ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

涙のワンタンスープ。

2018-05-23 00:52:16 | Weblog


台湾の物価はというと・・・そんなに安くはない。
日本と同じくらいのものもあるし、少し安いものもある。すごく安いものというのは、そんなにはない。

すごく安いものが少しある。その一つは、観光客がほとんど来ない場所の屋台のご飯。

新竹の朝、リュックを宿に置いたまま朝ごはんを食べるために街を歩く。
泊まった宿が朝ごはん付きだったとしても、そんな朝ごはんは無視して、朝ごはんを探しに街に出る。

台湾の街には、大抵の場合朝市というものがあって、その朝市には大抵の場合、地元の人の朝ごはんのためにたくさんの屋台が開いている。ちなみに、台湾の人の外食率は80パーセントだとか。家で食べるよりも、外食した方が断然安くて旨いということなのだろう。

台湾は日本語が通じると、よく聞く。
実際のところは・・・全然通じない。
台湾は英語なら通じると、よく聞く。
実際のところは・・・ほとんど通じない。

日本人がよく泊まるホテルには日本語を話すスタッフがいるだろう。日本語は話せなくても英語は話せるだろう。レストランもしかり。

問題は街に出た場合である。
実際の話、何も通じないことの方が多い。
まったく何も通じない。信じられないくらい。笑えるくらい。もう、笑うしかない。ははは。

台湾の人は優しい。

言葉は通じないが、台湾の人は優しい。
強面だったり、愛想がなかったり、怒っているように見えたとしても、台湾の人は基本的に優しいのである。

朝市へ出かけた。
目的は糯米餃子とワンタンのスープを食べるためである。
市場を歩き回って店を探す。何百件という店の中からお目当ての店を探す。

もう一度言うが、日本語も英語も通じない。中国語は話せない。どうするか?
ジェスチャー・・・しかない。
あとは、写真を見せて、指をさして「これくれ!」という。指を立てて、「一個くれ!」という。それしかない。そうするしかない。

頼んだものが運ばれてくるまで、何が出てくるかわからない。そんなドキドキがあったりもする。

糯米餃子とワンタンスープの小を一個ずつと頼んだ。
運ばれてきたのは、一個のお椀だった。
なんとなく、ワンタンしか入っていない。
ガビーンとなる。
「糯米餃子が食べたかったのに・・・」と思う。

レンゲでワンタンをチョンチョンとすくう。するとワンタンの下から糯米餃子が出てきた。
店のおやじさん、糯米餃子とワンタンのミックスにしてくれたのだ。

スープを一口飲んでみる。
台湾のスープ、優しい味がする。化学調味料を使っている店は少ないように思う。ほんのりとセロリと香草の香りがする。
ワンタンを一口食べてみる。最初の一口を噛んでから後味まで、ずっと美味しい。
糯米餃子を口に入れてみる。・・・信じられない気持ちになった。こんなに美味しいものを食べたことがない。もち米の中に餃子の餡。口の中からいなかなってしまわないで欲しいと思いながら食べる。
ワンタンと糯米を交互に口に入れながら・・・こんなに美味しいものがこの世にあったのか・・・と、大袈裟なことを思うのである。
あまりの美味しさに、涙がポロリと溢れそうになるのである。
スープの残り一滴まで、美味しくいただいた。

お勘定。この店には値段が書いてない。いくらかわからない。いくらかわからない時はどうするか?100元札を出すのである。返ってきたお釣りで、いくらだったか分かるシステム。

おじさんが中国語で何かを言ったので、100元札を渡した。おじさんがお釣りを僕の手に握らせた。手のひらの中に返ってきた小銭を見ると、85元あった。

涙が溢れそうな糯米餃子とワンタンのミックス小、一杯15元。・・・約50円。

朝の幸せを噛み締めて、また新しい台湾での一日が始まるのである。