜息)犯人探しミステリーとしては工夫もこらされて面白かったです………
…と言いたいとこなんですが、原作と切り離して見ていても部分部分でどうにも納得いかないところ色々があって、残念ながら心底楽しむことは出来なかったというのが全話見終わっての結論でした。
別にいいよねー?終わったドラマだし、完全ネタバレしたって。
なにがそんなに納得いかなかったのかを最終回後にもつらつら考えていたのですが最大の違和感は───
・殺人者の取扱い
だったんだと思い当たるわけです。
ドラマ上、氷室の超多忙ぶりと田口との交流を絡めてまずは氷室が「同情すべき人間」であるかのように描いておく。
(ただ、田口と絡んだ時は確かにものすご多忙そうだったけどそれ以外の時はあんまり多忙そうに見えないw)
そして、AIによって氷室の犯行を暴く。
氷室は、「他にも犯人がいる」と示唆して殺される。
結局、術中死とは直接は関係なく(遠因とはなっているが)氷室を殺した酒井、
私怨に基づき桐生の手術ミスを誘発させ、それを「止めなかった」ことで患者を死なせてしまった垣谷と加えて「殺人者」は3人となるわけです。
そして、目の異常からいつ失敗してももおかしくないのに手術を続けた桐生。
自分の失った夢の肩代わりをさせるためにそれをまだまだ続けさせようとしていた鳴海。(桐生と鳴海は基本的には原作通り)
なん、このチーム。患者の命をなんと心得る?
桐生はね、まだ判ってあげたいと思ってしまうのですよ。
自分の手術を待ってる患者がいる、諒の助けがあれば続けていけるのだからやめたくない。それは、一人でも多くの患者を自らの手で救いたいという思いがそうさせたんだから。傲慢だったかもしれないけれど。
垣谷は、いくら同情される事情や本来この人は出世欲もなく患者思いのいい先生だと描かれていようと、「桐生を試すために」患者の命を試験台にした。
酒井なんか、はっきり言って「かっとしてやりました」だよ。
そして。
氷室は桐生を尊敬してたのに手術ミスの隠蔽が行われていた…ということに失望して手術室での殺人に手を染めた、だからチーム・バチスタの面々に責任がある的な流れ。
もうこれが気持ち悪くて気持ち悪くて。
いくら尊敬している人に失望したからといって(んでペットのハムスターが忙しくて帰宅できない間に死んでしまったからといって)氷室がやったのはただの『快楽殺人』ですよ。それを正当化することなんか誰にも出来ない。
それを氷室に同情的に話を進め、あまつさえ
●桐生の目が手術出来る状態ではない、いつミスするかわからないのに(目の前の患者を救うためにと)手術を続けた
●殺意を持って手術用の器具を改造してまで患者を殺した
この2点についてこのグッチー、
「どこが違うんですか」
とまで言い切りやがった。
いや、大違いだろ。アホか。
患者の命に対する思いが全然真逆でしょ?
なんで同列にしてんの?
↑このあたりで大激怒していた私なのでござるよ。
同じようなことが垣谷のケースでも言えるの。
桐生の目のことが発覚した時に、快楽殺人者と同列で桐生をぼっこぼこに非難しまくったくせに、垣谷に対してはなんであんな優しいわけ?
だいたいあのハムスターのくだりって何よ。
あんな多忙にしてご飯もろくに食えん、ろくに家にも帰れんと言ってる麻酔医がなんでハムスターみたいな小動物飼うのよ。
定時に家に帰れるかどうかわからない仕事をしてる人があんなきちんと餌や水をあげてカゴの掃除をしてケアしてあげなければいけないか弱い小動物を飼っててそれが死んじゃったからって、そもそも飼う方が馬鹿でしょ。
それで同情なんか出来ませんよ。
で、結論では5件の術中死のうち原因は
(1)桐生の手術ミス←垣谷の誘発による
(2)?
(3)?
(4)?
(5)氷室の改造スワンガンツによる殺人
エピローグでちらっと流して言ってたけど、本当に重要なのは
「(2)~(4)の犯人は判らずじまい」
「だって、死亡時検索やってないからなんの証拠も残ってないし」
という事なんだと思うんだけどなぁ。
しかも氷室は死んでしまっているから、AIを取って犯行の証拠が残っている(5)以外のどのケースでそれを実行したのか「犯人の供述」すら得られないわけですよ。
「犯人探しのミステリー」に作り変えたんなら、「全部のケースの犯人を特定できなかった」という結末はもっと重く扱われるべきなんじゃないんでしょうかね。
これは原作云々を頭から排除して考えてもそうだと思うんだけどどうでしょう。
あと、最終回の田口、妄想乙。
残念ながら、そのうち3人は殺人者だぞ。
なんだかねえ、氷室の「犯行予告花」といい、怪文書といい、犯人(たち)の同情すべき(あっしは同情できませんが)事情といい、なんかミステリーとしてもちと安っぽくないですか?
