まわる世界はボーダーレス

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わずか七粒のコーヒー豆から始まった物語

2021-10-29 13:41:06 | インド
小雨の降る土曜日の午後、珈琲館の
門前仲町店に行ったら、ババブーダンと
いうインドのコーヒーが期間限定で出て
いた。「チャンピオンズが選んだ手摘み
スペシャルティーコーヒーシリーズ」と
いうことで5月の21日まで数量限定で
販売されているらしい。



インドのコーヒーはかねてから興味が
あったし、「期間限定・数量限定」と
言われると弱い。迷わずこれを注文した。

ココアのように香ばしい香りで、マス
カルポーネのような柔らかい酸味、
ライトなボディでクリーミーな舌触り、
スムーズなアフターテイストとメニュー
に書いてある。そう言われるとそんな
感じもするのだが、正直そんな微妙な
違いまではわからない。

丁寧に入れられた上質のコーヒーとい
う味わいはある。そして何よりも
「ババブーダン」という名前がこの
コーヒーに特別の風味を加えている。

どこかで聞いたことのあるような名前
だと思っていたら、つい先日、偶然調べ
たのだが、インドに最初にコーヒーを
もたらしたインド人の僧侶の名前だっ
たのを思い出した。

17世紀初頭、北部インドはムガール
帝国が領土を拡大し、ゴアはポルト
ガルの植民地となっており、南部で
はヴィジャヤナガル王国が末期を迎え、
マイソール王国が興る頃、イスラム教
の僧侶だったインド人のババブーダン
(Baba Budan)が、サウジアラビア
のメッカに巡礼に行く。

メッカに行く途中にモカで有名な
コーヒー産地のイエメンがあるが、
イスラム世界では当時、イスラム教
寺院の中だけで、門外不出の秘薬と
してコーヒーが飲まれていたらしい。
インドから来た僧侶のババブーダンは、
コーヒーの虜となり、持ち出すことが
禁止されているコーヒー豆を7粒だけ
隠してインドに帰ったのだとか。もし
見つかれば重い罰を受けたであろうが、
彼は何とかコーヒー豆を持ち帰ること
ができた。

アラブのコーヒーといえば、思い出す
のは「コーヒールンバ」の歌。西田
佐知子が1961年に歌った後、荻野目
洋子とか、いろんな人がカバーする
名曲だが、その歌詞の中に、
「アラブの偉い坊さん」という言葉
が出てきたりする。この歌の
おかげで日本ではモカが有名になった。
こちらは荻野目洋子のバージョン。



この曲、日本のオリジナル曲かと思っ
ていたら、オリジナルは、ベネズエラ
の作曲家ホセ・マンソ・ペローニ
(Jose Manzo Perroni)がコーヒーを
モチーフに1958年に作詞・作曲した
「Moliendo Cafe」(モリエンド・カフェ)
というのだそうだ。

ババブーダンがインドに7粒のコーヒー豆
を持ち帰ってから、約400年経った現在、
インド南部のカルナタカ州(バンガロール
がある州)は、インドで最大のコーヒー
産地となっている。インドは、紅茶の
イメージが強いが、実はコーヒーの生産
額も世界8位(1位はブラジル、インド
は世界の5位や6位になった年もある)。

2012年に、インドにスターバックスが進出
したが、都市部を中心にコーヒー店が
どんどん増えている。こちらは一番
店舗数が多い、Cafe Coffee Dayの
プネー郊外のお店の中。

かなりお洒落だ。
そしてこちらは、2012年にムンバイに
進出したスターバックスの一号店。


インドで最大規模のチェーン展開をして
いるCafe Coffee Dayも、インドの
スターバックス(タタ・グループ)も、
巨大なコーヒー生産地をカルナタカ州
に持っている。

インドのコーヒーは、ヨーロッパには
輸出されていたらしいが、日本では
あまりなじみがなかった。
珈琲館の「ババブーダン」などを見る
と、インドのコーヒーが急に出回り
始めているようだ。

アラビア半島から、ヒヤヒヤしながら
インドにコーヒーを持ち込んだババ
ブーダンも、自分の名前がはるか異国
のコーヒーにつけられているのを知っ
たらさぞびっくりするにちがいない。

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