ケロの与太

「全力で与太話」
読んだら忘れてください(” ̄▽ ̄)ゞ  

東京五輪で蘇るママ友の輪の記憶

2021年06月10日 | ヨタ話


あれはそう、下の娘が生まれたことで広い社宅に引っ越した頃の話
もう20年以上前だけれど
鮮烈に残る
私にとっても稀有な2年間
ママ友戦国時代の話



乳飲み子と三歳男児を抱え
夫は早朝6時から深夜0時まで帰宅しない企業戦士で
右も左も分からない新しい土地で生活を始めるに当たっては
社宅のママの輪にとりあえず参加しなければならないと言う大問題がありました
脳内にたくさんの小人がいて、他人からみれば一人ぼっちでも
常に脳内では活発な意見交換が行われていて退屈しないワタシはいいとしても
3歳男児にはとにかくお友達を与えなければならない・・
この縛りにはなかなかに苦労した気がします

しかし
ママ友は容易に手に入りました
公園で独自に遊んでいたら
「5階に越してきた、麦さん?」
ひときわ美しいママが声をかけて来てくれたのです
そのお子さんと、うちの兄妹構成が似通っていたこともあり
たちまち親子でお友達な感じに

涼やかで綺麗な彼女は情報通で
息子と同じ年の子供が社宅には何人いて
ここから通えそうな幼稚園はどこにいくつあって
今、この公園内にいるママたち一人一人がどの幼稚園を考えているか
私はマルマル幼稚園がいいと思っているの
できれば一緒に入園できたらいいね
聡明な彼女は
ワタシが欲しいと思っていた情報を
この短い邂逅の中で全て揃えて見せてくれたのでした
この人を魅力的な人と言わずして、なんと言えばいいでしょう


「彼女、やり手の新しいもの好きだからね・・」
随分後になって、そう彼女を表現した人がいました
やり手である事も
新しい物が好きである事も 
決して罪ではないけれど、その言葉には良い印象は無い

つまりそう言うことで

私はちびりちびりと
煮え湯を啜らされる事がありました

彼女が声をかけてくれたのは
私が久々の新規入居者だったから
誰よりも早く声をかけ
新参者の一通りの情報を手に入れておかなければ気が済まなかったし
気に入らなくても数のうち
グループが他よりも少し大きい事は大切
そのメインにいる事こそが自分を
子育てを楽しむ素敵なママに見せると
彼女は思っていたはず

その事に気づいたのは
その後しばらくしてからで
たまたま彼女の子供達と共通点が多かったのは
幸か不幸か
自分では選ばない世界を見られたと言う経験を積んだ分
そこはどっちでもいいのかな

「先週、BeBeのファミリーセールにみんなで行って来たの
真斗くんのママが段ボール一杯買った商品が今日届くんだけど見にこない?」
時々、そんな感じの、妙なお誘いがありました
みんなでセールに行ったなんて初耳だし
行かなかった私がそこへ行って何をするんだろう?
娘のお昼寝を理由に断りましたが、似たような中途半端な誘いがよくありました
誘われないけれど、事後報告が必ずある
その時へえそうなんだと聞いている私に
あなたを仲間には入れたけど
相応の分際があるの
買ったモノを見せるくらいならいいわ?
と言うメッセージなのかなと考えさせられるような
当時この言葉はなかったけれど
「マウント」を常に仕掛けられているようなモヤっとしたものがありました
華やかなことと好きなママで
私は高価な子供服には全く興味がなかった
息子の友達のママでなければ
到到底ご縁などなかった人だけれど
それだけに 
印象深く記憶に刻まれてます


「今度、平成6年生まれのみんなでパーティーしない?」
何を思ったか、彼女が突然言い出した事がありました
「あ、じゃあ、真斗の誕生日が近いから、うちでパーティ開こうかな」
私に最初に声をかけてくれた彼女には
相棒のようなもう1人のスレンダーな美人ママがいました
この、ボスママ金閣銀閣みたいな2人が意気投合
社宅に住む平成6年生まれの子を持つママたち七人に通達があり子供達のパーティが企画されました
「じゃあもう、一階のパーティールーム借りちゃおう」
「持ち寄りのお菓子もいいけどさ、アンクル・ジャムにしない?」
「Hさんにパーティグッズ借りるわ」
アンクルジャムは、当時雑誌に掲載されたことで話題のパン屋さん
アイシングクッキーやプチフールが可愛くて
当時そんな言葉はなかったけど、今でいう<映える>お店
持ち寄りのお菓子と、折り紙を飾り付けてお誕生日を祝うような話から
アメリカ駐在帰国組のHさんから、ガチの米国パーリーグッズを調達しての
ド派手な大人の集まりに変容してゆくのを
もう誰も止められない