正直、犯行予告の段階でテンションだだ下がりでした(苦笑)。
……あと、根本的なことを言ってしまうと、(原作の田口公平との比較はしないとしても)グッチーのキャラが私、ダメでした。うっぜぇ。
まさかドラマ化までされるとは思ってなかったので、映画を読んだらさくさく原作を読んでしまったわけで。
原作を知らずに見た映画が思いのほか面白かったため、ウキウキして原作を読んだら頭をガツンと殴られたような衝撃でした。
勿論、私だって多読じゃないにせよそれなりに小説も読み、映画も見、原作付映画のガッカリを様々味わってきた人間ですので(だからこそ原作未読の場合は映像作品鑑賞を優先させるわけです)大違いだろうというのは予測して読んだのですが。
いや、この原作半端なく面白い(そして私好み←ここ最重要)。
主人公の設定が全く変えられているということは映画化の時点では知っていたのですがもうそんな変更が瑣末なことに思えるほどの違いでした。現実には主人公の設定の違いがその他の決定的な違いを生み出してるんですけども。
大学病院の内部の「政治」や微妙な人間関係、駆け引き。
それと、事件収束後のマスコミ対応の段。
主人公の見事なうっちゃり。
犯人はじめ登場人物それぞれの描写が段違いだったのも勿論ですが、映画に切り取られた「手術」「犯人探し」といった部分よりもそういう手術室の外での話がものすごく面白かったわけです。(あくまで私にとって、ですよ)
そりゃまあ、映像作品だし、たかだか2時間ほどにあの内容だから派手な側面を切り取って犯人探しに焦点を当てるのは当然なんですよね。
だから、意外と原作を読んだ後にもう一度映画を見直したりしてもまあこれはこれ、と思うことが出来たのです。たとえ田口が若い女性でも。
さて本題。

ドラマ版「チーム・バチスタの栄光」公式
そんなわけで、1クールのドラマというのにはそこはか期待するものもありました。
それだけの時間があれば、私が面白うて仕方なかった院内政治のあれこれとかそういうものも描いてくれるんじゃないかしらと。
あまかったーorz
原作通りのモノなど始めから無理、どんなにそのつもりで作っても全原作ファンが満足してくれるモノなど作れるわけがない……と開き直って結末(つまり犯人)やらトリックやらも全部変えてしまうということを売りにしてしまった。
ま、それはいいです。中途半端なことをやられるならこのくらい破壊してくれた方が別モノとして見れますので。
で、どんでん返し追加(笑)とか小エピソード追加とか皆容疑者っぽく見えるために怪しい行動させるとかするのに1クールの尺を割いてしまって、院内うだうだとかそういうのは一瞬リスクマネジメント委員会でグッチーがキレる場面が出た程度で済んじゃいました。
残念。個人的に残念。せっかく1クールもあったのに。ちっ。
つまり、映画以上に、原作の「ミステリー:犯人探し」の側面を切り取って膨らませたものみたいな印象でしょうか。
1話を見た限りではどちらかというと手術を受ける患者さんにもスポットを当ててヒューマンドラマ色を出していくのかと思ったらそんなことはなかったぜ!
そんなわけで、「そういうモノなんですね」と諒解するのに2~3話費やして損してしまった私ですが(やっぱり原作読んどくもんじゃねえなとここでひとつ溜息)犯人探しミステリーとしては工夫もこらされて面白かったです………
…と言いたいとこなんですが、原作と切り離して見ていても部分部分でどうにも納得いかないところ色々があって、残念ながら心底楽しむことは出来なかったというのが全話見終わっての結論でした。
別にいいよねー?終わったドラマだし、完全ネタバレしたって。
なにがそんなに納得いかなかったのかを最終回後にもつらつら考えていたのですが最大の違和感は───
・殺人者の取扱い
だったんだと思い当たるわけです。
ドラマ上、氷室の超多忙ぶりと田口との交流を絡めてまずは氷室が「同情すべき人間」であるかのように描いておく。
(ただ、田口と絡んだ時は確かにものすご多忙そうだったけどそれ以外の時はあんまり多忙そうに見えないw)
そして、AIによって氷室の犯行を暴く。
氷室は、「他にも犯人がいる」と示唆して殺される。
結局、術中死とは直接は関係なく(遠因とはなっているが)氷室を殺した酒井、
私怨に基づき桐生の手術ミスを誘発させ、それを「止めなかった」ことで患者を死なせてしまった垣谷と加えて「殺人者」は3人となるわけです。
そして、目の異常からいつ失敗してももおかしくないのに手術を続けた桐生。
自分の失った夢の肩代わりをさせるためにそれをまだまだ続けさせようとしていた鳴海。(桐生と鳴海は基本的には原作通り)
なん、このチーム。患者の命をなんと心得る?
