ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

優しさの記憶

2010-08-21 05:30:41 | Weblog
夷王山での出逢いから数日後。僕は小樽のスーパーマーケットで買い物。数食分のレトルト食品と野菜を買う。明日は札幌。札幌の夫婦。・・・うちに泊まりなよ。そうだ、電話しよう。

そんなわけで、小樽からニセコパノラマラインを周り、定山渓を通り、札幌郊外の島田家へ、途中から降り出したどしゃ降りの雨の中たどり着くのである。

旦那さんの健ちゃんが家の前で待っていてくれた。三日振りの再会(笑)。自分の車(新車のプリウス)をガレージから出して、僕のバイクをガレージに仕舞わせてくれた。もう、とにかく優しい。
二階の健ちゃんの部屋が僕の部屋。荷物を降ろしたら、夕食の宴が始まる。奥さんのめぐちゃんが、大きい花咲ガ二とカニみそたっぷりの毛ガニを運んで来る。ワオ!ワオ!ワオ!!!と言わざるを得ない。
山盛りのカニを食べながら、夫婦はまた酒を飲む。

再会を果たす・・・イコール、完全に気心が知れる。再会というのは、運命みたいなものだ。

健ちゃんは、言ってみれば「自分探し中」。介護の勉強をしている。禁煙もしているが、全然出来ていない。
めぐちゃんは、新しい命をこの世に生み出す仕事、産婆さんをしている。強い芯があり、しっかりしているが、繊細な人だ。
そして、僕は、旅をしている。そして、この二人に巡り会った。

時間を惜しんで、色んな話をした。エゴが支配する世界のこと。世界が向かうべき方向のこと。優しさについて。人間が作り出す小さなコミュニティの軋轢のこと。一番美味しいカニは毛蟹だってこと。北海道では紫陽花と向日葵と秋桜が同時に咲くのが普通だということ。色んな話をした。とりとめもなく、思い思いに、色々な話をした。

色々な話をしながら、やっぱり、出逢いは運命なんだと、確信した。

散々カニを食べ散らかして、お腹いっぱいになってるところで、めぐみちゃんが言う。

「ごはん、食べられる?」

いや、結構お腹いっぱいでね、これからご飯だなんて・・・そう、僕は酒飲みじゃないからね。

「じゃぁ、ご飯は少しにしておくね」と、めぐみちゃんが運んで来たのは・・・

茶碗にこんもりと盛られた黄金色のウニご飯だった。うぉぉぉぉ。

「これなら後三杯くらい食べられるよぉ!」と思ったが、実際には無理なので、ゆっくりと味わいながら頂いた。

宴もたけなわ、めぐみちゃんは次の日仕事があるので、「気をつけて旅をしてね」という言葉を残して先に就寝。僕と健ちゃんは、リビングに寝そべりながら、北海道の地図を広げて、朝方までお薦めのスポットに赤丸をつけまくっていたのであった。

「もう一泊していけばいいじゃん」と健ちゃんが言う。

いくらなんでもねぇ、それは図々しいってもんでしょ。ははは。

「いや、明日出るよ」と僕は答えたのであった。



小樽から札幌は近い。島田夫妻が夕方に来てくれと言うから、小樽から札幌までの道程をニセコ周りで時間を潰したというわけだが・・・。その間島田夫妻、キャンプから帰ったその足で、しんぐを歓待するために小樽の市場までカニやウニを買い出しに行ってくれていたのだった。

人の優しさを知るということほど、自分を成長させるものは無い。優しさは、人を優しくさせるから。優しさが、人を優しくさせるから。

今までの旅の中で、僕は数えきれないほどの信じられない優しさに出会って来た。
その夜、信じられない優しさと言う名のベッドの中で、僕は僕が出会った「優しさ」を、一つ一つ思い出しながら眠った。

僕の旅は・・・いつもそんな感じだ。


しかし、あれだ。。。毛蟹好きの人は、毛蟹の食べ方が尋常じゃないほど上手だ(笑)。