「会費2000円って事になったから」
「皆でね、少しドレスアップしようかって言ってるの」
2000円に決めたのも、ドレスアップしたいのも彼女なんだろうな
と思いつつ
「そう言う事なら、うちは遠慮しようかなあ
野猿にいい服着せてもおとなしくしてないだろうし・・」
三歳男児が大人しく美麗な洋菓子をちんまり座って食べている訳にも行かないし
ドレスアップの意味もわからないし・・
「あら、ダメよ、みんなでやるんだから。
ひろきちくんがいないとうちのユウキが寂しがるわ? 
お菓子も予約しちゃったのよ?」
これも後になってわかった事だけれど、
彼女はこの気合いの入ったパーティーシーンを写真に撮って
当時存在しなかった<SNS>の代わりの、おしゃれママ雑誌に投稿したかったらしく
そのパーティにはどうしても7人はいないと
彼女の思い描く華やかさが出ないと思っていた模様
「もしどうしても無理だったら、
記念写真だけでも一緒に撮って帰ってくれたらいいから」
美しい女の包容力と言うのか
コレを魔性と言うのか
一般人は逆らえないなんとも言えない魅力が彼女にはありました
ありましたけれど
その場で会費を前払い徴収された時
人生で初めてのカツアゲに会った気がしたのも本当で
もう一体誰得の
何のためのパーティーなのか

2日前の夜になって、
銀閣ママんちの真斗くんの妹、まゆかちゃんが高熱を出してしまったと言う連絡が入ったのは、別のママから
「あ、じゃあ、パーティーはキャンセル?」
「それがさ、やるみたいよ?」
「え?だって、真斗くんのママこれないでしょう?まゆかちゃんの看病あるんだし」
そもそも、真斗くんの誕生日パーティーだったはず・・
「真斗くんママ、金閣ママに平謝りよ?
ほら、お菓子も会場も押さえちゃってるし
今更キャンセルできないって金閣ママが・・
真斗くんを私たちで預かる形でやるんだって」
「へええ・・」

このなんとも言えない専制政治のような中でも
皆が諦めたように従っているのは
逃げ場のない社宅と言う特別な水槽の中で
子供の遊びや学びのために
出来得る限り平和に居なければならないというママの宿命
もはや呪縛レベルの縛りからは逃れられないと
信じていたからでしょう

当時新参者だった私には
コメントのしようもないので、黙ってましたが
会場なんて所詮社宅のパーティルーム
使用料はあってもキャンセル料なんてない
お菓子はクッキーやプティフールなんだから、
キャンセルできないなら買って分けちゃえばいい
それよりも
まゆかちゃんの高熱ってなんなのか・・


次の日の朝になって、我が家の娘も体調が悪くなり
それを理由に、私と息子も欠席することにしました
5人になってもパーティは開催されたようで
ママも妹もいないパーティーの席で、真斗くんは解放されたように大暴れ
釣られた男子勢も大暴れで
女の子はその勢いに泣き出し
大変だったと
出席したママが教えてくれました

お目当の写真は撮れたのか撮れなかったのか
雑誌に載ったと言う話もついぞ聞こえず
その後社宅では、
まゆかちゃんもそうだったと言う溶連菌感染症が大流行
そんなバタバタで
裏切り者の私には
会費の返金もお菓子の配分もありませんでした
何に使ったんだろうなあ
あの2千万円(嘘)



小耳に挟む程度で( ̄ー ̄)



オリンピックのニュースを聞くたびに
脳裏をよぎる
遠い遠い記憶
どこかにとても強くて、どうしてもやりたい理由のある
金銭感覚もない人がいるんだろうな・・ 
と言う妄想

この一年後
幼稚園を転園する事で疎遠にならせていただいた

ママ友戦国時代




今日はそんな話


読んだら忘れてください




〜( ̄▽ ̄)ノシ




🎂🎂🎂