オドラデクの心配事

日常にゆるやかに乱入する舞踏家の由無し事

おもちゃ箱は呪縛の彼方へ

2007年04月26日 | 道路劇場の記録
4月に人事異動で配属先が変わり、
何とはなくごたごたして日記を書かない日が続く。
最近は紙切れ1枚でという表現は当てはまらない。
庁内のメールで音もなく提示されるだけだ。
したがって辞令交付もない。

ということで、税金の徴収担当になる。
新採用のとき1年間だけ同じセクションにいたことがある。
税金の滞納者を差押え処分する最も公権力を行使する係であった。
当時、税金の計算は、そろばんと電卓の両方が使われていた。
青森に帰ってから、最初のリサイタルを市民センターで
やった。モチーフは少年のおもちゃ箱であった。

開演30分前に近くの床屋に駆け込み、バリカンで坊主頭にして、
そのまま、舞台で踊った。命がけでスイカを抱えて走り回り、
床に落とし、生卵を体にぶつけ、正露丸を撒き散らし、石膏が飛び
散る会場はただならぬ匂いで充満した。
少年はおもちゃ箱の呪縛から解き放たれようと秘儀を繰り返す。

翌日、舞台の高揚をそのままにして出勤し、坊主頭の少年が、
そろばんで税金を計算していたのだ。
そのようにして、踊る体とと現実の生活がゆるやかにお互いを
犯していったのです。