桐生はね、まだ判ってあげたいと思ってしまうのですよ。
自分の手術を待ってる患者がいる、諒の助けがあれば続けていけるのだからやめたくない。それは、一人でも多くの患者を自らの手で救いたいという思いがそうさせたんだから。傲慢だったかもしれないけれど。
垣谷は、いくら同情される事情や本来この人は出世欲もなく患者思いのいい先生だと描かれていようと、「桐生を試すために」患者の命を試験台にした。
酒井なんか、はっきり言って「かっとしてやりました」だよ。
そして。
氷室は桐生を尊敬してたのに手術ミスの隠蔽が行われていた…ということに失望して手術室での殺人に手を染めた、だからチーム・バチスタの面々に責任がある的な流れ。
もうこれが気持ち悪くて気持ち悪くて。
いくら尊敬している人に失望したからといって(んでペットのハムスターが忙しくて帰宅できない間に死んでしまったからといって)氷室がやったのはただの『快楽殺人』ですよ。それを正当化することなんか誰にも出来ない。
それを氷室に同情的に話を進め、あまつさえ
●桐生の目が手術出来る状態ではない、いつミスするかわからないのに(目の前の患者を救うためにと)手術を続けた
●殺意を持って手術用の器具を改造してまで患者を殺した
この2点についてこのグッチー、
「どこが違うんですか」
とまで言い切りやがった。
いや、大違いだろ。アホか。
患者の命に対する思いが全然真逆でしょ?
なんで同列にしてんの?
↑このあたりで大激怒していた私なのでござるよ。
同じようなことが垣谷のケースでも言えるの。
桐生の目のことが発覚した時に、快楽殺人者と同列で桐生をぼっこぼこに非難しまくったくせに、垣谷に対してはなんであんな優しいわけ?
だいたいあのハムスターのくだりって何よ。
あんな多忙にしてご飯もろくに食えん、ろくに家にも帰れんと言ってる麻酔医がなんでハムスターみたいな小動物飼うのよ。
定時に家に帰れるかどうかわからない仕事をしてる人があんなきちんと餌や水をあげてカゴの掃除をしてケアしてあげなければいけないか弱い小動物を飼っててそれが死んじゃったからって、そもそも飼う方が馬鹿でしょ。
それで同情なんか出来ませんよ。
で、結論では5件の術中死のうち原因は
(1)桐生の手術ミス←垣谷の誘発による
(2)?
(3)?
(4)?
(5)氷室の改造スワンガンツによる殺人
エピローグでちらっと流して言ってたけど、本当に重要なのは
「(2)~(4)の犯人は判らずじまい」
「だって、死亡時検索やってないからなんの証拠も残ってないし」
という事なんだと思うんだけどなぁ。
しかも氷室は死んでしまっているから、AIを取って犯行の証拠が残っている(5)以外のどのケースでそれを実行したのか「犯人の供述」すら得られないわけですよ。
「犯人探しのミステリー」に作り変えたんなら、「全部のケースの犯人を特定できなかった」という結末はもっと重く扱われるべきなんじゃないんでしょうかね。
これは原作云々を頭から排除して考えてもそうだと思うんだけどどうでしょう。
あと、最終回の田口、妄想乙。
残念ながら、そのうち3人は殺人者だぞ。
なんだかねえ、氷室の「犯行予告花」といい、怪文書といい、犯人(たち)の同情すべき(あっしは同情できませんが)事情といい、なんかミステリーとしてもちと安っぽくないですか?
正直、犯行予告の段階でテンションだだ下がりでした(苦笑)。
……あと、根本的なことを言ってしまうと、(原作の田口公平との比較はしないとしても)グッチーのキャラが私、ダメでした。うっぜぇ。
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